等身大のラブソング

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『転校生』



 



 ―ジリリリリリリリリリ―


 


「ん・・・んん・・・ふぁ・・・・・・んん!?やば!」




 時計は8時9分をまわっていた。




 学校まで走って20分はかかる。




 8時30分までに校門をくぐらないとあの声が大きい生徒指導の先生に怒られる。




 「急がなきゃ・・・!」




 急いで制服を着て、顔も洗い、化粧をして髪をとかし、家を出た。




 腕時計を見るとすでに8時17分。




 「間に合わないかぁ・・・」




 もう諦めよう。走っても間に合わないし。




 あーあ。急いで準備したけど無駄だったなぁ。




 朝ご飯ちゃんと食べてくればよかった。




 化粧ももっと丁寧にすればよかった。




 後悔しながらゆっくり学校に向かっていると、後ろから誰かに頭をポンっと叩かれた。




 「ん!?」




 頭を両手で押さえたとき、誰かが自転車で横を通過して行った。




 「おっす!急がないと遅刻するぞぉ!」




 そう言って手を振り去っていったのは陽斗だった。




 「ちょっっとぉ!自転車なら乗せてってよ!!」




 精一杯叫んだけど、陽斗は振り返らず手だけ振り、あっという間に見えなくなった。




 もぉ!最悪!学校行ったら絶対文句言ってやる!




 少し怒り気味で学校へ着いた。