2023年6月24日
 

パシフィックフィルハーモニア東京 第6回練馬定期演奏会
会場:武蔵野音楽大学 ベートーヴェンホール

指揮:飯森 範親
独奏:牛田 智大(pf)
曲目:
◆ブラームス/ハンガリー舞曲第1番、第5番、第6番
◆シューマン/ピアノ協奏曲イ短調 作品54
◆モーツァルト/歌劇《ドン・ジョヴァンニ》K.527より”序曲”
◆ビゼー/歌劇《カルメン》組曲第1番
◆マスカーニ/歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より”間奏曲”

◆ビゼー/歌劇《カルメン》組曲第2番

 

アンコール (ピアノ)

◆シューマン/《子供の情景》トロイメライ

 

 これはすばらしかった。

 

 ハンガリー舞曲の第1番が終わったところで、思わず聴衆から拍手が起きたのに対し、飯森さんは客席の方を振り返り、「このあと2曲続けてやりますから、拍手はそのあとに」とやさしく注意。ごく自然なイヤミのない調子だったので、客席から軽く笑いが起きた。

 

 飯森範親マエストロとPPTは、3月に東京芸術劇場で聴いて以来。その時も感じたが、指揮者とオーケストラが完全に親和して、メロディを奏でる目的に邁進する姿が美しい。飯森マエストロの、このオケを育てるんだという情熱と、それにこたえようとするメンバーの一体感が伝わってきてさわやかな気持ちにひたることができた。

 この時点で完全に飯森マエストロに魅了された。私と同姓(字は違う)なのも親しみを持つ所以である。
 

 牛田さんはやはり同じ3月に東京オペラシティでリサイタルを聴いた。技術はすばらしいのだろうが、やや無機質な音色がむしろ不思議な気がした。

本日のコンサート 牛田智大ピアノリサイタル | 小人閑居して不平を鳴らす (ameblo.jp)

 この日のコンチェルトも、出だしはオーケストラに埋没した感があり、オーボエやクラリネットのソロパートがかえって存在感を出していた・・と思っていたら、徐々に牛田さんの情熱は高まり、3楽章でのクライマックスでは自然に涙が出てきた。いや見直しました。現在ポーランドに留学中で、この日は一時帰国だと飯森マエストロが紹介していた。この1か月で4回目の共演ということで息もぴったりだ。2021年のショパンコンクールでは残念ながら二次予選で敗退したが、次回(2025年?)はおそらくラストチャンス(参加資格は16歳以上30歳以下で、現在24歳の牛田さんは2030年は無理)になるのでぜひ雪辱を果たしてほしい。反田恭平さんのポーランド留学の前例もあることだし。

 そういえば反田さんの奥さんの小林愛実さんは、まだ出産したとは聞いていないが、私 9月30日の彼女のリサイタルのチケットを購入済みである。大丈夫かな。

 

 後半は正に飯森マエストロとPPTの息の合った熱演。マエストロのオケに対する愛と、オケのメンバーがそれに応えようとけなげについていく姿勢が見えるようで、暖かい気持ちにさせられた。前にも書いたように、歴史の浅いオーケストラで構成員も少なく、音楽ファンの評価は必ずしも高くないようだが、私はこのオーケストラ好きである。

”本日のコンサート 飯森範親/神尾真由子  | 小人閑居して不平を鳴らす (ameblo.jp)

聴衆の反応も上々で、正に万雷の拍手であった。

 

 このチケット 割合直前に取ったので、2階席のそれも真ん中ではない、一般的にはあまりよくない席だった。それでも、左右も後も空いていたので多少余裕はあり、オペラグラスでステージをじっくり拝見することもできた。マエストロや個々のメンバーの表情も十分見ることができ、行儀よく窮屈に聴いているよりはよかったかもしれない。

 

 Bravo!!でした。

 

これがベートーヴェンホール。一大学のホールだが立派なものである。

 

ショパンの肖像。

 

これはベートーヴェン。

 

この日の私の座席より、開演前のようす。