ただ、教科書や様々な参考文献に載っているのは、上図のような横向きのものばかり。今回の遠近調節の仕組みを理解する上では、横向きの図だけが頭に入っていても難しいかもしれません。
✳︎水晶体→真ん中にある円盤
✳︎毛様体筋→外側にある輪っか
✳︎毛様体小帯→水晶体と毛様体筋の間に張られている青いヒモ
前もって頭に入れておいてもらいたいことが2つあります。まず①近くのものを見たいときには水晶体が厚くなり、遠くのものを見たいときには水晶体が薄くなる、ということです。そして②水晶体には弾性力という性質(自らレンズの厚みを増そうとする性質)が備わっているということです。
自ら厚くなる性質をもった水晶体ですが、水晶体の周りには毛様体小帯が放射状に付着し、外側に引っ張っているため、自由に厚くなることはできません。ただし、毛様体小帯の引っ張りを調節しているのが毛様体筋なので、毛様体筋の緊張の度合いに応じて、毛様体小帯の引っ張りも変化し、それに合わせて水晶体の厚みも変化していきます。
近くのものを見たいとき(水晶体を厚くしたいとき)は、まず毛様体筋が収縮します。毛様体筋は輪状の筋なので、収縮することで輪っかが小さくなります。
輪っかが小さくなることで毛様体小帯がゆるんでいるのは確認できますか?実際の眼球だと毛様体小帯はゆるみません。ゆるんだ分、水晶体の弾性力が増し、厚くなります。
遠くのものを見たいときはこれとは反対になります。毛様体筋が弛緩→毛様体小帯が緊張→水晶体を放射状に引っ張る→水晶体が薄くなる、です。
ただ、実際のヒトの目では遠視眼(遠くにピントが合う)が休止状態なので、調節が必要になるのは近くのものを見るときのみになります。