📚フィクション


幕末の木曽山中の小さな宿場町。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指すことを決意した少女・登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは…。『漂砂のうたう』で第144回直木賞を受賞した著者が、周囲の無理解や時代の荒波に翻弄されながら、ひたむきに、真っすぐに生きる少女の姿を描き出す。感動の長編時代小説。 文学賞3冠の傑作がついに文庫化!