健康のためのスポーツが盛んですが、実はスポーツは健康にとって、プラスにもマイナスにもなります。

 昔はスポーツのプラス面ばかりが強調されましたが、最近はスポーツと健康についての研究が進み、ふだん運動に慣れていない人が高強度のスポーツをすると、体に良くないことが分かってきました。
マイナス効果をもたらす元凶は、活性酸素です。
これが体内で増えると、細胞が傷つき、健康が損なわれます。

 プラス面としては、まず肥満や高血圧、高脂血症などの改善に効果的です。
これらの症状を持つ人、あるいはその予備軍の人が運動を始めると、血圧では上が10、下が5、また中性脂肪は20%、コレステロールは10%ほど下がると言われています。
 また、中高年世代に急増している糖尿病の予防効果もあります。
 このほか、適度の運動は大腸がんや前立腺がんなどの予防も役立ちます。
大腸がんの場合は、スポーツによって罹患リスクが半減するとの研究データもあります。

スポーツのマイナス面ですが、当然のことですが、スポーツがすべて健康に悪いわけではありません。
マイナス効果として働くのは、ふだん運動に慣れていない人が急に激しい運動を始めたり、運動のやり過ぎといったケースが多く、それは体内の活性酸素が増えるからだと言われています。
活性酸素は“酸素毒”と呼ばれ、発がんや老化、動脈硬化などを促進します。

 酸素はふつうO2の状態で安定しています。
ところが、時として酸素分子を構成する電子の一つが瞬間的に遊離して不安定になり、非常に暴れやすい状態になります。
これが活性酸素で、血管の内皮細胞を傷つけたり、遺伝子の中のDNAに傷をつけます。
活性酸素は“酸素毒”と呼ばれるだけあって、発がんや老化、動脈硬化などの原因となり、私たちの健康にとっては大敵と言えます。

 通常、呼吸で体内に取り込む酸素のうち、2%は活性酸素に変化すると言われていますが、激しいスポーツはタバコやアルコール、ストレスなどと並び、活性酸素を大量発生させる引き金になります。
 ただ、激しいスポーツで活性酸素が増えて危険なのは、運動慣れしていない人たちです。
日頃から運動を継続している人の場合は、活性酸素を消し去る酵素が体内にできるため、激しい運動をしても健康を損なう心配はあまりないようです。

 運動慣れしていない成人の初心者がスポーツを始める際の目安としては、1週間のエネルギー消費量が2000キロカロリー程度が良いとされています。
これは体内の脂肪が一番減る運動量と言われており、この程度にとどめておけば、活性酸素もそう問題にならないでしょう。
 スポーツによるエネルギー消費量は、1時間のウォーキングで約300キロカロリー、ジョギングで約600キロカロリーです。
従って、ジョギングなら週3回程度が好ましいと思います。
走れば走るほど健康に良いというのは間違いです。

適度なスポーツが健康にいいということです。
運動不足はいけませんが、運動のやりすぎは健康にとって逆効果になってしまいます。くれぐれもご注意を。