Wikipediaより
天地に
所在 萬民を
あめつちに
あらゆる おおみたからを
濕玉ふ 御神
うるほしたまふ おおがみ
木の神は
句々逎馳命
きのかみは
くぐのちのみこと
久々能智神の
名義は、
ククを、茎の意と取る説と、
「木木」の古形と取る説とがある。
ノは助詞、
チはヲロチ・イカヅチなどの
チと同じとされ、精霊の意、
あるいは
霊力あるものの尊称などとされる。
類似の神として、
大殿祭祝詞に
「屋船久久遅命〈是は木の霊なり〉」
が見える。
「屋船」は
家屋全体をふね(槽、容器)に見立てた語
とする説があり、
家屋の神として
祭られていることによる称と
捉えられている。
この神は、
御殿の木材の神格化とする
説があるが、
また、山の神を祭って
伐り出した材で造った神聖な柱、
忌柱(いみばしら)に宿った神で、
樹木の神ククノチを
家屋の柱に移して
家屋の神として祭ったものと捉える説もある。
火の神は
軻遇突智命
ひのかみは
かぐつちのみこと
『古事記』では、
火之夜藝速男神
(ひのやぎはやをのかみ)・
火之炫毘古神
(ひのかがびこのかみ)・
火之迦具土神
(ひのかぐつちのかみ;加具土命)
と表記される。
また、『日本書紀』では、
軻遇突智(かぐつち)、火産霊(ほむすび)と
表記される。
金属の精錬
(金山毘古神・金山毘売神)、
土器の製造
(波邇夜須毘古神・波邇夜須毘売神)、
焼畑農耕
(弥都波能売神・和久産巣日神)、
刀剣の鍛造(石析神以下)
のように、
火の使用による
生産的な活動に関する要素が
見出だされる。
こうした内容から、
火の利用による
人間の文化の起こりが
語られていると捉える説もある。
死体から生まれた神々様
石折神(いはさくのかみ)
根折神(ねさくのかみ)
石筒之男神(いはつつのをのかみ)
甕速日神(みかはやひのかみ)
樋速日神(ひはやひのかみ)
建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ)
闇淤加美神(くらおかみのかみ)
闇御津羽神(くらみつはのかみ)
正鹿山津見神
(まさかやまつみのかみ、
迦具土神の頭から生まれる)
淤縢山津見神
(おどやまつみのかみ、
迦具土神の胸から生まれる)
奥山津見神
(おくやまつみのかみ、
迦具土神の腹から生まれる)
闇山津見神
(くらやまつみのかみ、
迦具土神の性器から生まれる)
志藝山津見神
(しぎやまつみのかみ、
迦具土神の左手から生まれる)
羽山津見神
(はやまつみのかみ、
迦具土神の右手から生まれる)
原山津見神
(はらやまつみのかみ、
迦具土神の左足から生まれる)
戸山津見神
(とやまつみのかみ、
迦具土神の右足から生まれる)
死体の各部位から
神々や地形などが生まれることは、
中国の『述異記』の盤古神話や、
インドの『リグ・ヴェーダ』の
プルシャの神話などに
同様の観念が見られることが
指摘されている。
土の神は
埴山姫命
つちのかみは
はにやまひめのみこと
波邇夜須毘売神
名義は、
「波邇夜須」をハニ・ネヤスと解し、
埴(はに。土器などの材料となる粘土)を
練って柔らかくする(ねやす)ことの意
とする説がある。
従って、この神の性格は、
土器などの製作に関わる
粘土の神とする説や、
『日本書紀』(五段一書六)に
「土神を埴安神と号す」と
あることから
粘土に限らず土一般の神とする説
とがある。
出生のもとになった
火神との関係は
土器を焼き固めることに求められ、
屎から生まれるのは、
ねやした埴が屎と似ていることからの
連想とする説がある。
金の神は
金山彦命
かねのかみは
かなやまひこのみこと
金山毘古神
「金山」の語について、
天の石屋の段に
「天の金山の鉄を取りて、
鍛人の天津麻羅を求めて、
伊斯許理度売命に科せ、
鏡を作らしめ」
とあるのが参考にされる。
この「金山」は
鉱山と解するのが一般的で、
金山毘古神・金山毘売神の二神は
鉱山の神と解する説が
行われている。
タグリ、嘔吐によって
生まれることについては、
鉱石を火で溶かした様子からの
連想によるとする説や、
食物が人の腹中で成り変ったものが
タグリであると捉え、
鉱石が火の力によって
金属になることの表現とする説がある。
水の神は
水速女命
みづのかみは
みづはやめのみこと
弥都波能売神
弥都波能売神の名義は、
ミツハのミを水と解して、
水つ早、あるいは水つ走の意と取り、
灌漑の水の源を司る神とする説や、
灌漑用の水を走らせる女神とする説、
ミヅハナと取り
(『万葉集』19・4217に「始水(はなみづ)」とあり、
出水の先端の意とされる)、
出始めの水の女の意で、
火の暴威鎮圧と
灌漑用水の神格を兼ねるとする説、
水際(みつきは)の転で、
水害のない清泉を
表象したやさしい女神として
崇拝された神とする説がある。
草の神は
萱野姫命
くさのかみは
かやのひめのみこと
『古事記』では
鹿屋野比売神、
『日本書紀』では
草祖草野姫(くさのおやかやのひめ。
草祖は草の祖神の意味)と表記し、
『古事記』では別名が
野椎神(のづちのかみ)である
叉は
野槌命
または
ぬつちのみこと
別名の「ノヅチ(野槌)」は
「野の精霊(野つ霊)」の意味
大海原を
主宰給ふは
おおうなばらを
つかさどりたまふは
瀬織津姫
速秋津比咩神
せおりつひめ
はやあきつひめのかみ
古事記・日本書紀には
記されていない神名である。
水神や祓神、瀧神、川神である。
九州以南では
海の神ともされる。
祓戸四神の一柱で祓い浄めの女神。
人の穢れを
早川の瀬で浄めるとあり、
これは治水神としての特性である
『倭姫命世記』
『天照坐伊勢二所皇太神宮
御鎮座次第記』
『伊勢二所皇太神宮
御鎮座伝記』
『中臣祓訓解』においては、
伊勢神宮内宮
別宮荒祭宮の祭神の別名が
「瀬織津姫」であると記述される。
なお、荒祭宮は、
かつては正宮に位置していた
と推定される。
伊勢神宮公式の由緒書きに、
「その御魂を
このように二宮に並べてお祭りするのは、
皇大神宮に天照大神を、
同別宮に天照大神の荒御魂を
奉祀する姿の古い形と言われています。」
と記されている。
このとおりであれば、
正宮は、
式年遷宮のたびに
位置を替えるのではなく、
常に
東に位置する正宮は天照大神、
西に位置する正宮は瀬織津姫を
祀っていたこととなる
五穀の神は
保食神 稲蒼魂命
ごこくのかみは
うけもちのかみ
うがのみたまのみこと
『古事記』では
宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、
『日本書紀』では
倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
と表記する。
名前の「宇迦」は
穀物・食物の意味で、
穀物の神である。
また「宇迦」は
「ウケ」(食物)の古形で、
特に稲霊を表し、
「御」は
「神秘・神聖」、
「魂」は「霊」で、
名義は
「稲に宿る神秘な霊」と考えられる。
記紀ともに
性別が
明確にわかるような記述はないが、
古くから女神とされてきた
衣服を 織始給ふは
いふくを
おりはじめたまふは
拷幡千々姫命
たくはたちちひめのみこと
葦原中津国平定・天孫降臨の段に登場する。
『古事記』では
萬幡豊秋津師比売命
(よろづはたとよあきつしひめのみこと)、
『日本書紀』本文では
栲幡千千姫、
一書では
栲幡千千媛萬媛命
(たくはたちぢひめよろづひめのみこと)、
天萬栲幡媛命
(あめのよろづたくはたひめのみこと)、
栲幡千幡姫命
(たくはたちはたひめのみこと)、
火之戸幡姫児千千姫命
(ほのとばたひめこちぢひめのみこと)
と表記される。
神名は
「萬幡」を「多くの布帛」、
「豊」を「多く」、
「秋津」を「蜻蛉の羽のように薄い上質なもの」、
「師」を「技師」(織女)と解し、
名義は
「多くの布帛で、多くの蜻蛉の羽のように
薄い上質なものを作る技師」
と考えられる
「栲」は楮の繊維または白膠木、
「ハタ」は「機(はた)」のことである。
「チヂ」は縮むの意とも、
たくさんあるの意ともいい、
前者であれば
織地が縮んだ色鮮やかで
美しい上質の織物のこととなり、
後者であれば
機織がさかんな様子を表す。
いずれにしても
機織や織物に関係のある名前
ということになる。
織物の神として信仰される他、
安産、子宝等の神徳をもつとされる。
瓊瓊杵尊や天忍穂耳命とともに
祀られることが多い。
家を 作始給ふは
いえを つくりはじめたまふは
手置帆負命
彦狭智命
たおきほおひのみこと
ひこさちのみこと
●手置帆負命
讃岐忌部氏
彦狭知命と
木を切り出し瑞殿を作った伝承から
共に工匠(工作を職とする人)の
守護神とされ、
木造建築の
上棟式(棟上げ)などにおいて
祭神とされる。
天照大神が
天の岩屋に隠れてしまわれた時、
彦狭知命(ひこさしりのみこと)と共に
天御量(あまつみはかり)をもって
木を伐り、
瑞殿(みずのみあらか)という
御殿を造営した。
天児屋命(あめのこやねのみこと)らが
祈りを捧げ、
天鈿女命(あめのうずめのみこと)が
舞を奏したところ、
天照大神は
岩屋を出て、この瑞殿に入られた。
後年この間に天降りした
大国主命(おおくにぬしのみこと)の笠縫として
仕えたとされる。
●彦狭智命
『出雲国風土記』や「望月」系図では
天御鳥命の別名を伝える。
神名について、
ヒコを「すぐれた男子」、サチを「鉄の矢」の
意味と解する説がある
風の神は
かぜのかみは
級長戸邊命
級長津彦命
しなとべのみこと
しなつひこのみこと
●級長戸辺命
しなつひめのみこと
●級長津彦命
『日本書紀』一書六では、
伊弉諾尊の吹き払った息が
風神、
級長戸辺(しなとべ)命となり、
その別名を
級長津彦(しなつひこ)命としている。
「級長津彦」の方は
ヒコとあるので、
『古事記』と同じく男神であるが、
「級長戸辺」のベは
女性を意味する語と
解されるので、女神と考えられる。
シナトは、
六月晦大祓祝詞に
「科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く」
とある。
山の神は
大山祇命
やまのかみは
おおやまつみのみこと
『古事記』では
大山津見神、
『日本書紀』では
大山祇神、他に大山積神、大山罪神
とも表記される。
別名 和多志大神、酒解神。
草と野の神である
鹿屋野比売神(野椎神)との間に
以下の四対八柱の神を生んでいる。
天之狭土神・国之狭土神
天之狭霧神・国之狭霧神
天之闇戸神・国之闇戸神
大戸惑子神・大戸惑女神
神名の
「ツ」は「の」、
「ミ」は神霊の意なので、
「オオヤマツミ」は
「大いなる山の神」という意味となる。
往来を守給ふは
岐の神
ことゆきをまもりたまふは
くなどのかみ
「くなど」は
「来な処」
すなわち
「きてはならない所」の意味。
もとは、
道の分岐点、峠、
あるいは村境などで、
外からの外敵や悪霊の
侵入をふせぐ神である。
船を守給ふは
船玉の神
ふねをまもりたまふは
ふなだまのかみ
船霊(ふなだま)とは、
海の民が航海の安全を願う神。
船玉とも表記する。
壽福を守給ふは
太田神
じゅふくをまもりたまふは
おおたのかみ
太田命(おおたのみこと)は、
古代日本の人物
『皇太神宮儀式帳』では
宇治土公(うじつちのきみ)の
遠祖
大田命とだけ記され、
『大神宮諸雑事記』では
宇治土公の遠祖で
当地の土神とされている。
「児島」系図では
宇治土公の祖を
久斯比賀多命三世孫の久斯気主命をとし、
石辺公(いそべのきみ)や
狛人部(こまひとべ)と同族であるとされ、
『神別系譜』では
太田命が
久斯気主命の三世孫とされることから、
太田命は三輪氏の同族となる。
『皇太神宮儀式帳』では、
倭姫命が大田命に
「汝の国の名はいかに」と問うと、
「この河の名はさこくしる伊須須の河」、
「この河上はよき大宮地あり」
と述べたと記される。