1992年、私はハリソンリーバー・レイノン社の社長でした。
その時、顕進様に初めてお会いしました。
顕進様に初めて事業報告した時のことが今でも忘れられません。

当時はコンピューターがまだ一般化しておらず、直接書いた財務報告書を準備しました。私は顕進様が報告を聞いて、いくつかアドバイスされた後、すぐに会社の施設を見て回られるだろうと思っていました。報告が始まると顕進様は真剣に聞いておられました。一枚目の報告も終わらないうちに顕進様は残りの三枚を読み終わって一言語られました。「固定費がとても高いですね。在庫があまりにも多く、売上利益が減少しています」実はこれは私が避けたかったと思っていた結論であり、報告が終わるまで触れたくなかった部分でした。それよりも売上高成長の可能性や面白い新製品などについて話をしたいと考えていました。ところが顕進様はすでに重要な問題点を把握し、会社を改善させる為、この脆弱性をどのように解決するべきかにより関心を持っておられました。当時、顕進様にはコロンビア大学の学位やハーバード大学MBAの修士号もありませんでした。顕進様はその時、バルセロナ・オリンピックから帰ってきたばかりの22歳の青年でした。数年間、乗馬に関する事にのみ没頭してきただけでした。ところが顕進様は私の報告書の本質をすぐに把握し、私が6年間運営してきた事業をどう成長させることができるかについて、既に私と話し合う準備ができていました。

顕進様に対する第一印象は、18年が過ぎた今も生き続けています。多くの事が変わりましたが、顕進様がどういう人物で、どういう考え方をされるかという核心と本質は全く変わっていません。顕進様のアプローチは常に真の父母様と真の家庭への尊敬心と責任感から始まっています。顕進様は自分の家庭に対して絶対否定的な話をされず、自分と一緒に働く人達にもそのような否定的な話をすることを許可されませんでした。最初から顕進様は「モデル的な会社」或いは「理想的な会社」を作りたいと思っておられました。顕進様は会社で最も重要なことはビジョンであると考えておられたので、常にそのことについて明確に説明されました。「理想的な会社とは問題がない会社ということではありません。会社の規模が大きく、利益を多く創出する会社でもありません。理想的な会社とは神様の摂理を中心とした会社です」私達の会社では統一教会のメンバー以外にも多くの人が一緒に仕事をしていましたが、私達のビジネスは常に神様と真の父母様と真の家庭という縦的な軸を中心にしていました。それは職場での祈祷や訓読会で大々的に宣伝するという意味ではありません私達のビジネスでは、他の宗教を持つ人も歓迎されましたが、全員が私達が信じることとその方向性についてよく知っていたということです。

初年度の私達の会社のスローガンは「専門性」でした。私達の会社には良い人は多かったですが顕進様は各自が自分が上手にできる分野を見つけてそれに集中することを願われました。そして、どんなに専門的な技術を持ったとしても一緒に仕事をしないと成功することはできないと語られ、その翌年には「チームワーク」に焦点を合わせることにしました。数年前、ノートに記した内容をもう一度読んでみると、顕進様は今も時々同じことを語られることがあります。

顕進様の哲学は一言でまとめられます。それは「人に投資しなさい」ということです。顕進様は、信頼できる人に時間と労力を注ぐことが人に投資することだと考えておられます。顕進様は信頼できる人を探す為にその人に本当に大変なコースを通過させます。状況が難しくなった時、その人がどのように動くのかを見ることができるというのです。快適で魅力的なコースを通しては、誰が最も優れているか、誰が最後まであきらめないのかを知ることはできないというのです。そのため、顕進様は過度に高い基準を要求する指導者として知られるようになり、一部の人達は「負担だ」とまで言いました。見る観点によってはそのようにも言えるでしょう。しかし顕進様は、人気のあることや評判の良いことに興味を置いておられません。それよりも摂理の為に責任感を持っておられました。これは決して容易なことではありません。これまで顕進様は、能力のあるリーダーを育てる為に物心両面の投資を惜しまれませんでした。顕進様と一緒に活動する多くの一世の指導者たちが最高のビジネス大学で教育を受けられるように支援されました。多くの二世教育費の出資者でもありました。彼らは最高の大学で意思決定過程と指導力について学ぶことができました。

私は、舞台や大衆の前に立つ顕進様ではなく、非常に個人的、日常的な環境での顕進様を目撃してきました。(中略) 顕進様と一緒に過ごした多くの時間を通して、私は人生において最も正直で忠誠心のある高潔な人に出会う幸運を得ました。顕進様は常に自分自身の父母様をどうやって喜ばせることができるかを考えており、真の父母様の教えを言葉だけでなく心と体が一つになって実践する方法を常に模索して来られました。今日までこのような行動が一貫して継続しているのです。顕進様は真のお父様が願われたことを如何にお手伝いすることができるか、私達がどのようにして神様の摂理に積極的に参加できるのかについて、今日も語っておられます。

「神様の夢の実現」より