※連続小説です!結構長く分割されています(^^)
無名の作家、太陽さんより
1-1は
http://ameblo.jp/zakkaeftsiz/entry-12119874635.html

1-2は
http://s.ameblo.jp/zakkaeftsiz/entry-12122341198.html

1-3は
http://s.ameblo.jp/zakkaeftsiz/entry-12124886163.html?frm=theme



石川さんの絶望と恐怖が想像できる。
誰かが確実に石川さんを狙っている。
なにが目的でいるのか。石川さんが何を持っているのか。雲を掴むような謎だが、これ以上のことが起こらなくては良いのだが。

「ただ、」
僕が話始めると、彼はまたビクッと反応し、僕の目を覗きこむ。
「フェイスブック上でのそういった変化点になる人たちのことを一つずつ調べるのは手掛かりになるかもしれませんね」
彼は目を輝かせ、そうですかね、と身を乗り出してきた。
気休めでしかないだろうけど、何もアクションを提示しないよりは彼にとっても良いだろう。
「あと他にも何か思い当たることとか、突然の出来事なんかあれば教えてくださいね。何か力になれるかもしれないので」

「そう言えば」彼は突然思い出したように頭の中の過去の出来事を掘り出しながら話し出す。
どうやら、彼の上得意にグチグチ文句を言われて、その後トイレでストレスを吐き出すように相手の文句を呟いていたのを聞かれたのかもしれないという話を始めそうだったので、僕は彼のもっと関係がありそうな出来事を彼の中から探しだすようにつとめた。

激変のスマホ業界に位置しながら、彼の人生はあまり劇的ではない日常の中にいることがわかった。大手取引先の御用聞きと言ったような営業回りで、朝から晩まで過ごし、口うるさい上司も最近は軽くこなせるようになっている。職場のアシスタントさんともいい距離感を持ちつつうまくやっているようだった。同僚と飲みに行くことが少ないのが少し気にかかるが、家庭持ちであることを考えれば普通だろう。誰にでも愛想がいいことが気にかかる。深い話はしないし、自分が話したことも覚えていないほど場当たり的な会話しかしないのだが、いろいろなことに首を突っ込んでしまわないとも限らない。

「それでこんなこというんですよ。接待の夜にね。連れていってやっているのに説教ばっかたれられまして。経営者とは社員が出してきてものは、必ず一度は否定するんだ。そしてやり直させる。なんでかわかるかい。どんなものが出てきても考えさせて、磨き直させるんだ。そうすることで、良いものを作り出せるようになる。だから、俺もお前にノーといい続けるんだ。内容を見てるときも見てないときもノーだ。それで一番良いものを提供してもらえるんだよな。ようやく。とかっつって、ムカつきますよねー」
石川さんは僕の適当な相槌を横目に話続けて、今では少しスッキリした顔まで見せている。
まあいいか、暗い顔して、もっと暗いことが起こっても嫌だから。
僕はさらに適当な相槌をして、彼にフェイスブックでの新しく友人となった人の情報を見せてもらった。

合計四人。二人は知っている顔写真があり、二人は写真無しだ。
全員大学の同級生らしい。皆同様に、久しぶり、元気とか言う会話から連絡が始まり、めっちゃ懐かしいね、なんか近況とかシェアできると思うから良かったら友達承認して、とかいうフランクな会話をしてきたらしい。
この久しぶりの友達からの連絡に対して無防備に友達承認をしていることはわからなくもない。しかし、石川さんは名前以外の情報のない旧友の友達の申請も承認していたのだから、あきれてしまう。こんなインターネットセキュリティの重要性が上がってきている昨今にあって、まったく無防備すぎるんだ。ただ今彼の過失を責めてもっと落ち込まれても大変だから言葉には出さなかった。
僕は彼と電話番号を交換し、後日なにか分かったら連絡する、その間に何かあったらまた連絡をくれれば相談できることを伝え、別れた。
彼は心細そうに僕を見送っていたが、店を出て振り向くとすでにスマホに向かって何かやっているようであった。



1-1は
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