小学生の時に、
近所に恵美子さんという同級生がいました。👧
クラスが違ってましたので、
あまりよく知らない子でした。
体が弱かったらしくよく学校を休んでいたようでした。
私の家からは目と鼻の先でしたので、
よく恵美子さんが窓から外を覗いているのを見かけました。
クラスではとてももてたらしく、
お友達、
とくに男の子たちがたくさんお見舞いに来ていました。👦
例えて言えば、
ひまわりみたいな感じの女の子でした。
何の病気かは知りませんでしたが、
だんだん休む回数が多くなっているようでした。
それでもお見舞いの子たちはますます増えてるようでした。
クラスの子達がいるときはとても明るいのですが、
窓からひとりで外を見ているときは寂しそうでした。
私は毎日犬の散歩をさせていたので、
恵美子さんの家の前を毎日通っていました。
ある時に恵美子さんに呼び止められました。
「邪魔しちゃって悪いんだけど、ちょっと聞いてもいいかな」
「いいよ。メリーちゃんの散歩させてるだけだから」
「思いっきり走るのってどんな感じなの」
「どんなって、ちょっと苦しいかな」
「気持ちよくないの。顔に風が当たってさ、気分よさそうだけどな」
「恵美子さんは走ったことないの」
「心臓が悪くて走っちゃいけないって言われてるの。心臓に穴が開いてるんだって❤️」
「そうなのか?元気そうに見えるけどね。学校も休んでるの?」
「ときどき行ってるよ。調子のいい時だけね。手術終わったら元気になるかな」
「え、手術するの?心臓の手術でしょ。オレも3回手術されたけどな。たいした手術じゃなかったけどね」
「手術怖かった」
「怖くはなかったけど、後がたいへんでもうこりごりだよ」
「思いっきり走ってみたいな。手術終わったら走れるかな」
「よく分かんないけど、今それだけ元気なんだから走れるようになるよ」
「こんなに近くに住んでるのにあまり話したことないね」
「恵美子さんは大人しい(おとなしい)からね。俺と遊んでるヤツらはガラの悪いのばっかりだもん」
「そんなことないよ、じゃあまたね」
これが恵美子さんと最後の会話になってしまいました。
恵美子さんが死んだわけではありません。
手術も成功しました。
早稲田の下町のゴミゴミしたところでは体に悪かろうと、
自然の多いところへ引っ越してしまったのでした。
きっと恵美子さん、
野原を思いっきり走り回っていたんだろうと思います。
ドバイのホテルのお花です。
ドバイの電車で寝ていると逮捕されるという噂があります