【石鹸の起源】
石鹸の起源について「現代知識チートマニュアル」という本に記載されていた。
↪最古の石鹸は紀元前4000年前のメソポタミアで使用されていた。という事が楔形文字による記録から判明したらしい。
動物の肉を焼き、したたった脂が下にある灰と反応してできた土、
これが洗浄能力があるとされ、石鹸として利用されていたそうだ。
下記の図は石鹸の作り方を化学式で表したものだ。引用1)

[引用 1)日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)_石鹸洗浄知識]
脂肪酸(弱酸)と強塩基(この場合NaOH)が反応し塩(石鹸)が生成している。
最古の石鹸に置き換えると、
・動物の肉の脂は 脂肪酸 、比較的長い炭素鎖の末端がカルボン酸の構造を持つ。
・灰は炭素 C や水素 H が燃焼し、カリウム K、カルシウム Ca、ナトリウム Na などが酸化物(固体)として燃え残ったもの。
↪植物の灰はK2CO3やNa2CO3が豊富に含まれており、これらは水に溶けると強塩基の性質を持つ。
↪実際、植物の灰の灰汁(アク)は汚れ成分の脂と反応し、洗浄作用を示したため、古くから身体や衣類の洗浄に利用されていた。
この動物由来の脂(脂肪酸)と灰汁(強塩基)が混ざりできたのが初代石鹸である。
また、石鹸の種類はこの脂肪酸と塩基の種類によって様々である。
興味深いことに、ローマ時代の洗濯では尿が用いられていた。引用2)
↪人間の尿は約98%が水、約2%が尿素、その他少量のアンモニアなどが含まれる。
尿素の構造はカルバミド(H2N-CO-NH2)であり、体外(大気中)に排出されると
バクテリアが持つウレアーゼによりアンモニア(NH3)と二酸化炭素(CO2)に分解される。
アンモニアは強塩基であり尿を用いると脂溶性の汚れと反応し、衣服が綺麗になったという。
実際はおけに尿を溜め、発酵させた後衣服を投入。足踏みして汚れをおとしていたらしい。
【石鹸に使用される脂肪酸】
話はそれたが、まずは一般的に石鹸に適している脂肪酸について記載する。
石鹸に適した脂肪酸としてよく使われているものは、下記の表に示す炭素差が10以上~20以下のものである。脂肪酸の種類によって、洗浄力や泡立ちやすさなどが異なるため、目的に合った成分をいくつか組み合わせて使用するのが一般的とのこと。引用3)

[引用 3) 日本石鹸洗剤工業会_石けん洗剤知識]
炭素差が10以上~20以下を使用する理由は石鹸が汚れを落とす仕組みに起因する。
石鹸は界面活性剤と呼ばれる、親油性部分(炭素鎖)と親水性部分(カルボン酸塩)を有する化合物である。
親油性部分が油脂汚れに吸着し、それを内側に、親水性部分を外側にしてミセルを形成し、
油脂汚れを水中に分散させることができるため、洗浄作用を持つ。

[引用 4) シャボン玉石けん_界面活性剤(脂肪酸ナトリウム)とは]
よって親油性部分の炭素鎖が長いほど洗浄力が大きい分、水に溶けにくい性質を持つ。
(ラウリル酸 C12 vs ステアリン酸 C18)
↪不飽和脂肪酸(炭素鎖中に二重結合を有する)については、脂肪酸分子同士の疎水基間相互作用だけでなく,
疎水基内の二重結合と、隣接する水分子との間の双極子一双極子相互作用(引力)が考えられる。引用5)
よって同じ炭素鎖数で、不飽和と飽和を比較すると不飽和の脂肪酸の方が親水性が少し高い。
また、不飽和脂肪酸分子同士の疎水基間相互作用は直鎖である飽和脂肪酸に比べて小さく、
それに伴い、泡の強度も比較的小さくなる。(ステアリン酸 C18 vs オレイン酸 不飽和C18) 引用5)
【石鹸に使用される塩基】
石鹸の製造方法は2通りある。油脂そのものを塩基で加水分解する「鹸化(けんか)」と、
油脂を加高圧分解して得られる脂肪酸と塩基を直接反応させる「中和」の2つである。
塩基としてはNaOHやKOHが用いられ、NaとKの違いとしては、塩を形成した際の溶解度にある。
Na塩はK塩と比較して溶けにくく、固体石鹸として
K塩は溶解度が高く液体石鹸として用いられる事が多い。
↪K2CO3 溶解度 112g/100 g 水(20 ℃)vs Na2CO3 溶解度 22 g/100 g 水 (20 ℃) by wiki
石鹸についてまだまだ気になることは多いが、今回はこの辺で終わり。
[引用 2) 石鹸百科_石鹸や洗剤がなかったころの洗浄剤]
