村上龍著『限りなく透明に近いブルー』

芥川賞受賞作を立て続けに読んでみた。
時代的な違いなのか、それとも本書が特殊なのか、
他の受賞作とはずいぶんと違った感覚に陥る。

端的に言ってしまえば、ジャンキーの日常である。
これといったストーリー展開もあまりなく、
淡々と、いや、淡々ですらなく、ただ日常を記録したような作品である。
しかし、それだけではない。
読み手に深く印象を与える表現、比喩などが随所に散りばめられていて、
もしかしたらその物語自体より、その表現の仕方こそが
この本の本筋なのではないかと錯覚する。

限りなく透明に近いブルー、
いつか人はこのガラスのようになれるのだろうか。


個人的評価:★★★★★(5/10)



新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)/村上 龍
¥420
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綿矢りさ著『蹴りたい背中』

主人公とはとても思えないような少女と少年の物語。
とても現代的な青春小説といった体。
随所に散りばめられた聴覚、嗅覚、視覚、触覚がこの世界観に深みを出している。
また、一般的に考えれば「蹴りたい」=敵意と思われるところを、
主人公にとっては「蹴りたい」=ある種の性的衝動だったとは。
しかも本人の自覚がないあたりが10代らしい清々しさも感じる。

うん、とっても面白かった。


個人的評価:★★★★★ ★★(7/10)


蹴りたい背中 (河出文庫)/綿矢 りさ
¥399
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金原ひとみ著『蛇にピアス』

よくある出逢いから、スプリットタンに憧れるようになった少女ルイと、
その周りの男たちによる物語。

10代や20代の抱える闇が、いい毒となり物語を包みこんでいる。
若者独特の空気感、希薄な現実感、そしてルイの心情。
刹那主義で廃退的で、ラストにルイはなにを感じ取ったのだろう。
文庫版とオリジナルではラストが微妙に違うそうだが、
この完結しない終わりというものが、また惹きつけられる。

ところで舌に14Gって、安定するもんなのかなぁ。
俺は12Gですぐに安定したが。


個人的評価:★★★★★ ★(6/10)


蛇にピアス (集英社文庫)/金原 ひとみ

¥400

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津村記久子著『ミュージック・ブレス・ユー』

赤い髪をした、パンクによって生きている高校3年生の青春。
正直、30ページや40ページあたりまでは、
まるで惹きつけられるものを感じなかった。
しかし、徐々にその世界、というか、アザミやチユキから目が離せなくなる。
十代の、特に高校3年生という貴重な時間、
その中で成長していく彼女たちの姿は、いろいろと考えさせられる。

そして、人と人を結びつける音楽って、やっぱいいよなぁ。


個人的評価:★★★(3/10)


ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)/津村 記久子
¥540
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三上延著『ビブリア古書堂の事件手帖2 栞子さんと謎めく日常』

ビブリア古書堂の事件手帖の続編。
ひとつひとつのストーリーは、やはり面白い。
じっくりと読める。
意外だったのは、漫画やエッセイまで取り上げていたことかな。
登場する書籍は全て実在のもののため、勉強にもなる。

個人的には、二人の関係性の変化が、なんかもどかしい。
こういう展開は、正直なくてもよかったのになぁなんて。


個人的評価:★★★★(4/10)


ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)/三上 延
¥557
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