SF文学 (文庫クセジュ)/ジャック ボドゥ
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白水社から出版されている文庫クセジュの最新刊。文庫クセジュは、フランスの出版社「フランス大学出版局」のシリーズで、白水社が日本で翻訳出版を行っており、本書で955巻になります。文学・語学を中心に様々なタイトルがありますが、各本はページ数の制限もあるようで、比較的ハンディなものが多いです。
本書はタイトル通り、SF文学に関する入門書。文学に焦点を絞っているので、映画やゲームなどは範囲外です。また、主に、定義と起源、各国のSF史、SFにおける重要なテーマの3つが扱われています。
SFの定義は難しく(まあ、大体文学のジャンルを定義するのは難しいのですが・・・)、本書では新しい定義を行っている訳ではありません。今までどのような定義が提案されたかというのがメインとなっております。
各国のSF史は、SF先進国のアメリカとイギリス、作者の母国フランスがメイン、その他には、ロシアと東欧ぐらい。日本を含む非ヨーロッパについては一切書いていないのが寂しいところですが、その地域では、SFの主流や世界的な問題作は出ていないのが現状ですから、致し方ないかもしれません。
重要なテーマとしては、宇宙、時間、機械、異世界・異次元、改造人間が扱われています。個人的には、この章が最も読み応えがあり、楽しめました。
総じて言えば、あくまで入門書。SF上級者には物足りないかもしれませんね。SF初級者の僕でもやや物足りないので。ただ、簡潔によくまとまっているところや、ネタばれを極力していないところなどは好印象です。本書を読むとSFが読みたくなります。