これは、【~苺愛itigoai~ 】の続きです。
最初から読みたい方は、1つ前の記事をみてください。
↓では、はじまります。
【1-A 教室】
「今日も、日向君モテモテだったねぇ」
と、雪野が言うと、
「ほんっと、モテるのは勝手だけど、あの女子達をなんとかしてほしいんだけどッ!」
「え~~~~彩花、うらやましいんじゃないの~?風間日向みたいにモテモテになりたぁ~い?・・・とか、おもってるでしょーー??」
と、雪野がツンツンと彩花のほっぺを、つつきながら言った。
「全く。」
と、冷たい表情で言った。
「・・・・」
雪野が〝じーーっ〟っと彩花を、見つめてきた。
「ほんとに?」
「ほんと!!」
「ふ~ん、面白くないッ!」
「なによ!面白くないって~!」
ピシャン!
「コラ~、喧嘩すんならよそでやってこい~」
と、先生が言ってきた。
「「すいませ~ん」」
「じゃあ、テストかえすぞ~!」
ギクッ!
・・・・・・・
「白石彩花!!お前はいつもどおりだ!勉強しろ。」
おそるおそるテストを見てみると、
(ご・・ごっ・・・・・・5点!!!!!!???)
「うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇッ!」
「ご・・・5点・・・」
と彩花が叫ぶと、
「そんなに、叫ぶな。いつもと同じだ。」
と先生が冷静に言った。
クラスは、大爆笑。雪野もケラケラ笑っていた。
(ううぅぅぅ・・・)
【昼休み:屋上】
「はぁ・・・」
5点のテストを見つめた。
くるくる。とテストを、ひっくり返したり遠くで見たりしていると、
バタン。とドアの音がした。
「5は、ひっくり返したら数字になんないよ。」
振り向くと、見覚えのない男の子が立っていた。
「誰・・・?」
「俺は、秋山海斗。転校生だよ」
と言って微笑んだ。
整った顔立ちで、風になびいている栗色の髪が、すごく綺麗だった。
「アンタは?」と言って、彩花の横に座った。
「あたし?あたしは白石彩花。」
「そっか、白石・・。あ、俺の事は、〝アキ〟って呼んでくれていいよ。」
「うん・・。じゃあアキ、なんでココにいるの?」
「親が担任としゃべってる、聞いてんのめんどくせぇから、抜け出してきた」
「屋上に行く道、よくわかったね」
「あー、ココ。前の親父の時の、兄ちゃんの学校だから 一回だけきたことあんだ。」
「え・・・・・」
「ぁ・・な・・なんか・・ごめん・・。」
「お前が謝ることはねぇよ」
ポンポン、とアキの手が、彩花の頭をなでた。
「うん・・・」
「また・・・会うかもな・・兄ちゃんに・・」と、アキがつぶやいた。
「え・・・2・3年にいるの・・?」
アキは、首を横にふった。
「双子の兄ちゃんなんだ」
「そうな・・んだ」
「転校してなきゃ・・だけどな・」
「・・・・・」
「・・ッあ!ごめん!キモイよな!初対面でこんな話・・」
「!」
彩花は、首を一生懸命横にふった。
「そんな事ないよ!!反対に、こんな初対面の人にしゃべってくれて、すごくうれしい!!!」
・・・
アキは、少しはにかんだ笑顔で「白石だから、いえたのかも」と言った。
キーンコーンカーンコーン
「あ、白石行かねぇとな」
「うん・・・」
「じゃ、俺も行くわ。親うるせぇし」と言って、アキは立ち上がった。
「・・・・」
「白石??」
あたしは、いつのまにかアキの、服のすそをつかんでいた。
「・・っあ!ごめん!・・うん!ばいばい!」
「・・・明日から、登校だから同じクラスになったときは、よろしくなっ!」少し間を置いて、アキがしゃべった。
「うん!!」
「・・・」
「アキ!!」
「ん?」
「同じクラスじゃなくても、相談があったらいつでも言ってね!あたしでよかったら、相談にのるから!」
と、精一杯叫んだ。
アキは、笑顔で
「おう!!」
と、返してきた。
・・・・バタン
・・・・
あたしには、
アキが、笑顔をムリヤリ作っているように見えた。
泣きたいのに、泣けない。
その苦しみを、誰かに伝えたいのに、伝えられない。
そんなアキを
あたしは
ほおっておけなかった。
苺愛itigoai ~つづく~