バイトにより12月3日中には更新できず。
まあしかし深夜の方がゆっくりできるので、これはこれでありでしょう。
毎日程度書いていくことが大切ですから。
師走は颯爽と流れていきますね。
さて本日は、
「月光ゲーム」
著:有栖川有栖 創元推理文庫
有栖川有栖。
とても覚えやすい名前ですね。上から読んでも下から読んでもいっしょ、ではないですけれども、
不思議の国のアリスを彷彿とさせる名前です。
あるいはアガサ・クリスティーを略してアリスなのかもしれませんが、
その辺はwikiればわかるんじゃないでしょうか。
何でもwikiに頼ってしまう現代っ子の典型ですね。
さて本書の主人公は、有栖川有栖という大学一回生の男です。
……ん?
と誰もが思ってしまうでしょうね。
そうです、作者と同じ名前です。なので主人公の名前はすごく覚えやすいです。
あだ名もアリスです。
ただ主人公は探偵役ではありません。
脚本も主役もやってしまっては、それはただの傲慢になってしまいますしね。
有栖川有栖含める英都大学推理小説研究会の面々は、夏合宿のために矢吹山のキャンプ場に訪れます。
そしてそこで偶然いっしょになったほかのグループと、仲良くキャンプを楽しむのですが、
矢吹山が噴火し、一瞬にして陸の孤島に閉じ込められることになりました。
そしてその極限状態の中、
月の魔力に誘われるかのように出没する殺人鬼。
その魔の手にかかり、一人、また一人、と姿を消していく。
犯人は誰なのか?
そして現場に残されたYの意味とは?
前述をコピーするとこんな感じです。
作中にも出てきますが、クローズドサークルです。
クローズドサークルというのは、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品を指します。
たとえば嵐の孤島とか吹雪の山荘とかですね。
そして今回は上述のとおり火山の孤島ですね。
何かの小説に書いてあったんですが、
クローズドサークルの場合は、動機を必要としないとかなんとか。
つまりホワイダニッド(Why done it?)がいらないとか。
考えるべきはフーダニッド(Who done it?)とハウダニッド(How done it?)だけとか。
なので動機は探偵は解き明かすことは少ないらしいですね。
外界を遮断しているだけに、外界からの情報も皆無入ってこないのが要因ですかね。
さてこの月光ゲームですが、
率直な感想としては、ワクワクして読むことが出来ました。
まず冒頭で火山の噴火シーンから始まるのですが、
のっけから生死をかけた行動のため、一体冒頭までにどんなことがあったのか、と先が気になります。
またプロローグの最後の一行にアリスが至った理由は何なのか?
そしてアリスは最初のプロローグで理代という少女に恋心を抱いているのが露骨にわかりますが、
それは最終的にどうなるのか。
などなどとあります。
まあ登場人物が17人、
まず最初に名前とイメージが一致しません。
まあ途中からはすんなり入っていきますが、それは人の数が減ってるからかもしれませんね。
これも昨日の「スタイルズ荘の怪事件」と同じで、すべてアリスの一人称で語られます。
しかしこのアリスは終始関西弁でしゃべるため、関西弁が受け付けない人は無理かもしれませんが、
理代へのさりげない行動や、言動などは、大学生っぽくて、「こういう時期もあったかもな」と読者に過去回帰させるでかもしれません。
甘酸っぱい青春小説と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、残念ながらそれだけでは終わらないのですね。
犯人がこの中にいるかもしれない、しかし誰も名乗り出ない。
アリバイなどは不安定であるため、自らの推理を表する者の考えは的を外れていく。
しかしわずかな手がかりを元に出来上がる真実を、
真の探偵役は悲劇に幕を下ろすため、語りだすのである。
作中では全員にアリバイがないから絞りきれないとか書きつつ、
実際は確かな証拠が容疑者を数人に絞っているのですね。
巧みなロジックでございました。
少なくとも僕には全くわかりませんでした。
小さな幸せが、
これからも続くと思われた幸せが、
あっけなく無くなる。
その悲しさを感じました。
真の探偵役も、犯人を糾弾するためではなく、犯人を救うために、真実を語りました。
かっこよすぎました。
理想の上司かもしれません。
有栖川有栖の作品は「46番目の密室」「マジックミラー」と読みましたが、
実にどれも優劣はつけがたいですが、
この「月光ゲーム」が一番読んでてハラハラしたのは間違いないでしょう。
有栖川有栖学生シリーズは数冊出ているので、また読んでいきたいです。


