認知行動療法では、
不快な感情を軽減するために、
否定的な考え方を見直していくことになりますが、
この否定的な考えそのものを取り除くことが認知行動療法の目的ではありません。
なぜなら、
否定的な考え方が正しいということもあるからです。
よくないのは、
否定的な考え方しか持てないことなのです。
認知行動療法では、
否定的なものだけでなく、
肯定的なものも、
中立的なものも、
さまざまな考え方を取り入れることによって、
今ある事態に対して合理的な判断をし、
現実的な対応ができるよう促していきます。
わかりやすく言えば、
「マイナス思考を正常な思考に戻して、冷静に対処する」
ということになります。<➖→➕>
何か良くない出来事が起こった時に、
その事実を本当に「正常に客観的に」直視することができればいいのですが、
現実はそう上手くはいかないものです。
そして、
マイナス思考の悪循環の罠に、
はまっていってしまいます。
例えば、
大学受験で希望の大学に不合格となり、
酷く(ひどく)落ちこんだ場合のことを、
考えてみましょう。
「考え方を変えるだけ」
の認知行動療法のイメージでは、
「希望の大学に不合格であったからといって人生絶望ではない」
と言い聞かせて諦める、
といったイメージになるでしょうか。
しかし認知行動療法では、
このような考え方の転換をする訳ではありません。🙅♂️
認知行動療法では、
大学受験の不合格によって、
絶望的である側面と、
そうでない側面の両方を等しく考慮して、
「その上でどうすればいいか?」
ということを考えていくのです。
認知行動療法によって様々な見方、
考え方を総合した結果、
浪人して、
もういちど同じ大学を受験し直すことが、
よりよい対処法であるという結論に達するかもしれません。
これはただ落ちこんでいるばかりの時には、
とても思いつかなかった対処法であるかもしれません。
つまり、
認知行動療法は、
事実を無視して諦めるために考え方を修正するのではなく、
人生を投げてしまわないために、
事実を正常に直視して、
それに対処するものなのです。
お正月の上野の牡丹園です。
牡丹の花はいいよね