-ひとりでは危ないよ-
暗闇が話しかけてきた。
ボクは冒険者。
「やあ暗闇くん。」
-やあ冒険者くん-
「君の中に入ってもいいかな?」
-それはやめたほうがいいと思うよ-
「どうしてだい?ボクは君の中にある光に触れたいのに。」
-君はどうしてワタシが生まれたのか知っているかい?-
「それはわからないよ。だから進みたいんだ。」
-進んだ先にあるものを知っているかい?-
「それもわからないよ。だから進みたいんだ。」
-君は全然わかっていないんだね、もう少しワタシの怖さを知ったほうがいい-
「怖くないし、そんな時間はないんだ。光が寂しがって閉じこもってしまう。」
-どうしてそう思う?-
「それじゃないと僕はここに居ないし君にこうやって断られもしないだろう。」
-そりゃあそうだ-
「だからいかせてもらうよ。」
-そうやって飛び込んだらボクに飲まれてしまうよ-
「平気さ。」
-どうしてだい?-
「君は冷たくもないし怖くもないんだ。」
-君は愚かだなぁ。-
「そうかな。」
-みんな怖がって近づかないよ-
「ボクはみんなと違うしね。」
-光がね-
「うん?」
-光があるとワタシが生まれるんだ-
「じゃあ君を照らせるくらいおおっきな光にボクがなってあげるよ。」
-そう、だからその光がよりいっそうワタシを色濃いものにするんだ-
「でも、それも全部君じゃないか。」
-君が照らせるのはほんの一部かもしれないよ、ワタシに飲み込まれるかも-
「ボクはそこに溶けてしまってもいいと思っているよ。」
-どうして?-
「そうしたら君だって怖くないだろう。」
-だったら、気をつけてお進み-
-この先は、ひとりでは危ないよ-
おわり
