・はじめに
僕はこの一年、夢を見ました。これから二度と出会うことのないであろう最高の声優ユニットとの夢です。これから語るのは、僕と声優ユニット・Wake Up, Girls!と駆け抜けた一年についてのことです。



・Wake Up, Girls!との出会い

Wake Up, Girls!というユニットを初めて生で見たのは2016年のねんどろいど10周年ライブのことでした。
当時の僕はミルキィホームズと七森中ごらく部、Tridentが目当てでの参加だったので、正直WUGのことについてはそこまで覚えていません。しかもごらく部やTrident、そしてWUGが出演してる「ミラクルガールズフェスティバル」というゲームを買って遊んでいたにも関わらず、です。僕とWUGの最初の出会いは、そんな悲しいすれ違いで終わりました。

次にWUGを意識し始めたのはアニマ横浜2017です。
当時はWake Up, Girls!新章放送時期であり、かつavexの先輩であるi☆Risも推し始めた時期というのもあって、WUGのワンマンにも言ってみようかと考え始めている時期でした。そこで当時最も真剣になっていたユニットのひとつであるミルキィホームズとのコラボを目の当たりにし、ますますWUGに興味を持つようになりました。



・田中美海さんのファンになる

一旦話は変わりますが、僕は「結城友奈は勇者である」という作品のファンでもあり、聖地である香川でのイベントにもたまに足を運んでいるほどです。
その派生作品である「楠芽吹は勇者である」の中で主人公・楠芽吹演じておられる方が、まさに今の僕のWUGの推しである田中美海さん、その人です。
声優ファンという側面から、僕は好きな声優さんが他の作品でどんなキャラクターを演じているのかにも興味が向くことが多々あります。その繋がりからWUGに益々興味を持ちました。
さらにはこの楠芽吹というキャラは真面目一徹な性格なのに対して、アニメWUGの片山実波は天真爛漫、といったギャップからも、まだ若いながらもこれほど幅広い性格のキャラクターを演じることができる田中美海という声優、いったい何者なのだろう?と思わずにはいられませんでした。
こうして田中美海さんのファンになる、といった段階も踏みつつ、僕はさらにワグナーへと近づいていきました。



・"ワグナー"になった3月

そんな僕に2018年2月3日、予想だにしなかった悲劇が訪れます。それまで長らく応援していたミルキィホームズがFC限定イベントで解散宣言を出したのです。
その日、僕はNBCフェスで一番前の景色を見ていました。そのイベントが終了した直後に聞いた悲報…それまでの最高の気分から一気に地獄に叩き落とされた気分、その宣言の場に居合わせなかったことへの後悔、様々な負の感情が脳内を巡りました。
もちろんミルキィホームズは最後まで応援したいと思いました。しかしながら、当時の私はその胸にポッカリ空いた穴を埋め合わせるものを渇望していました。そこで僕は思い出しました。まるで妹分のようによく共演をしていたユニットのことを。僕は長らく手を付けずにいたWake Up, Girls!を推してみようと思いました。
2018年3月、アニメ「Wake Up, Girls!」シリーズをむさぼるように鑑賞し、曲を聴きまくりました。アニメも曲もひっくるめ、なんだこの神コンテンツは…僕はこんなすごいものを僕は見過ごしていたのか…と素直に後悔しました。
地元である仙台が舞台であるというのに加え、アイドルアニメでありながらもその裏に垣間見えるドロドロとした大人の事情も含めてリアリティを添えつつ、その中で紆余曲折ありながらも必死にもがき自分達の信じる方法で成功を掴み取ろうとするアイドルの姿を描くという、とんでもなくイレギュラーな側面に心を牽かれていきました。劇中の二次WUGのもがき苦しむ姿を、"絶望の淵に立っ"ていた当時の僕を重ね合わせていたのもあるのかもしれません。最初はミルキィホームズ解散宣言による喪失感を拭う目的でWUGを推していた僕は、いつしか心の奥底からWUGが大好きになっていました。



・ワグナーになった僕と個性的な同志たちとの出会い

4月、僕はすっかりワグナーになっていました。それからGreen Leaves Fesや舞台の青葉の軌跡、WUGナイター両日にも参加しました。
どれも魅力的で個性的な、WUGにしかできないであろうイベントであると感じましたが、それらでイベントを通じて多くのワグナーさんとの出会いを多く経験しました。
1stツアーから足しげく通っている古参ワグナーさんもいれば僕と同様ミルキィの解散宣言に衝撃を受けてワグナーになった方、大学の新歓アニクラで一緒に高まり散らして意気投合した方などなど、本当に個性的な人たちと出会いました。
そしてGLFで発表された音楽ゲームの情報と一年にわたるツアーライブもあり、この人たちとのワグナー人生が始まる、そう期待を膨らませていました。



・2018.6.15

その日の昼、前日のWUGナイターでの勝利の余韻に浸りつつ、僕は天ぱりで昼食をとっていました。
すっかりワグナーとなっていた僕は「Wake Up, Girls!はこれからも大躍進を続けていくだろう!ずっと応援したい!」と再度気持ちを確認しながら、聖地での食事をただひたすらに堪能していました。
だが、そのような希望を無情にも打ち砕くメールが2018年6月15日15時、突然届きます。
僕はてっきりツアーライブの詳細のメールだと思ってすぐ開きました。しかし「いつも応援してくださってる皆さまへ」「大切なお知らせ」といった気になる文言から始まり、すぐさま何かがおかしいと感じました。
そして下へ少しスクロールした後…顔面から血の気が引いていき、頭の中が真っ白になったのを今でも忘れられません。
さらに、Twitterを開けばトレンド一位を飾るあの言葉…ミルキィホームズの時のことを思い返し、もはや頭の中がぐちゃぐちゃになっていました。
何もかもやる気が出ない無気力な日々が二週間は続いたのを覚えています。休日は部屋でなにも考えず横になるような過ごし方が続きました。本試験直前なのにも関わらず試験勉強に全く手が付かず、再試験を受けることにもなりました。



・決断

そんな傷心している僕が立ち直ることができたのは、心境を共にしているワグナーの皆さんとのTwitterでの会話です。その中にはのちにツアーライブで行動を共にすることになる人たちもおり、支え合ってくれた人たちがいたからこそ、立ち直れたのだと思う。心から感謝したいです。
その中で僕は、ある決断をします。「飽きるくらいに徹底的にこの一年はWUGを推そう」と。
僕は生来飽きやすい性格です。いくら没頭していた趣味であっても、ひとたび興味を無くしたものはもう見向きもしないということが多々あります。解散宣言前は正直なところ、そんな性格の僕がWUGを飽きずに何年も推し続けるというのは僕自身にすら保証はできませんでした。ならば、もういっそのこと2019年3月までは、非ワグナーだった頃の分も埋め尽くすほどに徹底的にワグナーとして楽しみ尽くしてやろう、そう決心したのです。
斯くして、WUGと僕のラストランが始まりました。



・WUGちゃん、そしてワグナーさんと過ごした夏、秋、冬

なんとか立ち直った僕はファイナルツアーライブの駆け出しである7月15日の市原公演昼夜に参加しました。
そこではライブ前に山寺宏一によるデ○ズニーのパロディのナレーションがあってSHIFTでのスタート、さらにはなんとWUGちゃんが客席にまで走ってきて途中でまゆしぃとは数十センチの距離に接近して大興奮!もはやファイナルツアーライブと思えない空気に包まれ、WUGは僕は本当に解散するんだろうか?とさえ思いました。
しかしながらライブの中盤にて、東日本大震災復興ソングの「花は咲く」のBGMと共に流れた解散テロップ。僕は、「WUGはやはり解散してしまうのだ」という現実を突きつけられ、涙が止まらずとても心が苦しかった。テロップ後に披露されたタチアガレ!では号泣のあまり、コールの「タチアガレー!」の声が出なかったのを覚えています。楽しいながらも「WUGは2019年3月に解散する」というのが現実味を帯びたように思えた市原公演でした。

座間公演はたくさんのワグナーさんとの出会える機会となりました。全て挙げるとキリが無いのでやめておきますが、WUGちゃんとのツアーライブを全通するために学校を辞めた人など、さらに個性的なワグナーさんとの出会いがありました。後に豚汁一派だとか中卒一派だとか変な呼ばれ方をする集団の集まりの大元である伝説の公演です。

大宮公演は座間で出会えたワグナーさんとサイゼリヤで打ち上げをしました。マルゲリータを頼むときに早口で「ま○げリータ」って言ってたあのお方の姿が忘れられないです。

アニサマでは例の一派の人たちとけやき広場で大いに盛り上がりましたね。まゆしぃのMCからのPolarisで泣き崩れました。

川崎ファンミ、WUGちゃんの秘蔵映像を見ながら古参ぶったりアニサマの映像を見て号泣したりしましたね。会場で早坂さんポーズとって変な写真を撮りまくったり、開演前BGMのBurst The Gravityで「そーれ!」っつって開演前アニクラしたり、横浜の地べたで200円以下のものでピンチケ打ち上げしたりもしました。

岸和田公演、あいちゃんのMCでの「笑顔をチャージして」という文言に、PARTⅠで干され続けた少女交響曲を回収できることを察して、連番ワグナーと高まったのを覚えてます。海岸沿いでラムーの100円のたこ焼き食ったりもしましたよね。あと、Polaris制作秘話後のPolarisはホンマずるいよ。まゆしぃ天才。

アニマ横浜、WUGパートではPARTⅠぶりのSHIFT披露に意外すぎて高まりまくったのを記憶してます。その後のワグクラ、楽しみにしてたのに寝不足のせいで後半ずっと練りになっていたらしいですね。そのお陰で、翌日のはやまるイベにはしっかり目が開いた状態で参加できましたけど。

盛岡公演では、かやたんの企画に号泣させられ、近くに来たあいちゃんがずっと涙を流してたのを見て僕まで無理になりました。豚汁Tが御披露目され、某オタクが最前でまゆしぃを爆笑させた公演としても有名ですよね。

アニメJAM、昼は連番予定者が練りになってた上に乗る電車間違えたことで、急遽別な人との連番になるも、○○は厄介というタグで有名な彼と自然連番で大いに盛り上がり、さらには夜公演の少女交響曲でバケモンになりました。

大阪公演、言葉の結晶と土曜日のフライトを見て、「こんな振り付けすげえ曲披露してあと二ヶ月で解散かよ!?もったいねえ!」ってなりました。横綱で打ち上げしたりみんなで久々にWUG天ログインしてログボ回収したりもしましたね。一公演だけチケ投げてfripSideに行ったせいでnow is the timeを逃すという悲劇が起こりました、が、某有名YouTuberさんに楽しんでいただけたらしいので結果オーライです。

長野公演はDJみゅーの登場に加えて王様のカデンツァやGlossy Worldといったレア曲を次々回収できた神公演でした。このあたりから豚汁T増えてきましたね。

わぐりすらん、変なオタクたちが大集合しましたね。開演前からの盛り上がり方がすごくてまた開催してくれないかと思ってます。姉のi☆Risさん、妹のRGRさんとの本格的な共演なのに、今回でわぐりすらんが終わりなのが本当にもったいないなあと思わせてくれる公演でした。

徳島公演、ななみんの後輩だと称するオタクさんとの連番、結構楽しかったですよ、ありがとう。徳島って来た時には本当に海が近くてのんびりした田舎っていうイメージだったんですけど、その徳島の雰囲気にななみんの企画がマッチしていて泣いてしまいました。徳島、本当に良いところですね。また行きたいです。

愛知公演、さようならのパレードの初披露にイントロと後ろの演出の時点で大号泣。Bメロで後ろに写し出される歌詞がずるいね。

仙台公演、あいちゃんの企画の仙台の人たちのメッセージに号泣させられました。二日目夜の部で、ハートラインで「WUGちゃん」コールがあった時は、もうこれを生で聴ける機会はもう無いんだと思ってしまい、涙が溢れてきました。さようならのパレードのWake Up, Girls!コールにダブアンの7 Girls Warの合唱…もはや、泣き所は語り尽くせません。まだファイナルツアー大千秋楽なのに、こんなんでSSA行ったら生きて帰って来られないんじゃないか?というレベルで泣きました。
さらに、僕の地元でありながらWUGの聖地である仙台にて、今まで全国を共に転々としてきたワグナーさんたちと語らうのがとても楽しい時間でした。公演後にはWUGのツアーで行動を共にしていた3人とビジュゥなどを巡った後、「次はSSAで!」と見送りました。



・そしてSSAへ

3月8日のファイナルライブ、僕は用事のために開演より少し遅れて入ることとなりました。
7 Girls Warの途中で僕は入場し、いざ会場内に入ってみると、そこにはSSA一面に広がるサイリウムの色。金曜のSSAだぞ!?と。僕はそれを見ただけで泣き出しそうになってしまいました。
それから、これから披露される曲はもう二度と生では聴けないものだと言うのを自覚しながらそれらを噛み締めつつ、一曲一曲を大事に聴きながら高まっていました。僕の大好きな、大好きな少女交響曲のイントロが流れた時には、あまりもの寂しさに号泣してしまったのを覚えています。
そして各メンバーの手紙の披露。最初、みゅーちゃんが「WUGを見つけてくれてありがとう!」と言ってくれた時には、「もっと早く見つけてあげられなくてごめんよ…」と思わず口に出てきました。ここに来てWUGの解散が本当に惜しい、やはりこれから先もWUGが紡いでいく物語を見てみたかった…そんな感情が込み上げて来ました。そこには"飽きっぽい性格"の僕の姿はありませんでした。
やっぱり解散は嫌だと思いながら、「最後は笑顔で終わろう」と歌い始めた極上スマ…と思いきや、全ての始まりの曲であるタチアガレ!。この曲を選んでくるとは…と思いながらイントロで既に泣いてしまいましたが、僕としても「笑顔で」終わりたいので、終始ずっと泣きながら笑うという、今までしたことないであろう表情をしていたと思います。
お見送り会では、ほんの数秒でしたがこの夢のような一年を与えてくれたWUGメンバー全員に感謝の気持ちを込めつつ、シンプルに「ありがとう!」と大声で言いながら笑顔でさようならをして来ました。こうして、僕とWake Up, Girls!との一年は幕を閉じました。



・結語

Wake Up, Girls!と出会う前、僕は仙台という地が大嫌いでした。
イベンターをやる上で首都圏や関西に行くのに不便であり、声優イベントでもスルーされることが多々ある仙台の大学に進学したことを心から恨んだことが何度もあります。
しかしWUGのおかげで客観的に仙台のことについて知ることができ、住んでいるからこそなかなかわからない仙台の魅力に気づかされました。今では仙台に住んでいることが僕の誇りです。

また、ワグナーさんの話へと変わりますが、WUGは他現場と比べても個性的な人が明らかに多いと断言できます。球団ユニフォームに自作T、さらには他現場Tなどなど。現場によっては「関係ない服を着てくるな!」と騒ぐ服装警察がいるものですが、ワグナーさんにはほとんどそういう人がおらず、寛容な気がします。
尖った人材を忌避する風潮が強い現代の日本ではレールから外れた者への風当たりが強いですが、僕の知る限りでのワグナーさんたちは、異文化に寛容かつ周囲の空気に流されずに自分の意見を確立している人が多く、それは本当に誇るべきことだと思います。そういう人たちが僕は大好きですし、これからも何らかの形で交流を続けられたらなと思っています。

そして各公演ごとの思い出をたくさん書き連ねてきましたが、WUGちゃんや、WUGちゃんが僕と出会わせてくれた様々な人たちと全国のいろんな場所に行って共に過ごしたこれらの時間は、とても充実したものであり僕の一生の宝物です。
しかしながら、人間は忘れる生き物です。いつか僕も皆さんと過ごしたこの楽しい時間のことを忘れてしまうのかもしれないと思うと、とても恐ろしく、つらいものです。忘れたくないです。
でも、できるだけ忘れないようにするということはできます。自己満足で恐縮ですが、これからもよっぴーの変なMCとか豚汁とか些細なことでも良いので、皆さんと定期的に思い出話ができればいいな、と思います。

最後になりますが、僕は時期は遅かったものの、Wake Up, Girls!を見つけることができて、本当に、本当に良かったと思っています。
WUGちゃん、そしてWUGちゃんを通じて出会えた皆さん!この一年間、とんでもなく素晴らしい夢を見させてくれて本当にありがとう。そしてこれからもどうぞよろしく!