【オススメ漫画】君が僕らを悪魔と呼んだ頃 | ぴょんぴょん跳び隊

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私は『君が僕らを悪魔と呼んだ頃』に1票( 'ω'o[]o

かつて悪虐の限りを尽くした少年は、自分の罪を自覚したとき、その罪の重さに耐えきれず記憶喪失になる。
何も覚えていない平凡な男子高校生として生活していたが、過去に侵した罪にまつわる関係者や、被害者、悪友から自分が過去に侵した罪を知ることになる。


悪魔のごとく圧倒的だった頃の記憶はなく、人格もすでに変わって"良い人"として生活している。
記憶のない罪と後悔。自分と関わる人達が、かつての自分が犯した罪によって苦しめられる。

暴力的、性的な描写も多く目を覆いたくなるようなシーンも少なくない作品。
別の人間として、真っ当に生きることすら許されず記憶のない過去の罪を背負い続けるユースケを想うと、反省のしようがない償えない罪人に対して、一生罪を背負わせることは果たして正義と言えるのだろうか?と感じる。

過去に罪を犯した人がまた同じ罪を犯さない保証はないが、絶対にまた犯罪を犯すという確証もない。
証明することが不可能か非常に困難な事象を"悪魔の証明"という

罪を悔い改め、真っ当になっても世間が許してくれるとは限らない。

昔、悪いことをしたからまた同じように悪魔のようなことをするかもしれない。だから、街から追い出すしかない。
あぁ…せめて、何かやらかしてくれたら追い出しやすいのに…
過去を知る前は「こんなに良い人はそういない」と言っていた人が、ユースケの過去を知り、恐れ離れようとする姿を見ると切なくなる。
何もしなくても「いつかやるかもしれない」万が一何かをしてしまったら「あぁ、やっぱりアイツは悪魔だった」という
一生許されないプレッシャーに耐えられる人はどのくらいいるのだろう?

重犯罪は罪に対して、それに見合う罰を与えられるべきだが、罪に対する罰が適切かどうかの判断を下すのは難しい。
悪魔を追い出す正義のため、と何の被害も直接受けたことがない人が石を投げたり、家に落書きをする。
この行為のどこに正義がある?

過去の罪は消えないかもしれないが、それを許すか許さないかは被害者と法律が決めること。
何も知らないのに決めつけて、叩くことは正義ではない。

記憶のない罪を背負い続け、世間からバッシングを受けながらも自分を許せずにいる。それ自体、耐え難い罰だと思う。

単純な観ていて爽快な勧善懲悪作品ではなく、犯罪や罪や正義に対しての価値観を大きく揺さぶる作品。
しんどいけれど、色々考えるキッカケになる名作だと思う。