歪んだ家庭に住んでいると、
幸福というものに対する
味覚が相当おかしくなる。


病んだメンバーが
毎日口に押し込んでくる感情や感覚の味は
基本的にやたら濃い。


激甘・激辛・塩効きすぎ
熱過ぎ・冷え過ぎ・強炭酸・焼き過ぎ
高度数のアルコール
何にでも大量のケチャップ
いかんとも形容し難い謎の味。


そんなものを
朝から晩まで何年も喰わされていたら
終いには舌が鈍磨し
癖のある調味料を何にでも大量に入れないと
物足りなくさえ思うようになる。
そして身体を悪くする。
当然の帰結。


ところがある日、
よそで出された薄味のお出しに愕然とする。
鰹節と昆布の柔らかな調和!


その優しい味を忘れず
いつかはあんなおつゆを毎日食べたい、
と思うか

私には物足りなかった…
もっと七味をドッサリ効かせたかった…
なんだかんだ普段の味付けの方が
好きだし落ち着く…
と思うかで
その後の人生の健康度が大きく変わる。



蓼食う虫も好き好き。が、

人間の肉体には
物理的限界がある。

舌が耐えられても
胃や肝臓まで耐えられるとは限らない。


我々被害者がしばしば
その すさまじい味付けを
懐かしくすら思うのは
一度 味蕾が破壊されているからだ。
普通なら一口食べて吐き出すレベルなのに。


いくら懐かしくても
それ以上食ってはならない限界値はある。
まず自分の味のセンスを疑うところからが
健康生活への第一歩であると痛感する。