2024年6月15日

 

神尾真由子 3つのJ.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ

 

 佐倉ハーモニーホール

 

 

【プログラム】

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ
◆第1番 ロ短調 BWV 1002
◆第3番 ホ長調 BWV 1006
◆第2番 ニ短調 BWV 1004

 

(アンコール)

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ
第1番ト短調 BWV1001 より 3.Siciliana(シチリアーナ)

 

 

 アンコール前に神尾さんがマイクを取って、アフタートーク(これは完全に和製英語)とも言うべきコメントを語ってくれた。曰く「全編バッハの無伴奏曲では、弾く方も聴く方も修業のようでしたね」と。

 さらに「後半も席に戻ってきてくれてありがとう」とも。なんでも米国在住時に、某有名演奏家が前半に現代音楽を演奏した時、インターミッションの後に、聴衆がいなくなってしまったことがあったとか。

 

 と言いつつアンコールもバッハ。

 

 情熱的な演奏で感銘を受けました。

 

 神尾さんの演奏は、昨年3月東京芸術劇場で、飯森マエストロ率いるパシフィック・フィルハーモニア東京との共演によるイェルク・ヴィトマンのヴァイオリン協奏曲を聴いて以来である。その時が正に現代音楽だった。

 

”本日のコンサート 飯森範親/神尾真由子  | 小人閑居して不平を鳴らす (ameblo.jp)

 

 

 前半と後半で衣裳を変えるかと思ったが、黒いオフショルダーのタイトなロングドレスで全曲演奏。10センチはあろうかというピンヒールで、体重移動もけっこうあるのに大変だなと思ったが、そんなものは素人のいらぬお世話であった。後半は特に情熱がこもり、からだの動きも大きくなりごく軽くではあるが靴音も出るようになった。

 

 無伴奏であるから全編ずっと演奏しっぱなしで大変なエネルギーを要したと思われるが、トッププロにさような心配は無用。からだは大きく揺れるが汗ひとつかかず爽やかな表情で弾き終えた。

 

 Brava!

 

 私のすぐ前の席の若い男性が、演奏中も全くじっとしていない。髪をかきあげる、プログラムをたびたび確認する、こきざみに身体を揺らす。どうやら指の仕草とか、幕間の隣の女性(母親?)との会話の断片から、自分もヴァイオリンをやっている人と見受けられた。だったら、鑑賞のマナーももうちょっと心得てほしい。ここは音楽教室じゃないんだから。

 

 静かに聴いてくださってありがとうございます、という言わずもがなのコメントがあったのはどういうことかな。演奏中携帯電話の音が鳴ること2回。振り返って確認したわけではないものの、2度ばかり客が出入りするようすも窺え、初めてではないが、コンサートでは稀有なことでありました。


 

 お美しい。この写真は今回だけでなく、メインヴィジュアルとしてしばしば使われている。お気に入りかな。

 

 チャイコフスキーコンクールで優勝したのは21歳の時。33歳で東京音楽大学教授に就任。かかる才媛をロシア人男性(ピアニスト)に取られてしまったのは悲しい・・

 

 使用楽器は、2017年5月より宗次コレクションから貸与された1731年製ストラディヴァリウス“ルビノフ”。音色があまりに美しいので驚いた。

 

 

 堪能いたしました。ありがとうございました。