陰の徳
易経一日一言
牝馬(ひんば)の
貞(てい)に利(よ)ろし。
牝馬(ひんば)は
地の類、地を行くこと彊(かぎり)なし。
(坤為地)
陰陽の徳を象徴する生き物のうち、
陽は
天を翔(かけ)る龍により表される。
それに対して、
地を行く牝馬は
陰の徳である
「従順」の象徴となる。
牝馬は牡馬よりずっと従順である。
「貞(てい)に利(よ)ろし」とは
従うべき時は正しく、
堅く徹底的に従うこと。
そうすることで
限りない力が発揮できる。
見せかけの
面従(めんじゅう)腹背(ふくはい)や、
強い者に諂(へつら)うことは
陰の徳ではない。
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「子曰はく、
人にして信無くば、
その可なるを知らず。
大車輗(げい)無く、
小車軏(げつ)無くば、
それ何を以てこれを行(や)らんや」
(為政第二)
は有名な論語の章句だ。
人に「信」がなければ、
もはや
生きてくことなどできない。
それは牛車や馬車に
牛や馬と車を繋ぎとめる
轅(ながえ)の横木がないのと
同じだ、ということ。
輗や軏は、
車と牛馬を繋ぎとめる
役割をするものだが、
孔子は、
信を
それらに喩えて
人と人とを結びつけるものだと言う。
信あればこそ、従えるのである。
牝馬は
乗り手を信じれるかどうかを
一瞬に見分けるのだと
易経は教える。
ありがとうございます
「坤為地の時、大いに通じる。
牝馬のように貞正であれば良い。
進む場合、
先頭に立てば迷い、
一歩遅れていけば主人を得る。
西南方面
(広々とした大地で陰の同類)に行けば
友が得られ、
東北方面
(険しい山々で陽を意味する)に行けば
同類の友は失うがそれで良い。
貞正で心安らかにして 吉」。
坤為地は
地と地が二つ重なった全陰の卦で す。
母なる大地の、
優 しく地味な姿です。
牝馬が
牧場でのんびりと
牧草をたべている情景です。
あなたは
先頭を きって進むことを
好むかも知れません。
しかし、坤為地の時は
人の後ろからついて行き、
人の意見に従い,
裏方や女房役に徹した方が
成功しやすい時なのです。
「我れ先に」でなく
「お先にどうぞ」の気持ちが
求められる時です。