2024年6月25日

 

映画 ”かくしごと”

(京成ローザ)

 

 

 これは料金の価値あり。最初、展開がとろいなと思って見ていたのだが、だんだんとミステリ色も出てきて画面にひきこまれる。ひとつの嘘が次々に連鎖していく。

 そして最大の嘘は・・

 

【ストーリー】

 絵本作家の千紗子は、長年にわたって絶縁状態となっていた父・孝蔵が認知症を発症したため、仕方なく故郷へ戻って介護をすることに。他人のような父との同居に辟易する日々を過ごしていたある日、彼女は事故で記憶を失った少年を助ける。その少年の身体に虐待の痕跡を見つけた千紗子は少年を守るため、自分が母だと嘘をついて一緒に暮らし始める。認知症が進む父と3人で、最初はぎこちないながらも次第に心を通わせ、新しい家族のかたちを育んでいく千紗子たちだったが……。(映画.comより)

 

 

 

 結末、くどくど説明せずにこのまま終わればいいのに、と思っていたらその通り正にぶつっと終わった。これでいい。


 という女優は好きな女優だ。本作でも熱演と言っていいだろう。微妙な感情をよく表現していた。


 子役の中須翔真が秀逸。9歳の役としてはちょっと大人び過ぎているがそれはまぁ仕方がない。


 奥田瑛二はさすが。認知症の進んでいく老人を過不足なく演じていた。自分の両親のことを思い出し、感慨深く見たことである。


 酒向芳は好きな俳優さんです。この人も役柄に応じて全く変幻自在、カメレオンですな。

 

 ところどころ現実に照らして疑問な部分もあった。たとえば、少年を保護しょうという決意と行動はいいが、学校のことに触れてないのは不自然ではないかしら。それとも夏休み中という設定だったのか。そういう説明はなかったと思うぞ。

 裁判の過程で検察側が否定したといっても、弁護士が正当防衛の主張をしないのは理解しづらい。いくら被告の千紗子が拓未をかばうために自分が罪をかぶろうとしたにしても、経緯を見る限り正当防衛の主張をする余地は十分にあったはずだ。

 

 いずれにしても原作を確かめてみたい気にさせられた。

 

【キャスト】

  • 里谷千紗子:杏
  • 犬養洋一 / 里谷拓未:中須翔真
  • 野々村久江:佐津川愛美
  • 亀田義和:酒向芳
  • 犬養安雄:安藤政信
  • 里谷孝蔵:奥田瑛二

【スタッフ】

  • 原作:北國浩二『嘘』(PHP文芸文庫刊)
  • 脚本・監督:関根光才
  • 音楽:Aska Matsumiya
  • 主題歌:羊文学「tears」F.C.L.S.(Sony Music Labels Inc.)
  • 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
  • 配給:ハピネットファントム・スタジオ
  • 企画・制作:ホリプロ
  • 製作幹事:メ〜テレ、ホリプロ
 大手テレビ局が最近は映画製作にも積極的に乗り出しているが、ローカル放送局が製作幹事というのは珍しいような気がする
 
 2024年 128分
 
 最初の会社の某支店で働いていたころ、お客さんに〇〇さんという当時60~70代くらいの女性がいて、年齢の割にあでやかな人だなと思っていた。それもそのはず、柳橋の芸者を経て料亭を経営している方であった。私は直接の担当者ではなかったので、この方が安藤和津(奥田瑛二夫人)のご母堂と知ったのは少し後のことになる。
 その当時現役の柳橋芸者の最年少が80歳超とか言われていたが、かろうじて柳橋の風情が残されていたころか。今から40年近く前のことである。