ナインティナイン岡村さん「美人さんがお嬢やります」発言 コロナと貧困、性差を考えるきっかけに(木村正人)
[ロンドン発]お笑い芸人の岡村隆史さんがニッポン放送のラジオ番組「オールナイトニッポン」で「新型コロナウイルスの影響で風俗店にも行けない」というリスナーの投稿に「コロナが終息したら絶対おもしろいことあるんです。短期間ですけれども、美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」と答えて大炎上、岡村さんだけでなく所属する吉本興業やニッポン放送も謝罪する事態になりました。
岡村さんの発言は厳しい批判を集めたものの、世界中で起きている悲しい現実です。ドイツでは10~20代の難民少年・青年が糊口(ここう)をしのぐために1回20ユーロ(約2400円)で男娼になっていることがニュースになりました。先進国で貧困に苦しむ女性が不妊に悩むカップルに卵子を売っているという話もあります。
日英のセックス産業
経済学を分かりやすく伝えているイギリスの経済ニュースサイト「エコノミー」に「エコノミストはいかにセックスワークについて考えるべきか」(2018年11月)という記事が掲載されています。イギリスのセックス産業の全体像はこんな感じです。
・客に接触して性的な興奮を与えるラップダンサーは約1万人
・売春婦は約7万2800人
・男性の76%、女性の36%がポルノを視聴。全体では56%
・26%がストリップクラブを訪れたことがある
・男性の12%が買春
・買春の経済規模は58億300万ポンド(約7720億円)
・ポルノは10億ポンド(約1330億円)
・ストリップクラブは3億ポンド(約399億円)
・セックスワーカーの88%は女性
・全体の44%、若者の65%が「セックスワークは女性搾取で犯罪」と考えている
・女性セックスワーカーの死亡率は平均の12倍
・60%が「身内がセックスワーカーだったら恥ずかしい」と回答
・セックスワーカーの91%が「時間の自由がきき、見返りもある」、66%が「楽しい」と回答
・セックスワーカーの52%が「止めようと思ったら止められる」と答えたのに対し、「止めようと思っても止められない」と回答したのは4分の1未満
・セックスワーカーの71%は医療や社会福祉・教育・保育・慈善団体で働いた経験があり、38%は学士号、17%が修士号以上を取得
・セックスワーカーの話では週平均2000ポンド(約26万6300円)を稼ぎ、イギリス平均の3.5倍以上。他の調査では高額所得者上位5%に入る年収6万ポンド(約800万円)の人も
一方、日本はどうなのでしょう。エコノミスト、門倉貴史氏の『世界の[下半身]経済がわかる本 データで読み解くセックス産業の舞台裏』の見出しから拾ってみると日本のセックス産業はこんな感じです。
・日本の性風俗関連産業の市場規模は7兆6636億円
・日本のデリヘルのマーケットは1兆8481億円
・ニューハーフ専門性風俗店の市場規模は156.5億円
・アダルトショップの市場規模は2093億円
・日本のAV市場は年間1037億円
・ボーイズラブの市場規模は220億円
・ソープランドの市場規模は年間9134億円
・JKビジネス(女子高生の密着サービス)の市場規模は年間799.3億円
女性は世界中の医療従事者の7割を占め、賃金が支払われない育児・看病・介護の75%を受け持っています。
女が
タダ働きをして
回っている
経済の規模は
かなりデカい。