やぁ、ざわえもんです。今回は睡眠のメリットとメカニズムについて⑧の続きです。先ずですね、科学雑誌であるサイエンスに掲載された最新の研究によりますと、海馬が発する短く高速な脳波パケットが、新たに形成された記憶の構築に貢献する神経細胞の周囲に存在し、無関係な記憶痕跡を締め出しているという事を報告しています。まぁつまりですね、海馬が発する短い脳波によって新しい記憶内容の取捨選択をしているという事が報告されている訳です。もっと簡単に言えば、エビングハウスの忘却曲線でもある通り、人は学習した内容を1時間後には56%忘れ、1日後には74%忘れ、一週間後には77%忘れるという事が報告されている通り、人は1度見聞きしただけの記憶は脳に定着しにくいという事が報告されており、何度も繰り返し同じ情報に触れる事で記憶が強化されていくという性質があります。要は海馬が発する短い脳波が、1度触れただけの情報と繰り返し触れた情報を比較し、海馬が発する脳波によって後者の情報を優先して定着させようとする働きがあるという事です。そしてその海馬が脳波を発するのは基本的に深い睡眠状態の時であるとされているので、記憶の定着には質の良い睡眠が必要不可欠になってくる訳です。また、ある研究によりますと、脳は感情が伴った記憶を優先させる性質があるという事が報告されており、それらは喜怒哀楽のみならず、人は様々な感情が高ぶった際の記憶が脳裏に刻まれている傾向にあるとされています。また、オランウータンとヒヒを比較した実験によりますと、オランウータンは枝葉で樹上に安全で寝心地の良い寝床を整えるという性質があるのに対し、ヒヒは樹上で座ったまま寝るという性質があるとされており、研究チームが保護下で暮らしているオランウータン5頭と12匹のヒヒの生態を約1~4ヶ月まで異なる期間に渡り撮影したところ、オランウータンの睡眠はヒヒと比べて長い傾向にあり、睡眠の途中覚醒の回数も少なく、比較的質の良い睡眠が取れているという結果となり、この結果から考察出来る仮説としては、同じ哺乳類である人も同様に、寝室の安全性が担保されているほど質の良い睡眠を取れる傾向にあるという事です。別にベットの周りにボディガードを配置しろと言っている訳ではなく、例えば心が落ち着く様なアロマを枕元に置いたり、光を遮断したり等をするだけでも充分な効果があるという事です。後は頭と内臓等の深部体温を適度に下げる事でも質の良い睡眠が取れる確率が上がるとされていますのでお試しください。まぁ冷やす方法は皆さんのご自由にどうぞw 加えてドイツの科学者達が行った研究では、大学生のグループを2つに分け、それぞれに同じ記憶テストを実施させ、テスト終了後に一方のグループの大学生達には、テストの為に覚えた内容が翌日のテストでも必要になると研究チームが説明し、もう一方のグループには翌日にもう一度テストをするが、今日覚えた事とは無関係の内容であると伝えたところ、前者のグループの方が翌日の記憶力テストの成績が総じて良い傾向にあるという結果になっています。つまり、人は当然の事ながら重要であると思った記憶を睡眠時に優先して定着させようとする性質があるという事です。つまりどんだけ繰り返し見聞きしても重要でないと思っている情報は記憶に定着しづらいという訳です。また睡眠を専門とする研究者であるベネディクト氏の同様の実験によりますと、被験者を2つのグループに分け、2つのグループに同じ記憶テストを実施させ、テストの後に一方のグループのメンバーに対して今までで最高のテストの結果だったと言って社会的承認を与え、もう一方のグループには実験への協力に対する感謝だけを伝えたところ、社会的承認を与えられた前者のグループの方が翌日及び1ヶ月後の記憶テストの成績が良い傾向にあり、記憶の取捨選択において社会的に重要な事項が優先されやすいという事を示しています。まぁティーンエイジャーは週末に平均で約4時間ほど夜更かしをしているというデータもありますし、睡眠時間の減少は日常生活に様々な弊害を発生させるのは言うまでもないと思いますw また他にも、自己申告による睡眠時間に関するこれまで利用可能な最大のデータベースには、1982年にアメリカ人調査の一部として睡眠時間について質問された111万6,000人のアメリカ人 (年齢30歳以上、平均は女性57歳、男性58歳)を対象としたアメリカ癌協会の研究があり、被験者の睡眠時間は殆ど正常に分布しており、被験者の52.4%が毎晩7.5時間未満の睡眠を報告し、被験者の19.7%が6.5時間未満の睡眠を報告し、4.0%が5.5時間未満の睡眠を報告し、9.2%が毎晩8.5時間以上の睡眠を報告し、3.3%が毎晩9.5時間以上睡眠したと報告しており、この研究では、男性と女性の間で睡眠時間には殆ど差はないという事が推測されており、これらの自己申告された睡眠時間がどの程度正確に反映しているかは不明であり、このデータは42年前に取得されたデータですが、高い信憑性に加え、ある程度の睡眠傾向を示唆しているデータであると思われます。また、2005年のアメリカのギャラップ世論調査によりますと、成人1,500人(年齢18歳以上、平均49歳)の平均自己申告睡眠時間は平日6.8時間であり、週末の睡眠時間は7.4時間という結果になっています。しかし、報告された睡眠時間にはかなりのばらつきがあり、インタビューを受けた人の16%は平日の睡眠時間が1日あたり6時間未満であると報告し、一方、週末の睡眠時間が6時間未満であると回答した割合は10%でした。そして平日の睡眠時間が8時間以上であると報告したアメリカの成人の割合は、1998年の世論調査から2005年の世論調査までに9%減少しましたが、平日の睡眠時間が6時間未満であると報告したアメリカの成人の割合は、同じ期間に4%増加したという結果になり、アメリカの成人によって報告された睡眠時間が過去8年間で減少した事を示唆しています。やはりデジタル機器なんすかねぇ。ちなみに細かな数値としては、睡眠時間が8時間以上である自己申告した割合は、1998年の63%から2005年の57%に減少しており、週末の夜の睡眠時間が7時間以上であると報告した人の割合は、1998年の76%から2005年までに73%低下し、全体として、平日と週末の両方で、1晩6時間未満の睡眠をとる人の割合が増加し、7時間以上睡眠をする人の割合が減少している様です。まぁ適切な睡眠を取らないと寿命が縮まりますし、様々な疾患の発症リスク及び自殺リスクまで上げてしまいますので、7時間以上の睡眠は毎日確保しておいた方が身の為と言えます。ちなみに寿命を上げるのは睡眠だけはなく、2021年8月に学術誌「Nature Food」に掲載された研究によりますと、アメリカ人を対象として、牛肉や加工肉は、健康への負担が大きいと同時に、環境への負荷も大きいという世間に流布されている懸念から、牛肉や加工肉による1日のカロリー摂取の10%を野菜や果物、豆類に変えるだけで、48分相当の健康改善と33%の環境負荷削減が見込めるという事が報告されています。まぁ健康改善とは簡単に言えば健康寿命が平均で48分増えたという事です。また、科学誌「サイエンス」に香りと記憶の関連性についての論文が掲載されており、20~30代の被験者達に対して神経衰弱の様なメモリーカードというものをする様に研究チームが指示し、被験者達がメモリーカードをしている部屋の中にバラの香りを充満させ、その夜に半分の被験者達にだけ、深い睡眠の間に同じバラの匂いを部屋の中に充満させて嗅がせたところ、深い睡眠時にバラの香りを嗅いだ被験者達は、メモリーカードを用いた記憶力テストの結果が大幅に向上したという結果になっています。つまり人は、強い香りや強い感情等にアプローチした情報というのを優先して記憶しようとする性質があるという事を示唆している訳です。まぁ感情というものに着眼点を向けますと、イェール大学心理学者であるサントス教授によりますと、サントス教授はオリンピック選手のメダリストの幸福度に着目した研究を例に挙げ、銀メダルを獲得した選手よりも銅メダルを獲得した選手のほうが幸福度が高い状態にあるという点を報告しており、「我々は、どうしてもその時々に最も目立っている比較基準に注目しがちで、更には自分達よりも良い結果を出している者に着目しがちである」、こう述べており、人は他者と自分を比較して能力や幸福度等を測ろうとしますが、大抵の場合は自分よりも上の人と比較する事の方が多い様です。つまり銅メダル受賞者は4位を回避出来た事に幸福を感じるという事です。加えて、ドイツの科学者達の研究によりますと、被験者達が深い睡眠に入っている間に、ゆっくりとした脳波にシンクロする音を聞かせたところ、長期記憶の形成に関わる睡眠紡睡波とリップル波の相互作用が強化されるという事を報告しており、スイスの睡眠研究者達も同様に、被験者グループが就寝する前に、オランダ語の単語を複数教え、就寝中にも一部を除いたオランダ語の単語を繰り返し被験者達に聞かせたところ、実験参加者達は睡眠中に流れていた単語の方を良く記憶していたという結果になっていますが、これは復習の時のみに表れる効果であるという事も指摘されており、一度も学んだ事がない内容を就寝中に繰り返し聞いても効果はないという事です。また、ウプサラ大学の研究では、ストレスに睡眠不足が加わると記憶力が最も落ちるという事を報告しており、記憶力テストを実験参加者達に受けさせて夜に4時間と比較的短時間寝てもらい、また翌日に同様の記憶力テストをさせ、この日の夜には8時間と比較的長時間寝てもらったところ、記憶力テストの成績は両グループ共に殆ど変わらないという結果になり、深い睡眠が総睡眠時間の前半に発生する事が起因するものと考えられていますが、4時間睡眠によってストレス値が上昇したグループは、ストレス値が上がるだけで記憶能力が平均で約10%低下したという事が判明しており、8時間睡眠のグループはストレス値が上昇したとしても、記憶能力には殆ど影響がないという結果になっています。また同様にウプサラ大学がウプサラ市に住む2万人以上の生徒を対象に実施した健康とライフスタイルに関する調査によりますと、睡眠障害や短時間睡眠と成績の低下に明らかな関連性があるという結果になり、睡眠不足によって授業中の集中力が減少し、知識の吸収能力も低く、長期記憶能力も低い傾向にあるという事が判明しており、本実験では睡眠不足による悪影響は男子よりも女子の方が顕著だったという結果になり、1日の平均が7時間睡眠未満の女子は、1日に適切とされる7時間以上の睡眠を確保出来ている女子と比べて、学力試験の不合格者数が約2倍多く、睡眠時間が平日&週末共に7時間未満の女子では約5倍も多いという結果になり、大抵の人は睡眠不足によるデメリットを軽視する傾向にあり、単に睡眠不足等による学力低下なのにも関わらず、それを自分の能力が低い為であると自己批判してしまう生徒が多い傾向にあるという事も報告しています。ですので、もし今苦しんでる皆さん。今すぐベッドで目を閉じてお寝んねしてくださいw ちなみに同調査では、全調査対象者の3分の1程度が睡眠障害に悩んでいる、もしくは睡眠不足であると回答しており、デジタル機器の影響が最も大きいという事が推測されています。また、18万人の児童やティーンエイジャーを対象としたオーストラリアの調査では、7~8歳の約25%が夜間にスマホを1回以上使用すると回答し、17~18歳の夜間の1回以上のスマホ使用率は驚異の約80%となり、皆さんも夜間はナイトモード等のブルーライトを極限まで暗くするアプリを活用する事をお勧めしまちゅ。ではまたw ご視聴バイラルラー。

参考文献↓

「熟睡者」

著者 クリスティアン・ベネディクト氏
   ミンナ・トゥーンベリエル氏

訳者 鈴木ファストアーベント理恵氏

様々なサイト、