平和です。


平和であります。


モラ尾君ニコニコ、扱いを間違えなければ
まずぶち切れる事はない。
よく働き よく子供たちの面倒を見ている。
自然発生的なモラは無視、関係ない、怯えない。
こちらには何も起こらない。

数ヶ月に一回ぐらいで小爆発があったとしても、
頭を下げて来るのはあちら…。


しかし。


低く深く途切れなく鳴り続ける
低い地鳴りのように、
普段は意識していないが
常に響いている音がある。



俺だけを信じろ。
外は全て敵だ。

俺だけを聞け。
世界は悪と汚染だらけだ。

俺だけを見ろ。
他は全て疑え。



何を話し、何を食べ、何を聞いていても
この通奏低音が絶えず鳴り響いている。


一緒に暮らす限り逃げられないこの音に
私の心には、常にどこかで影が差し
微かな不安が付き纏う。


私はいつまでこの音に耐えられるだろう。
仮にこういったことを説明しても
永遠に全く理解しないであろう
モラ尾君の笑顔を見ながら、
私の食事はどんどん冷めて行く。


左脳と右脳が『私は贅沢なのだろうか?』と
ささやき合う。


内臓だけは、『否!否!』と
叫び続けている。