2022年11月20日

 期待して見に行ったが、これはがっかり😞

 ネットの映画評では絶賛の声が溢れており、私の感性がたぶん歪んでいるのだろう。ちょいと信じられない思いだが。

 

 序盤主人公演じるエキストラの場面が四つばかり続き、極めて退屈な展開。セリフがほとんどないのは別に構わないが、芸術系を気取る映画にありがちな無駄な間の長さ、画面の暗さに不快感すら湧いてきた。

 30分ほど過ぎたあたりか、現実の場面かと思ったら撮影現場のシーンで、あれ、さっきのいかにも現実空間は何だったのか、いやそりゃこんなエキストラ俳優(香川照之演じる主人公)がこんな妙にいい女(野波麻帆 42歳と聞いてびっくり!)と暮らしてるなんてあり得ないよな、と、反則すれすれの伏線が、いよいよミステリアスな展開に繋がるのかと、期待抱かせながら最後まで欲求不満は解消せず。元々90分程度の最近では短めの映画だと承知していたところ、え、そろそろ時間だけどこれで終わったら怒るぞと思ったら画面暗転エンドロールへと。料金返せ。

 で結局何が言いたいの、アイデンティティの喪失はこの主人公の置かれた状況だけではなく、あなた、そこのこの映画を見ているあなた、あなたにも起こるのですよ、いやもうすでにあなたは自己喪失に陥っているのですよ・・てか。陳腐だ。

映画評の中に、TENET との類似を指摘する言があったがとんでもない。あの入れ子構造を、この「宮松と山下」のどこが表現しているというのか。

 

 誰がどこに書いていたのか忘れたが、見終わってよかったと思える映画は、5本に1本あればいい方だと。評価の優しい私はそこまで厳しくはないが、でもやはりせいぜい半分がいいところだろう。

 一時期ハリウッド映画がつまらなくなった頃、劇画の翻案あるいはアニメが世界を席巻した時代がもはや懐かしい。今やシネコンにあふれるのはテレビドラマの拡大版ばかりで、じっくり作り込んでいるはずのオリジナル作品は自意識過剰の凡作が大半である。テレビドラマの延長ばかりでは映画芸術が衰退するのを嘆いてもしょうがない。つい最近もテレビで映画版のコンフィデンスマンJPとか、あなたの番ですとか見ていたが、あまりのつまらなさに途中でやめた。かといって、勘違いした自己満足の映画は有償なだけ腹立たしい。

 予告編は実に上手に作る。テレビ広告も購買(?)意欲をそそる。それを裏切る映画のなんと多いことか。

 

 香川照之はやはりうまい。現実と虚構の区別のつかない主人公の心象を抑制した演技で表現している。半沢直樹での演技は、それはそれでおもしろかったが、どちらが本領発揮かは見る者の好みによるだろう。

 今年報じられたスキャンダルで、テレビのレギュラー番組は当然のごとく降板し、多数出演していたCMは全部放映されなくなった。億単位の賠償金を背負うとかいう話もあるらしい。すでに示談でかたづいた話のはず、それを何年もたって蒸し返すのはいかなる魂胆か。しかも一般人ではなくプロの接客業に従事していた人物である。香川の素行の悪さを擁護するつもりはないが、かようなスキャンダルを追いかけるより、政治家の醜聞を暴いてほしい。週刊文春とそれに対抗した週刊新潮は、昔の女性週刊誌みたいだ。1年もすれば誰も憶えていないようなゴシップを、しかもあることないこと書きたてるのは悪趣味としかいいようがない。報道の自由にもいろいろあるとは承知しているが、費用と時間をかける対象がずれてませんか。