やぁ、ざわえもんです。今回は食が持たらす影響について①の続きです。先ずパスタやパン等は炭水化物が豊富で、総エネルギー量の約10%はタンパク質が占めており、ステーキは動物性タンパク質の塊で脂肪やミネラルを多く含んでおり、水分が約半分を占めている等、食品に含まれる栄養素はとても複雑なので、主要栄養素と微量栄養素をバランス良く摂取する事が重要なのは周知の事実ですが、アニサキスやハリガネムシ等の寄生生物は栄養素を基本的に1つの宿主から摂取するので、寄生生物はバランスの良い栄養素の摂取に定評があるとされていますが、人間は新生児に必要な全ての栄養素が適切な比率で含まれている母乳を摂取するまでは健康的と言えるのですが、この飽食状態である現代社会では離乳後に無限の食品の組み合わせが出来る為に、栄養素を度外視して今日の食材を味の塩梅重視で決める人が多くいますよねw ですので味も確かに大事ですが、それよりも栄養素のバランスを重視する事をお勧めします。ちなみにバッタを対象としたオックスフォード大学の研究では、炭水化物を過剰摂取してタンパク質を過小摂取したバッタほど肥満になりやすく、成虫になるまでの時間が長くなる傾向にあり、タンパク質を過剰摂取して炭水化物を過小摂取したバッタは成虫になるまでの期間は早まったものの、食欲は基本的にタンパク質の摂取欲求とされている為に、食欲がすぐに満たされるためバッタがエネルギー不足に陥りやすくなったという結果になっています。ちなみに、イギリスのサリー大学のベルナルド・ゲッシュ氏は、刑務所の囚人達が暴れたりするのは栄養不足からではないかという仮説を立て、その仮説を検証する為に231人の囚人の半数にビタミン、ミネラル、必須脂肪酸等が適切な割合で含まれたサプリメントを142日間服用させ、残りの半数の囚人にはプラシーボ効果を検証する為にサプリメントと偽った何の栄養素もない偽薬を服用させ、142日の期間で刑務所内での囚人達の行動を逐一記録した報告書を分析したところ、栄養素が適切な割合で含まれたサプリメントを142日間摂取したグループは、暴力や看守への不服従等の問題行動の割合が35.1%減少し、何の栄養素もない偽薬を142日間摂取した残りの半数のグループの刑務所内での問題行動の割合は僅か6.7%しか減少しておらず、適切な栄養素が含まれたサプリメントを取るか取らないかだけでも約30%問題行動が減るという結果になっていますので、皆さんも気分がネガティブな状態に陥った場合は単なる栄養不足である確率が高いため、先ずは健康に良い食品を軽く摂取してみる事をお勧めします。またこれは「The conversation」誌に掲載されたシドニー大学のアマンダ・サリス准教授の論文でも同様の結果になっており、空腹時には社会的規範の範疇にある行動をするのが難しい上に、上司ではなく家族等の最も身近な人に対してイライラする回数が増えると報告しており、空腹時は神経ペプチドYと呼ばれる化学物質が脳に放出される事で、より攻撃的な態度を助長する結果となってしまい、スウェーデンのヨーテボリ大学所属の論文執筆者であるカロリーナ・スキビッカ氏は、「食欲増進ホルモンのグレリンの値が食前や断食中に高いレベルまで上昇すると、衝動性が増し、理性的な判断能力に悪影響を及ぼす確率が高い」と述べており、空腹時にはなるべく意志決定をしない方が得をするかもしれませんw また他にも食に関する興味深い論文が沢山あるので一部をご紹介すると、フランスのグルノーブル・アルプ大学のローレント・ベイグ博士の研究では、被験者達にマッシュポテトを食べてもらうという実験で、マッシュポテトの横にタバスコを置いて自由に掛けても良いと伝え、その後に参加者の唾液からテストステロン値を計測したところ、辛いものが好きな人ほどテストステロンの値が多い故に男性的な傾向にあるという結果になり、男性的な人の特徴としては、競争的、自己主張が激しい、人に対して正直だが共感性が欠如している傾向にある、攻撃的、ギャンブルが好き等の特徴があるので、辛い食べ物が好きと言っている人は以上の特徴に当てはまる確率が高いとされています。また、アメリカのコーネル大学のブライアン・シンク氏がスポーツバーの客52人を対象にした実験では、客を31人と21人で2つの部屋に分け、31人の客にはチキンウィングのおかわりが欲しい場合は食べ終わった骨を片付けてからとお願いし、もう一方の21人の客には食べ終わったチキンウィングの骨はプレートに置いた状態でおかわりをする様にお願いし、自分の食べた量が目視出来ない31人の客と、自分の食べた量が目視出来る21人の客を80分間観察したところ、31人の客は平均で244.2グラムで7本を80分間で食べたのに対し、21人の客は平均で192グラムで5.5本を80分間で食べ、この実験では人は自分が食べた量を意識するだけでも27.3%も食べる量が減ったという結果になっています。後は人は一皿が一人前であると思う傾向にあり、食べる量を減らしたければ皿を小さくするのも効果的とされています。また、栄養素に関してはイギリスのサンデーエクスプレス誌に掲載された論文によりますと、人は黄色いものを食べると幸せになる傾向にあると報告しており、オレンジ等の日光と同じ色の食べ物を朝食として摂取したグループの約70%が幸福感を感じ、61%のグループはオムレツを食べると幸福感を感じ、マカロン、バナナ、チーズ、パンケーキ等も被験者達の血中の幸福ホルモンの値が増えたという事が報告されていますが、オックスフォード大学のロールズ博士がエチオピアからの難民キャンプで約半年間暮らしている24人の人と、難民キャンプに入って平均2日目の24人の人々を対象にした研究では、難民キャンプでは栄養バランスを考えてパンケーキ、豆、ミルク等が配給されていたのですが、料理は基本的に毎日同じであり、その料理をとても美味しい場合はプラス2点、全く美味しくない場合はマイナス2点で採点をお願いしたところ、難民キャンプに約半年間いる24人のエチオピア人は、いつもと同じ料理が出てきた場合の料理の点数は二点満点中で平均0.28ととても低く、難民キャンプに来てから平均2日の人々は、いつもと同じ料理の点数が平均で1.31となっています。つまり、どんなに好きなものでも同じものばかりを食べていたら飽きて食に対する満足度や美味しさまでもが下がる傾向にあるという事です。まぁこれは食だけに限った話ではありませんがw ですので、なるべく日々の食事はバラエティに富んだ物を食べてみると食の満足度が上がるかもしれませんw また、オランダの食品栄養研究所のルネ・デウィーク氏の研究では、市販のバニラを食べたグループと、バニラの香りが通常の約16倍も濃いバニラを食べたグループに分けて実験したところ、匂いが通常のバニラと比べて約16倍も濃いバニラを食べた被験者達は、結果的に総摂取カロリーと摂取量が比較的に前者よりも減ったという結果になっていますので、皆さんも適度にダイエットを望む場合は、香りの強い物を食べてみると良いもしれません。また、部屋の中にアロマやフローラルの香りを充満させるだけでも、嗅覚が刺激される事で食欲自体が減少するという事も報告されていますのでご参考までにw ちなみに、人というのは口だけではなく腸にも味覚受容体があるとされており、食物が消化の間で分解されている過程でも全身で栄養素を追跡しており、栄養素が腸で吸収されて血流に入ると肝臓や脳等の器官に分布される味覚受容体が栄養素を検出し、脳にある食欲制御中枢という神経回路が、血流と肝臓と腸からのシグナルを受けると空腹感及び満腹感が発生するとされています。まぁ簡単に言えば人は全身で食事をしていると言っても過言ではありません。なんかこの文面だけ見るとエイリアンみたいですねw ちなみにバッタはタンパク質と炭水化物の2つの摂取欲求があるとされていますが、人の場合はタンパク質、炭水化物、脂肪、ナトリウム、カルシウムの主に5つの摂取欲求が最低限存在しており、これらをある程度摂取する事が出来れば基本的には健康に生きれるとされており、ナトリウムとカルシウムの2つに関しては、かつて非常に希少な栄養素であった事が様々な調査でも判明しており、ナトリウムとカルシウム専用の味覚受容体が進化の過程で人間の体内に作られていったという歴史があり、人間以外の生物にとってもこの2つは特に貴重な栄養素であったとされています。他にもビタミンA、C、D、E、K、B1(チアミン)、B2(リボフラミン)、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6、B7(ビオチン)、B9(葉酸)、B12、ミネラル群のカリウム、塩素、リン、マグネシウム、鉄分、亜鉛、マンガン、銅、ヨウ素、クロム、モリブデン、セレン、コバルト等の多種多様な栄養素がありますが、これらは昔から世界に多く存在していたため、これら専用の摂取欲求は特に必要にならず、体内での複雑な栄養素を計算する手間が省けたお陰で、食以外の事に集中する時間が進化の過程で徐々に増えていったという事です。また、食欲という言葉はスコットランド出身のジョン・バブアー氏が宴会中に、「食欲以外の調味料はいらない」と述べており、空腹は最高のスパイスということわざの元とされ、食欲という概念は少なくとも600年以上も前から存在している事が伺い知る事が出来ます。また、食欲不振は病気の前触れである、美味しいものは滋養になる等の言葉が世界で流布されていき、食欲に関する科学的アプローチが加えられた初期の説では、グウグウ仮説という説が1912年に提唱され、この説によると食欲は胃の膨れ具合によって決まるものであると主張しており、空腹で収縮した胃の壁が擦り合う事でお腹がグウグウ鳴って空腹のスイッチがオンになり、満腹になるとスイッチが切れるというユニークな仮説ですw しかしそんなグウグウ仮説ですが、後の研究で人間は体内に胃が存在しなくても食欲を感じる性質があるという事が判明しており、他にも動物は体温を充分に温めるエネルギーを得るために食べ、過熱しそうになると食べるのを辞めるという温度定常説や、食欲は血糖値によって決まるとする糖定常説、食欲は体脂肪の量で決まるという脂肪定常説、食欲は血液中のアミノ酸濃度によって左右されるというアミノ酸定常説等が、今日に至るまでの歴史に置いて世界各地で提唱されていますw まぁちょっと詳しい話はまた次回にw 最後に食に関するおもろい論文をご紹介して終わりまちゅ。この論文はアメリカのスタンフォード大学のトーマス・ロビンソン氏が63人の平均年齢4.6歳の子供を対象にした実験で、ハンバーガー、チキンナゲット、ポテト、ミルク、ニンジンスティックを用意し、それらをマクドナルドの包み紙やパッケージに包んだ場合と、無地の包み紙やパッケージに包んだ場合で子供達の美味しさの評価が変わるのかを検証したところ、両方とも全く同じ食べ物であるのにも関わらず子供達の殆どがマクドナルドの包み紙やパッケージに包まれたハンバーガーやチキンナゲット等の方が美味しいと回答しており、カリフォルニア工科大学のヒルク・プラスマン氏が成人達を対象に、中身が同じである事を伝えずに5ドルのワインと90ドルのワインの飲み比べをする様に被験者達にお願いをしたところ、先ほどの実験と同様に90ドルのワインの方が美味しいと感じる人が殆どであり、プラスマン氏らが核磁気共鳴画像法でワインを飲んでいる最中に成人達の脳を検査したところ、内側眼窩前頭皮質と呼ばれる快楽を司る部位が活性化しており、人は美味しいと思い込むだけでも大抵の食品は美味しく感じる傾向にあるという結果になっています。まぁだからと言って有毒物質のテトロドトキシンが含まれる河豚の肝臓とかを食べたりは危険ですので辞めてくださいw ではw ご視聴キートスw
参考文献↓
「食欲人」
著者 ディヴィット・ローベンハイマー氏
スティーヴン・J・シンプソン氏
訳者 櫻井 祐子氏