池袋の某有名店を始め、多くの出品店は強気の値段設定。
比較的優しい箱を漁り、手に取った中にあったのがこれ。

Michel Petrucciani「Power Of Three」
Michel Petrucciani(以下ペト)。
先天的な病で、体は小さく(身長約100cm)、骨は脆かった彼だが、そのピアノはダイナミズムに溢れる。エヴァンスから大きな影響を受けているというのが一般的な解釈だし、本人も認めているところだ。しかし、そのダイナミズムはむしろエリントン、マッコイ・タイナー、ピータソン等からの影響を強く感じさせる。特に、打ち付ける様なトーンにタイナーとの共通点と見るが、前途した先人との違いは彼独特の「陰陽」にある。
エヴァンスと比べると、どうしてもペトの陽気でエンターテインメント性溢れる部分が目立ってしまうが、ピーターソン等と比べると、その陽気の中にとんでもなく大きな闇を抱え込んでいる事に気付く。
アルバムの話に戻る。
徹底的に「引き算」された、張り詰めた音の世界が繰り広げられ、聴く者の緊張感をも高めていく。やはりJim Hallはこういう小編成の演奏がハマる。
そして最後の曲、「Bimini」
カリプソ調のリズムが、それまでの緊張感を一気に解きほぐしカタルシス(イントロ、ペトがインして拍手が起こった瞬間涙不可避)へと導いていく。
ある意味らしく無いのだが、ショーターの生き生きとしたフレージングが素晴らしい。
そしてまさにその時!
イケイケドンドンな雰囲気の中に、明らかに引っかかるピアノの音がある事に気付く。
これこそがペトの「闇」が顔を覗かせた瞬間なのだと思う。
では彼の闇の正体とは一体何なのか?
考えるに、それは「死」ではないだろうか?
生まれた時から寿命は20年と言われ、彼の人生の隣には常に死があった。
だからこそ、死を享受し、自らの音として取り込む事ができたのではないか?
生と死が隣り合わせであり、誰よりも死に近い場所で生を全うしたペトだからこそ、この太陽の下で生きる喜びを表現した様な曲の中で、さも当然のように死を匂わせることができたのではないか?
本人に尋ねることも出来ないし、本人も意識していたとは思えませんが、このアルバムを聴いてそんなことを考えました。
では、またその内。
