今日はいつもより2時間早く出社。
天気がイマイチだが、山は朝の香りが濃密だ。
事務所に入る前にコンビニコーヒーを飲みながら、少しだけ優雅な時間を過ごした。
早朝からの出社は前日の外出が原因で、訪ねた先で飲みのお誘いに付き合ったからだ。
断るのも野暮なので、車で寝る事にして週末前の一杯を楽しんだ。
分かっちゃいたが、車は寝苦しいので、早朝から目が覚めて早めに出社した。
朝から体も痛いし寝不足気味で目覚めたが、車社会だけあって車中泊には寛容だなと思う。
幸いにして会社の中にシャワーもあるし、着替えや歯ブラシ・髭剃りなんかもある。
泊まるには怖い所だが、泊まってもいいように準備されていた事に感謝だ。
朝の身支度も会社で済ませてパソコンの前でメールを開く。
東京の仕事が上手く回っておらず、サポートの要請が数件あったが、今の時点では対応が難しい。
田舎の寛容さに比べて、都会仕事のセキュリティの壁に阻まれるが、1か月前にはソレが当り前だった。
始業までの時間、不毛なやり取りをするのも眠くなるだけだと思って、外に出て体を伸ばす。
誰もいない職場で、ボーッと周りの山々を眺める事しばし、やっとスマホのアラームが鳴った。
起きる時間じゃなくて、東京勤務の時の自宅を出発する時間に設定してある。
1か月前の俺はこれから満員電車に揺られて、額に汗を浮かべてスマホを弄る暮らしをしていたのがウソのようだ。
今の俺は、人の洪水から流しだされて、無人島に辿りついたようなものかもしれない。
ここではスマホは繋がらないし、朝は上着がないと寒いくらいだ。
会社の始業時間は東京も田舎も変わらない、もう少しすると田舎道を職場仲間が車で出勤してくる時間になる。
そして、遠くの山を越えてメールに乗って、東京の仕事が追いかけてくるだろう。
日々の戦いに備えて深呼吸をすると、草や土の匂いがして、データが生まれる場所から自然が生まれる場所に移動してきたんだと実感する。
山を見上げて思う事は、やはり遠くに来たんだなという思いだ。