最近、『日本語語源学の方法』(吉田金彦:著、大修館書店:1976年刊)という本を読んだのですが、これにとても興味深いことが書かれていたのでご紹介しましょう。

それによると、「うれし」(嬉)と「うれふ」(憂)という二つの言葉は、意味を考えるとあまり関係がなさそうに思えますが、これらの語根「うれ」は、ともに「うら」(心)という言葉が原義なのだそうです。

また、「うら」を語根とする言葉には、「うらなふ」(占)、「うらむ」(恨)などがあるそうです。

私が思うに、「うら」は裏、すなわち目に見えない部分を指す言葉ですから、これが心を意味する古語というのは納得できる説ですね。

そこで、『大日本国語辞典』を調べて見ると、「うらやむ」(羨)という言葉の原義は「心・病む」で、やはりこれも「うら」(心)から派生していました。(次図参照)


【うら・うらやむ】(上田万年・松井簡治:著『大日本国語辞典』より)

ところで、本ブログの「かつて「う」はわ行にあった」という記事でご紹介したように、「うら」はわ行の言葉だったと思われますが、このことを支持する証拠として、「ゑらぐ」という言葉の存在が挙げられるかもしれません。

なぜなら、「ゑらぐ」の意味は「咲(ゑ)み栄えて楽しむ。満悦す。」ですから(次図参照)、心の状態を表現する言葉として、わ行の言葉である「うら」から派生したと考えるのがとても合理的だからです。


【ゑらぐ】(上田万年・松井簡治:著『大日本国語辞典』より)

つまり、WURA → WERAGU ということですが、もちろんこれは私の単なるひらめきなので、参考程度にお考えください。

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