朝部屋を片付けていたら、
昨日モラ尾君が勉強していたロシア語の
自作単語帳が転がっていた。


あっ、これ、見たことある。


昔昔、モラ尾君と付き合い始めたばかりの頃。
雑然としたモラ尾君の家の
雑然とした引き出しに
漢字や日本語の手作りの単語帳があった。
古ぼけたそれは、クリップやホチキスに紛れて
隅で埃を被っていた。


私  あの時
これから来るかもしれない
ロシアのお嬢さんだったんだ。


未来を夢見て
今いる世界から連れ出してくれる
誰かを探して。


なるほどなあ、なるほどなあ、と
時が交差したのを感じた。