仕事や名義の引継ぎの絡みで
モラ尾君と出かけた。
その帰りにお茶を飲んだ。


話のテーマは精神世界やら家族
男女間のダイナミズムなど色々あったのだが、
その中で


男は女を守りたいと思っているし
女に褒められ、立てられたいと思っている
女は子を生み育てるっていう
生き物として一番大事な役割を担っているから、
そのために男をうまく立てて
女王蜂のように君臨すべきなんだ。


という発言があった。


それは事実だと思うし
うまくその型に嵌ればとても素敵だ。


私が子供を産んだ時、
モラ尾君は構わずに私に
次から次へと仕事と用事を言いつけた。
できなければあからさまにガッカリした。
酷いツワリの最中から出産直前、直後まで
私を自分のプロジェクトのアシスタントとして
ブレインストーミングの壁として使い続けた。
私が少しでも反対意見や不安を語ろうものなら
なぜ手伝わない、君はネガティヴだ、
家族とはチームだ、
常に一緒に行動するべきなのだと言い
一晩中の長距離運転、壮絶な引越し作業、
その他色々な大作業や重たい泥まみれの仕事に
深夜、真冬を問わず 何度も何度も
新生児連れで参加させられた。
母親として、自営業のオーナーとして、
セクシーな妻として
全方向で輝けと言われ続けた。


私はには、赤ん坊とくつろいだり
ゆったりと育児をしたりした記憶があまりない。 
いつも物理的・精神的に追い立てられていた。


でも、私は親や周囲に呆れられるほど
モラ尾君のそばにい続け、褒め、守り、
対外的に彼を立てた。


今やそれらの仕事は全て外注化された。
秘書・アシスタント業務は従業員さんに
そこそこの高給を払ってやって貰っている。


私があのまま妻としてここにいたら
これからやっと訪れる収穫を
手に入れる事ができたのかもしれない。
しかし、私にはやはり
お金や安定の魅力を差っ引いても
継続は難しかったろう。


お金のために心を潰し
嫌いなものを飲み込む事がもうできない。
できたらいいのだが、できない。
癌になる。ものの例えじゃなくて。


お金や安定は自分で手に入れなければ
私は安心して誰かを一心に愛する事ができない。
そうして私は誰かを愛して共に居たい。


私は今それに挑戦できる位置にいる。
それは非常に幸運な事だ。
平和な国に暮らし、健康。
子供も元気に育っている。
これは、とんでもない宝クジに
生まれつき当たっているようなものだ!
健康も、健康な子供も、平和も、
お金だけでは手に入らない。
しかも私はインターネットにもアクセスできる。
これも非常に幸運なことだ。


モラ尾君に教えて貰ったこと、
身につけてきた技術や知識や経験、
自分自身の頭と心と身体で
運と人生を切り開く。
責任も自分。


こんなに普通で当たり前の位置に来るのに
私は四十年掛かってしまった!


精神的には
全く甘ったれていなくても、
「実質的に」「構造的に」
そうなってしまうことや
そのように誘導されてしまうことはあるのだ。


気づき次第修正していくしかない。