チューリップ紫童話・恋人
(文・HIROAKI、絵・SUIREN)

お陽様が
昇ってから沈むまで

それが
わたしたちの
素敵な時間だったよね

晴れた日は遠くから
あなたは急いでやってきて
私にキスしてくれたわ

『また、来るね』って

そういってあなたは
夕暮れには
帰って行くけれど
夢のような毎日だったのよ

それなのに
六日前から
降り出した冷たい雨

私の身体は冷え切って
弱ってしまって
立つこともできないみたい

身体は紫色になってるの
見られたくないな
嫌われたくないな

あなたとの時間が
私の全てで
本当に幸せだったから

せめて
最期に精一杯の笑顔で
あなたを迎えたかった

もう一度
あなたと
キスしたかったな

私の目はかすんで
もう見えないけれどね

今ね
あなたの楽しそうな姿が
ぼんやり
見えた気がするの

きっと神様がくれた
最後のプレゼントね

幸せのまま
天国に行けそうよ

神様ありがとう

お母さん
私を
産んでくれてありがとう

本当に
産まれてきてよかった

やがて終わる世界に


『ねぇ
どこに蜜いっぱいの
花があるのというの?
約束と違うじゃない』

『この辺に、
在ったんだけどな
本当だよ!
ねぇ、機嫌直してよ
もっといい花を
探してみせるから』

青い空
もんしろちょうのカップルが
枯れたハルジオンの上を
幸せそうに
ひらひらと
楽しそうに飛んでいきます



芽仮題『白い童話』
(文・HIROAKI 絵・SUIREN)
All rights reserved SUIREN & Atelier CHIDORI.

ひろあき!
絵に負けてるぜ!
文を磨け!

やがて終わる世界に-未設定