出版社から手紙が来て、何かと思ったら、読者から抗議の文面のコピーが入っていて、その返事を書いてくれということでした。
私は最近はあまり原稿は書いていないし、文句が出るはずはないんだがなあと思って読んでみますと、他人の書いた文章に対する抗議でした。
よく読んでみると、マクロとミクロを間違って使っていただけのことでした。
間違えたやつもアホですが、こんなはっきりしたことをわざわざ手紙を書いて抗議するやつも同じくらいアホだと思いました。
そのアホになんで私が謝罪文を書かなくてはいけないのでしょうか。
本人に書かせればいいのではないでしょうか。
でもこれはいつものことなんです。
私、謝罪文を書くのが得意だと思われているらしいのです。
著者と読者が双方傷つかないようにまとめなくてはいけません。
面倒な仕事ですが、世話になっている出版社ですので、しばらく放っておいて、あとで書くことにしています。
これで思い出したのですが、大学で仕事をしていたときに、苦情処理係というのをやらされました。
医者と患者がケンカするのは毎日のことでした。
医者に対して納得がいかないと、院長室に怒鳴り込む患者が多かったのです。
しかし院長に怒ったって、ただの爺さんですから何のらちもあきません。
それで、我々の科は、苦情処理係を作って対応することにしました。
ところが私がその専任になってしまいました。
患者の方ははじめからケンカ腰で来ますから、話し合いは容易ではありません。
納得させてお引取り願うと、ぐったり疲れてしまいました。
医者と患者のトラブルは医者の側にも責任があります。
いまどき医者が人格者だと思っている人は誰もいません。
退院のときに泣いて帰っていく患者さんがいました。
退院が嬉しくて泣いていると思いましたので、
「退院でよかったですね」と声をかけましたら、
「私、悔しくて泣いてるんです。主治医と看護師、あいつらは絶対に許せない」と言って退院していきました。
テレビの医者のドラマなんて嘘ですからね。
くれぐれも上手に病院と医者を選んでくださいませ。 |