池井戸潤原作の小説の映画化。
面白かった・・が、私は元銀行員だったので楽しめた部分が大きかったが、そうでない人にとってはどうなのだろう。同じ作者の「半沢直樹」も評判だったから、あまり心配する必要はないのかもしれない。まーでも、ストーリーやら人物設定やら半沢直樹に似てましたね。池井戸潤氏自身が銀行員の経歴があり(私のいた銀行だ)、銀行小説はお手のものだが、特に「半沢直樹」など、ここまで内幕ばらしていいの?というレベルの描写も多かった。
この映画について言えば、エンタメの宿命とは言え、いささかステレオタイプな、あるいは誇張に近い演出もあり、その辺気になった。とはいえ、W主演の竹内涼真と横浜流星はハマり役で好演。脇を固める共演者たち含め、心地よいマンネリとでも言えばよいのか、安心して楽しめた。
それにしても池井戸潤、今や揺るぎないベストセラー作家の地位を確立しましたね。誰もが認める絶対王者の東野圭吾(彼は天才だっ)に次ぐ位置と言っていいのではないか。銀行小説ばかりでなく、「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」など製造業を描いても、池井戸ヒューマニズムとでも言うべき理想は十分に伝わってくる。さらなる活躍に期待している。
我が身に照らせば、色々思うところは多い。以前FB で半沢直樹の感想めいたものを投稿したとき、自分の銀行員生活を振り返ってみれば、半沢直樹とまではいかなくとも「四分沢(しぶさわ)」か「八分沢(やぶさわ)」くらいの正義感は貫いてきたつもりだと書いた。昔の上司がそれを見て、「いや、筋を通す君の生き方は、「全」沢に値する」と言ってくれたのは嬉しかったな。半沢直樹みたいにカッコよくもないし実際出世もしなかったけど、今こうして安穏に暮らしているのだからなんの不満があろう。両親、家族、友人、そして何がしかの縁を頂いた全てのひと、こと、ものに感謝申し上げます。