ナイトキャップ書評 | 高い城のCharlotteBlue

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書評家アイドル 西田藍さんの、書評を紹介してゆきます。
基本的スタンスとして、書評でとりあげている作品は読んだことがあるとしています。
ネタバレを気にする方はご注意ください。

 今日は疲れているのか、せっせと書いた文章をうっかり消してしまった。
 なぜか、「これはもう不要だな」と思ってファイルを削除してしまったのだ。おかしい。僕はテキストファイルを消す事は、まずやらないのだが。おかげで二十年以上前のメモだって残っている。

 また書き直すのも面倒だけど、ブログを更新するつもりになっていたのに、このまま何もしないで寝るのも悔しい。
 というわけで、西田藍さんの書評から、僕の好きな文章をいくつかあげようと思う。


文學界2013年8月号
ギャツビーがすきだけどきらいなの
私は彼になれないし、彼の世界に行けないし、想い人にもなれない。不幸をどうすることもできない。不幸さに〈萌える〉しかなくなるのだ。不幸萌え、は欲望である。
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ダ・ヴィンチ 2015年2月号
フィリップ・K・ディック『人間以前』
ぴかぴかきらきらしていない、知らないのにちょっと懐かしい、砂の匂いがする作品たちだ。
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ユリイカ2015年8月号
特集・江戸川乱歩
乱歩のエログロは、心地よい距離感とリアリティで嗜虐趣味を満たしてくれる。遠い昔の東京はかすれたフィルムの奥にきらびやかにいる。そこに真っ赤な血が垂れているイメージ。ロマンティックだ。
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 どれもお気に入りの文章だ。
 頭の芯に疲労が染み込んだような夜、少しだけ注いだ酒を舐めながら読んでいると、だんだんほぐれてゆくような気がする。
 さて、寝るか。今夜は本を読む夢を見るかもしれない。