『小泉さん、最後まで画家でいて下さい』
昨年鬼籍に入られた小泉幸夫さんが入院したのは11月の中旬でした。
悪性リンパ腫のステージ4という事で、、、
お見舞いに行った日、小泉さんにこう語りかけました。
『小泉さん、絵を描く気持ちに至るかどうかわかりませんが、絵を描いた方が良いです。
これまでの人生絵を描いて来たのだから。
どれだけ時間が残されているかどうかは分かりませんが、残された時間を好きな事に使いましょう。
私もそうですが、小泉さんには絵しかないと思います。
小泉さん、最後まで画家でいて下さい』
そして入院先ではアクリルも使えないだろうし絵も描けないだろうと思い、用意しておいた黒いスケッチブックと銀色や白など様々な色のゲルインキボールペンを渡しました。
『黒い紙に銀色のボールペンで描いたら小泉さんの作品のイメージに近いんじゃないですか』
と話ながら私が描いてみせました。
『後は小泉さん描いてみて下さいね』言って病室を後にしました。。。
それから数日して訃報が入り、、、
霊安室にいた小泉さんはいつもの小泉さんでした。
ただ動かないだけで。。。
渡したスケッチブックには私が見本として描いた絵の上によれよれの線で続きが描かれていました。
サインも「kizumi」と「o」の文字が抜けていました。
もう限界で筆を置いたのですね。
自分のサインも描けないぐらいギリギリまで描いたのですね。
その小泉さんの心情を思うと涙が出てきました。
最後まで画家でいてくれたのですね。
ありがとうございます。
小泉さん。。。