レビュー 月刊コミックREX 4月号/2008  某作家の逝去についても少し | テレビゲームのソムリエになりたい - yzxのつぶやき

レビュー 月刊コミックREX 4月号/2008  某作家の逝去についても少し

コミックREX 2008年4月号 新人の作家が連載3ヶ月目で逝去されたことにより、
極一部においてのみ話題になっている 今月のREX。

その話題にのっかるような形でアレだけど、
せっかくなので久々にレビューしてみる。


01. 逆襲!パッパラ隊 / 松沢夏樹
毎回変なキャラクターが登場して、ギャグをかますのがパターン。
今回登場した「魔王」というキャラクターはなかなか悪くない。
絶対に地獄温泉 を元に連想されたキャラだとは思うけど。キャラが悪くないのでなかなか面白かった。「りくねえ」の受け止め方も良かった。

02. 蒼海訣戰 / 納戸花丸
過去編。今後はガンダムSEEDで例えるなら、キラとアスランが出会って敵になって~ってな話をするんだと思う。あっちの作品では、最終的に仲間同士になるけど、こっちは仲間同士にならないパターン。過去編ってのは、最終的に不幸な話ってのが漫画のパターンですし。

03. 私立彩陵高校 超能力部 / 石田あきら
相変わらず主人公不明。超能力うんぬんというよりも、ラブコメです。
否、ラブコメとしての方が面白いから、そっちの路線になってるような感じ。
一人の男としてこれだけは言いたい。カシムラ氏ねwwww

04. エスペリダスオード / 堤抄子
例えるなら、エルナサーガでガンダムSEED。かなり違うけど。
最近、いろいろと面白くなってきた・・・というよりも、今の展開にもってくるまで、こうも時間がかかるものかと。
ホント、ここまで来るのに時間がかかり過ぎた。連載を続けさせた編集部を評価。

05. 東方儚月抄 / 原作:ZUN 漫画:秋★枝
連載当初と比べると、秋★枝氏が漫画家として著しい成長を遂げたのが分かる。
素直に読みやすさが面白さにつながってる。悪くないね。

06. ひめなカナメ / 結城心一
冒頭のページが「カーグラフィックTV」のパクリ。分からない人には面白くないぞ。
しかし、そんなニッチな所が結城心一の魅力だ。なんとなく、俺だけ大爆笑な感じになるんで、やめなさいってw
現在、つっこみ役がどんどんヒドい役柄になってます。つっこみを亡くすと今後が大変よ?

07. かんなぎ / 武梨えり
作者は1つ上の漫画家の妹。マジか!?
アニメ化が決まって、いろいろ旬な作品。アニメの方も監督が「らきすたを降板した人」で、脚本は倉田英之と決定しているので、とある層にとっては「角川グループが全盛」な感じがある昨今、この作品の存在は不気味ながらも期待せざるを得ない。かなりwktkです。

漫画の方は、冒頭の「祭」という単語に裏切られる。そうか、「夏」の「祭」ならそうなるよなorz
話も先月から何気に続いてるんですねぇ。意外でした。で、ちゃんと本来の「祭」もやると。
今号は連載漫画しての「伏線を張りなおした」感じがあります。

08. ビズゲーマー / 峰倉かずや
ようやく、ステンシルで連載してた頃に話が追いついたカナ?
面白いことは間違いないのから、今後は順調に連載が続いて、ちゃんと終了できるかですな。
終了できないなら、この作家はその程度。期待しすぎてもダメなんだろうなぁ。

09. ティンクルセイバーNOVA / 藤枝雅
ミクシで「取るに足らない作家です」と書いた日に、本人のあしあとが残っていたことには正直、唸りました。
この人の連載漫画はわりと不安定で、話が途切れ途切れになりやすいなと常々感じているからなんですが。
そのあたり、単行本でまとめて読む人なら問題に感じないんだろうけどさ。

さて、漫画の方。今号は前号との話がスムーズに続いてる。
展開としても「正義が負ける」っていうのは一つのアクセントになるし、盛り上がります。
面白かったですよ。来月号は休みだけど…

柱に「6月号に増ページで復帰予定」って書いてあるんですが、この作家で増ペーシがホントに実現できるのかと不安に思う。無理はしなくていい。この作品を休載させてもいいので、別誌の漫画に専念して頂いて、それをきちっと完了させて欲しいとも思う。いおの様ファナティクスという例があったし…この作家の表現したいことは、一つの作品でかなり事足りるんではないかと邪推。

10. えるえるシスター / 邪武丸
「えろえろシスター」と読んでも差し支えないと思いますよ。そんなに「えろ」くないけど。
単に「えろ」を連想させるのがこの作品の特異な部分だろう。男性視点で描かれる妄想が蔓延る百合漫画です。
(※蔓延る - 「はびこる」と読みます)

11. シンシア ザ ミッション / 高遠るい
試合と試合の合間。インターミッション。
現実逃避の姉ちゃんかわいいよ。残虐性とのギャップ萌えか?
最後は「嘘だっ!!」と言わずにはいられない。やり過ぎじゃないのか?
いや、綺麗だからいいのか!?

12. 鬼ごっこ / 黒柾志西
最近、この作家が人気のあるエロ漫画家であることを知りました。
「エロ描いてたんだろうな~」とは思ってましたけど、そっちのペンネームが自分でも知ってる作家名だとは思いもよらず。
お世話になったことがない作家だとそんなもんか。
で、漫画の方。
「新たな力」うんぬん以前に衣装やら「マンホール」とかにいろいろ突っ込みを入れたいんだが。

13. ハンド×レッド / 原作:倉田英之 漫画:星樹
写植と黒ベタなセリフ枠で文字が読みづらいのですよ。
しっかり読めばそれなりに面白いけど、最初のページの掴みがいつも悪いなぁと思う。

14. ソウル ガジェット ラディアント / 大森葵
この漫画用の専門用語が多すぎて、現在購読してる月刊漫画誌が10誌を超えている私にはついていけません。
Web上のどこかに、この漫画が好きな人が、しっかり解説でもしてるから当ブログではどうでもいいだろう。きっと。

15. ろりぽアンリミテッド / 仏さんじょ
アニオタうざいわwww
台風はテロなんですね。これだと選挙時もテロになりますねwww

16. アイドルマスター リレーションズ / 上田夢人
バンナムがアイマス信者を増やすための漫画。
でも、私のアイマス嫌いは変わらない。
そう言えば、コミック1巻のドラマCD付の限定版が微妙にプレミアだけど、この『微妙』ってな部分がこの漫画の面白さを表してると思う。「アイマス」って言葉がなきゃ見向きもされかったのだろうな。

でも、敵役の東豪寺麗華のキャラは悪くない。

17. 立花の少女 / FLIPFLOPs
DSゲーム「世界樹の迷宮2」のコミカライズ。
TTRPGのリプレイ漫画みたいなもんか。「面白いか?」と聞かれたら、あんまり面白くないね。

18. 学園天国パラドキシア / 美川べるの
俺、この漫画大好きだ!
誰がなんと言おうと面白い!
最後のオチが、次号に続くのかしら? むしろ、そのオチで話作った方が面白そうだけど。
くだらないと言えばくだらないのだけどw

19. ツキとおたから / 渡真人
説明コマがやや多く、アクションの展開も少しもっそりしてる。
盛り上げようにも、少し盛り上げらない。伏線があるわけでもないし。絵は悪くないけれど。

20. いかさま博覧亭 / 小竹田貴弘
雑誌で読めば、コミックREXにすごく重要なアクセントをもたらしてる。
毎回毎回、一話読み切り漫画でよく続いてます。ページ数が少ないのはいろいろとツライのかなと心配。
ちなみに、単行本の第二巻が発売されました。いい漫画です。知っておいて損はないんです、ホント。

21. テイルズオブレジェンディア / 藤村あゆみ
少女漫画的なコマ割りがやっぱり良くないと思う。いかんせん、読み難いのと世界観が不釣合いかと。
スポンサー付きの漫画だとこんなものか?

22. オレとメイドと時々オカン / 内村かなめ
そこそこ面白い。

23. ガウガウわー太2 / 梅川和美
意外と続いてます。うんちくが無いと、物足りない漫画だと思ってしまう。
今号は物足りませんでした。

24. にゃうりんGIRL / 慶優(新人)
昔、ヤングジャンプに「ちょっとごめんネコ」という漫画があっ(以下、略

25. 俺野鳥観察日記 / つくりものじ
柱に書いてあるとおり綱渡りな漫画ですな。
「奈須きのこ(笑)」には不覚にも笑いました。ただ、いろいろと知ってなきゃ笑えないのも確か。
最後は「ツッコミ」の重要性を表現してます。ツッコミキャラって、やっぱり不幸になりやすいよね。

総評
全25作品、620ページ(表紙含む)。
雑誌としては、特に目新しい部分はないけど、初期から描き続けてる作家や、同人上がりの作品、途中からのギャグ系作家の作品などで、漫画雑誌としては程よくバランスが取れてる感じ。今号は出産で休載の橘あゆん先生や、今井神の「白砂村」が休載だったけど、あんまり気にならず。(女性作家は出産期があるため、どうしても連載が不安定になりやすいのですが、しっかりと連載を続けようとする姿勢はご立派。橘先生は「プロ」としての自覚がある、いい漫画家さんなのですね。いろいろと見直してます。)

正直、雑誌としての安定期じゃないかなと思う。それなりのクオリティを毎号提供できるような状態。個人的に、今はウルトラジャンプより面白い。アフタヌーンよりかは少し面白くないけれど。コミックラッシュや、シリウス、リュウ、ガンガンWING、Gファンタジーと比べると遥かに面白いのです。

あとは、移籍作家に頼らずにオリジナルで面白いストーリー作家が生まれることが望まれるけど、やはりそれは一番難しいことか。この雑誌の創刊初期の特徴でもあった「同人誌で創作系の作家で人気のある作家を中心に・・・」って感じについては、今はかなり薄れてる。

次号予告に「読みきり」や「新連載」といったワードが一つもないので、そこらへん少し気になりますね。


番外. 某作家の漫画を検証
冒頭で少し書いてる部分について。
依代智行氏はエロゲの原画も書いてらっしゃったようで、それなりに見映えのする絵を描くことはできるようだけれども、これが漫画だとそううまくいくもんではないのは当然のこと。

漫画はあくまでも漫画。そこには、1枚の絵として見映えうんぬんよりも、全ては1つのコマであって、その前後のコマや台詞によって、最終的な「面白さ」が生み出されるわけだ。

で、氏の漫画は面白かったかと言えば「面白くなかった」。それは、彼が「漫画家」として未成熟であったことに他ならない。それが良く分かるシーンがあるので、そんなシーンをいくつかチョイス。

まず、漫画の序盤。開始から4P目。
彼と彼女の境界線_序盤
登場キャラが全員同じ方向を向いて時点でアレではあるけれど、2コマ目と4コマ目のキャラクタは初登場で初セリフ。もうちょっとどうにかならなかったのかと思う。向きが不自然だし、ネームについても推敲が足らない。(このブログも推敲が足らないので、同じことはとても言えないのではあるけれど)

次に、第二話で手抜きがよく分かる場所。
彼と彼女の境界線_手抜き
この手の描き方はどうかと思う。

そして、この構図についても、同様にイケてない。
彼と彼女の境界線_構図について
正直、氏がエロゲの原画やってたこと自体が私には疑問である。
どう見ても、デッサン力がないのは分かるし、いろいろ未熟。
中には、見るに耐えない人は出てくるかとは思う。
(上記の部分以外にもいろいろと稚拙な点が多いので、編集側がしっかりと口を出すべきだったんじゃないかなとも思う。

だけれども、新人の漫画家は漫画描かなきゃ話にならない。
何せ、未成熟のままで育たないのだし。
だから、雑誌で買っていれば今回のような氏のような力量…またはそれ以下の作家というのはよく見かけるもので、至極、日常のことなのでもあるのだけれど。

連載を続けてれば、現在の秋★枝氏のように、漫画家自身の成長を作品を通して間近で目にすることもあるし、
ふとした展開からすごく面白くなる漫画もあれば、読者の期待に応えられずに廃れる漫画もある。
私は、根っから単行本よりも雑誌で読む派だから、そういう部分にも楽しみを見出しているのもあるのだけれども、
そういった楽しみはないのかい? と思う時もある。
(でも、私が一番最初に買った漫画雑誌「少年ジャンプ」の購読理由は「ドラゴンボールが早く読みたかった」からなのだけどね)

ただ、単なる一読者が悪意をもって連載を辞めさせようというのは筋違い。
読者アンケートで面白くなければ面白くないと評価するのは当然のことだけど、
「連載を続けさせないようにする手段」として用いることはどうなのかと。
そして、連載が続かなかったことを「仕方ない」や「当然のこと」と言うならまだしも、そこに「ザマアミロ」的な言動を言うのはどうかと。

何にせよ、
連載が続けば面白い作品を生み出していたかもしれない依代先生の逝去、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
ただ、残念。


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