いつかこんな日がくるとは思っていた……。
願い事は叶わないくせに
悪い予感は必ず当たる。
もはや当ブログの準レギュラーと言っていいだろう。
猪だ。
早朝のしまなみ海道。
大三島を出発して
大島から四国本州の今治へ向かう途中、暗闇から
いきなり二匹の猪が飛び出してきて
避ける間もなく衝突した。
度胸試しのつもりでスリルを味わいたくて高速道路を横断したのか?
はたまた「僕は死にましぇ~ん!」と
愛の証明を行動で示したかったのか?
それとも何も考えていなかったのか?
理解に苦しむ。
衝突後、車を路肩に寄せて赤い三角板を車を取り出した。
夜の明けきらぬ闇の中、初めて使う三角板に手間取りながら車の後方にセットする。
同時に携帯で警察と保険会社に連絡をする。
警察が来たのが衝突から40分後の5時半。明るくなって
警察の方と所見したところ
ラジエーターが壊れていてレッカー移動が必要とのこと。
保険会社にレッカー車の手配を頼み
レッカー業者が到着したのが七時過ぎ。
山を切り開き造ったのが「しまなみ海道」だから
元々の先住者は野生動物だったのだ。
レッカー移動中、業者さんと車中で聴いた話だが
ここ数年で猪との激突事故は激増しているそうだ。
反対車線で私の自動車と接触しただろう猪が絶命していたという。
かなりの大物だったらしい。
無駄な殺生に心が痛むが、轢いたのが普段気にかけている地域猫ではなく
畑を荒らす憎い猪であったことで良しとしましょう、と
お世話になっている方からアドバイスを頂いて気持ちは軽くなる。
またこの程度の事故で済んで良かったとも思う。
この十年で猪は日本で、島で激増した。
今まで侵入されなかった箇所も侵入されるようになった。
数が増えれば餌場にも困るが
同時に今まで警戒していた場所にも
「この先に楽園がある」
と開拓精神に富んだ個体もきっと増えたのだろう。
危険を顧みず天敵の潜む海原にその身を
最初に投じるペンギンを
「ファーストペンギン」呼ぶらしい。
猪の中にも常識に風穴を空ける
「突破者」がいるのだ。
できれば道路の往来時には
「右見て左見て~」
左右確認する猪が出現して欲しいものだが。
ファースト・ワイルド・ボアを渇望してやまない。
付け加えれば、車両保険に入っていて良かった。
レッカーの手配から全損扱いで70万の保険料が
入り修理代もその分でまかなえた。
ドラレコを見た妻は
なぜ、「うわぁ~!」とか声を出さないのか?
淡々としすぎ。臨場感が足りない。
身体を気遣うよりもダメ出しをする。
子供は衝突後にラジオから流れる音楽が
「ゲームオーバー」みたいで
見返す度につぼにはまったように腹を抱えて笑う。
ったく。
衝撃のためにエアバッグが開き
火薬の匂いが車内に立ちこめた。
モータースの方によると火薬の仕組みで
エアバッグが発動するそうだ。
空気の抜けたエアバッグは
漫画「変態仮面」のマスクのようで
乾いた笑いがこぼれた。