9月19日は、故エリザベス女王様の国葬ということで、仕事がお休みになりました。王室好きの私は、喪に服して、この日は国葬をテレビで観る日にしましょうと決めていました。
が、いつもの突然のエキストラの招集メールが。それも、今回は衣装が用意されるとのこと!自分の服で悩まなくてもいいし、国葬は後でネットで観れるだろうし、秋に日本に行くから、ちょっとでもお小遣いを稼いでおきたいので、即決でオッケーの返事をしました。
今回は、刑事もののドラマのようで、刑事さんとか警察官とかが出てきて、殺人事件を解決していくお話のようです。私の役は、Tea ladyだと。メイドカフェみたいな衣装かな?とちょっと楽しみ。前日にメールで詳細がきて、朝の7時に集合ですと。まあ、早く始まれば早くに終わるから、いいんだけどね、国葬の日は、お店も閉まるし、電車もバスも走らないと聞いていたので、ベルファストに行くのも車でささっと行けそうだし。
前々回の、西ベルファストでの警察ドラマの収録と、集合場所が同じでした。すでに、コーヒーや軽い朝食の、ヨーグルトやフルーツなんかが用意されています。エキストラは、私ともうひとり、イタリア人の女の子、あとは男性が5人。Tea ladyの衣装は、最初、かわいい細身のワンピースに小さなエプロンが渡されましたが、小さすぎて、背中のファスナーが上がらない!衣装スタッフさんに、もう少しサイズの大き目のをお願いしたら、またしてもかわいい細身のワンピース。ファスナーが…泣。三度目に、やっとブラウスとスカート、それにニットのカーディガンと小さなエプロンが来ました。スカートは、ウエストゴム!ブラウスは、花柄で、襟がすごく大きい!そういえば、お話の設定が、1970年代なんだわ。ちょうど、私が子供のころに、母親たちが来ていた感じの服。靴は、10センチほどもあろうかというハイヒール。見た瞬間に、絶対に無理!ここ20年間、ヒールの靴なんて一度も履いてないわ。で、2センチくらいのローヒールに取り換えてもらいました。お茶を出す前に転んだりして、コメディになっちゃうところだったわ。髪の毛は、後ろでお団子にされました。
イタリア人の女の子は、女刑事の役なので、スーツを渡されて、薄いタイツを渡されたのに、自分の真っ赤なタイツの上に、薄い色のタイツを重ねて履いてるので、「それ、赤いタイツ、脱いだほうがいいんじゃない?」って声をかけると、その子、「ああ~!やっぱり?すね毛がボウボウだから、薄い色のタイツだと足が茶色なのよ~!」とのこと。やっぱり、衣装スタッフの許可が下りず、代わりに濃い色のタイツを渡されてました。男性陣は、二人が警察官。イケメンの二人で、警察の衣装がすごくカッコイイ。ほかの3人は、刑事役だそうで、スーツにネクタイ姿。
衣装を着たら、すぐにバスに乗せられて、ロケ地に出発。5分くらいで着きました。ベルファストのど真ん中の、いつもは廃ビルになっているところに、ドラマのセットが組まれていました。中に入ると、いつもそうだけど、ADさんやら衣装さんやら、ヘアメイクさんやら、たくさんスタッフがいました。機材やモニターもあちらこちらにあります。セットは、ロンドン警視庁の中の事務所のようでした。70年代なので、電話がダイヤル式で、受話器と本体がコードでつながってるやつ!もちろん、パソコンなんてない時代だから、昔懐かしいタイプライターがそれぞれのデスクに乗っている感じ。黒板には、事件の詳細がかかれていて、壁には指名手配犯人の顔写真とか、ほんとにもう、ドラマの世界!
私の役は、コーヒーカップを二つ渡されて、ひとつづつ刑事さんのデスクにおいて、部屋の反対側から出ていくと。カップを置くときに、ひと言ふた言、喋るふりをして、と言われました。演技指導なんて初めてだわ!これって、絶対にテレビに映りそう~。という感じで、最初の収録が終わり、エキストラ7人は、3階の部屋で、次の収録まで待機と言われました。ロケは1階です。
最初のうちは、みんな初対面だから、チョコチョコっと小声で話したり、本を読む人や私は編み物。ちょっと携帯で、国葬の様子をみたりしていました。そのうちに、イタリア人の女の子が、オラクルカード(タロットカードみたいな感じかな?)を出してきました。彼女は、まだ勉強中だけど、オラクルカードで占いをする人になりたいらしい。そうしたら、警察官役の人が、「俺にやらせて!」というので、ひとりひとり占ってもらいました。願い事を言って、カードを引いたら、出てきたカードの説明が本にひととおり書いてあるので、それを読んで、カードの意味と自分の願い事と照らし合わせて、色々解釈するのです。この警察官役の人は、本職がコメディアンだそうで、いちいちオモシロおかしく読んでくれるので、みんな大爆笑。エキストラの部屋は3階なのに、1階のロケ現場から、「エキストラ静かに!」って怒られる。で、その時は静かにするんだけど、このコメディアンの人が面白すぎて、また大爆笑しては、怒られる…。ついに、若いADさんがドアの前に張り付いて、私たちを監視することになりました。この若いADさんは、下のロケ現場とマイクでつながっていて、次の収録でエキストラが必要な時に、私たちを下に連れて行ってくれました。そのうち、ヘアメイクさんが来て、私たちの髪の毛を整えにきました。オラクルカードに興味を示したので、やってみると、すごい当たってると大喜び。すると、話を聞いた別のスタッフもやってきました。そして、エキストラ部屋は、にわか占い部屋に早変わり。相変わらず、コメディアンの彼が面白くカードを読んでくれるので、私たちは笑いっぱなし。ついに、若いADさんも、私たちを静かにさせに来たと思ったら、「俺もカード引きたい~!」って。笑
途中で、バスに乗って、集合場所に戻って、ランチをいただきました。色々選べたんだけど、ポークとお野菜にしました。お天気が良かったので、イタリア人の子と一緒に、外で座って食べました。デザートは、ライスプディング。デザートをもらった瞬間に、スタッフが来て、「あと5分でロケ現場にもどるからね~!」というので、急いでちょっとだけ食べて、ロケ現場へ。次の収録は、影の役をやりました。スリガラスの向こうで、行ったり来たり、歩く役です。顔も映らないのですが、もうひとりの刑事役のおじさんと、行ったり来たり、忙しそうな雰囲気を醸し出す、いわば背景のような感じでした。
3回目の収録は、またコーヒーカップを渡されて、上司の部屋に入って、机の上にカップを置いたら、8秒数えて部屋から出てきてね、と言われました。部屋に入るとき、お辞儀してから入るかどうか聞いたら、却下されました。イギリスのお茶くみは、いちいち頭下げないらしい。カップを乗せるお盆もなし。何度か収録して、その都度、もっと早く歩いてとか、指導されました。その収録は、俳優さんたちが、なにやら演技をしている収録で、そっちがメインに映ってるんだろうなと思ったけど、ちらっとでも私も登場してるだろうな。お話の設定で、何日にもわたって事件の捜査をしているということで、私たちも3回、着替えました。刑事さんたちはワイシャツやネクタイ。私は、ブラウスを変えたりエプロンを変えたり。
警察官や刑事さんたちは、何度も呼ばれて収録に行ってたけど、Tea ladyの出番は、3回だけでした。おかげで、編み物がずいぶんはかどったわ。Tea ladyって、結局は警察署のお茶くみのおばちゃん役でした。70年代のイギリスの、お茶くみのおばちゃん。放送は来年の予定らしいけど、楽しみがまた増えました。
そして、帰ってきてから、6時間ぶっ通しで、国葬観ました~!イギリスすごい!素晴らしい国葬でした。感動した。お茶くみのおばちゃんの余韻に浸りながら、夜中過ぎまで、ずうっと観ていました。
