2022年2月27日

ん〜、これはねぇ、苦手なタイプ。
間違っても娯楽映画ではない。商業ベースにのる作品ではない・・と思う。

ドキュメンタリーである。インタビューやナレーション、テロップなどの通常の手法を排し、背景音楽もない、ただひたすらに人々を映し出すのみ。ISISの残虐行為により心に痛みを負った少年が、自分たちの描いた絵の説明をする場面まで、言葉もなく字幕すら出ない(冒頭近く、戦争で息子を失った母親が歌う哀悼歌の訳詞はあった)。少年がカウンセラーの聞き取りに答える部分は、ISISの絶対的悪が我々の心をえぐる。しかし、それでも末端の兵士に罪悪感はないのだろう。彼らはそれが神の道につながると信じているのだろうし、上官の命令が神の声なのだろう。いやでも現下のロシアによるウクライナ侵攻を思わずにいられない。

パンフレットに記された映画評の数々・・・

「『無言のポエム』のような」映画だ。戦いに翻弄される人々を撮っているのに・・・。

 暗闇に、いつでもどこでも僅かな光がさしている。

 悲嘆の地の一条の光は、

 コロナ禍で疲れたぼくらの心も癒してくれる。

 美しい映画だ。」(鎌田實)

 ---これほど陳腐できれいごとに徹した能天気なコメントを、この著名な医師・作家である人物が書くことが信じられない。

 

「国境地帯を撮ることで、

 人間の暮らしや情には国境がないことを描き出す。

 映画というよりは詩のような、映像というよりは絵画のような、静かな祈りに満ちた作品」

(ブレイディみかこ);ライター

---まるっきり他人事ですな。

 

「ドキュメンタリー映画なのに“物語”の中に迷い込んでしまったみたい。

 先の見えない暗闇の中で奏でられる生活者たちのメロディのない夜想曲。」(じょいっこ);スパイス系異国メシレビュアー・・って何のこった

---この人には思考力がないのか

 

「これはどこなのか、彼らは誰なのか、そこで何が起きているのか・・・・・・

 全ては説明されないまま、シーンが展開していく。

 しかし、幻想的な映像と静寂な空間に響く音、

 そして人間の確かな姿と声が浮かび上がる。

 闇と光が織りなす不思議な映画に吞み込まれた。」(錦井健陽);ジャーナリスト・映画監督

---ジャーナリストも映画監督も看板おろした方がよろしいかと

 

「空は広くて不自由。母の嘆き、届かぬ悲痛。

 その視線の先には、何があるのか。生きることは幸せ?生き延びたかった?

 そんな問いを感じた。

 美しい映像に宿る、問いかけの息吹き。

 貴方には聴こえますか?彼等の言霊が。(サヘル・ローズ);俳優

---実際に戦火を逃れ、4歳で家族と生き別れたこの人の言葉は重い。「生き延びたかった?」という問いは彼女自身に突き刺さっているだろうことを思うと、安易なコメントはできない。サヘル・ローズとは「砂浜に咲く薔薇」を意味するといい、養母が名づけたそうである。

ビルマ軍政の弾圧を逃れ、家族とともに日本に亡命した渋谷ザニーというデザイナーが最近よくコメントしているのを見るが、サヘルのコメントも聞いてみたい(SNSでは積極的に発言しているようだ)。