『ANOTHER WILD AT HEART』
あの夏…
少しぶっきらぼうだった貴方は
夜風に震えた私の肩に
革ジャケットをかけてくれた…
それよりさらに三年前
恋に破れて泣いていた17歳の私
そっと差し出してくれたハンカチーフ
F1マシンの絵柄が描かれていたよね
貴方のそのハンカチーフ
少しヨレヨレだったよね
一人暮らしと聞いてたけれど
きちんと生活出来てるのかな?
でも私には嬉しかった
貴方の言葉は少なかったけれど
それが私の時間を動かしてくれた…
八月の風は 私には冷たかった…
貴方の背中に顔を埋め
ライダースジャケットを濡らした涙
海から来る風と夏のスピードの中で
忘れたはずのあの人への想い
寄せては返す波のようなリフレイン…
貴方は黙って私を抱き寄せてくれた
〝アイルトン・セナ…″が口癖の貴方
気がつけば私、貴方に恋をしていた
朝陽と潮騒を背にして交わしたキス…
それから程なく
私の中に 新しい命が宿っていた
元気に私のお腹を蹴っていた
〝男の子かもしれないね″
そう笑い合った あの頃…