インターミッション@銀座シネパトス | ねじくりっぷ

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「男は黙ってシネパトス」

大槻ケンヂさん関連のニュースで、銀座シネパトスが3月末で閉館する事を知った。

コラボTシャツが数量限定で販売されているとの事で
職場が近い事もあり、その日の帰りにTシャツを購入した。

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調べて観ると、レンタル屋でも中々見かけない様な作品を扱う映画館の様で
大槻ケンヂさんが対談の中で「男は黙ってシネパトス」と云ったほど。

その閉館する映画館を話のテーマに
撮影現場もまんま銀座シネパトスが使用された映画
「インターミッション」が、銀座シネパトス最後の上映作品という事で観て参りました。

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狙った訳ではないのだけど、たまたま観に行く事ができたタイミングが
閉館日の「インターミッション」1回目だった為
着いてみると報道らしきカメラを持った人たちが其処彼処。

チケットを買い、
3つある上映スペースの内一番広い「シネパトス1」に入り
券を捥られ、客席に入ると
半端な配置で予約席の様なシートが被せられた座席があった。

上映前のアナウンスによると
撮影時に役者さんが演技中使用していた座席との事。

早くも自分が居る映画館と、作中の映画館とがリンクし
自分がこれから作品のエキストラになるかの様な気分になった。

映画の初めの方で、シネパトスの真下を地下鉄が走っている為
上映中に聴こえる走行の音が、劇場の特徴である事が説明され
作中でもその演出が使用されていた。

実際、観ている間も一定のタイミングで座席が響くほど
電車が走行しているのが解り、その振動も含めて作品を楽しむ事ができた。

この「インターミッション」はDVDになっているのだけど
視聴中の電車による振動は、「シネパトス」でしか体感できないものと思うと少し嬉しい。

物語は、劇場の支配人クミコとそのダンナで絵描きのショウタを中心に進むが
観客役として登場する、役者数人毎の物語が織り成す、オムニバス形式でもあった。

登場人物の一人一人を観ているだけでも楽しめるほどの
個性の強いキャスティングで
決め決めの台詞と想える場面もあり
ある程度設定を決めただけの、役者の即興劇の様な場面もあり
観ていて飽きない演出だった。

特に竹中直人さんの演じていた
昔、大ヒットした映画を撮ったけど24年12ヶ月撮影していない
元監督の役は、アドリブ感が強く面白かった。

自分的に解釈するならば
この「インターミッション」という作品は
個性的な作品を上映する「銀座シネパトス」という映画館の事を表現しつつ
昔の作品に出演していた役者さんを登場させたり
ギャグ・エロス・ホラーなどの様々な要素を取り入れた
日本映画の娯楽作品としての総括の様なものだと思った。

最後の演出も日本映画に限らず
アクション映画のラストの展開と共通する処。

始めと間と終わりで登場する、眼が不自由で可愛い娘も
「内容は良く解らなかったけど、可愛い女優が出演していたから良かった」という
内容を知らずに観た映画などでよくある
男性的な視聴後の感想を持たれる作品を表現している様に思えた。

DVDやBlu-ray、インターネットでも映画を観る事ができる様になった時代だけど
映画館に足を運んで観た作品の想い出、というのは
新しい映画館や自宅のモニターで観たそれよりも
古くから続いている映画館で観た、少し不自由な環境の方が印象的で
作品と映画館がセットで、ずっと先まで記憶に残っているものだ。

電子書籍で小説が読める様になっても
変わらず文庫本で、物語を読み続けたい自分としては
好きな役者の作品を、好きな映画館で観たい。

新しく広くてキレイな観やすい映画館は増えているけど
映画の思い出が、ずっと先まで残る魅力ある映画館は、あまり多くない。

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