朝のコーヒー一口で「よし今日は名作」と思う日ほど、最初の一文が決まらない。散歩に出れば比喩が増えるのに、机に戻った瞬間どこかへ消える。読み返すと昨日の自分が別人みたいで、推敲を重ねるほど“最初のほうが面白かったのでは?”という不安が膨らむ。SNSに上げたら誤字は真っ先に読者が見つけてくれる——そんな“あるある”、ありますよね。
一方で、「有名作家は毎回一気に書き上げる」「カフェに行けば文章が勝手に整う」「旅に出ないとエッセイは書けない」など、“よくあると思われているけど実際にはない”ことも多い。名文はたいがい地味な反復と、地道な削りから生まれます。

 

✅ よくある「エッセイあるある」:
・出だし一文だけで午前が終わる
・結論より題名だけ先にキマる
・締切前日に急に部屋を片付けたくなる
・お風呂や電車内に限って名案が降りる
・身内の会話が金言に見えてノートが増える
・投稿直後にだけ誤字が巨大化して見える
・“うっかり自分語り”でテーマから逸れる
・比喩が増えるとテンションだけ上がる
・写真を添えた瞬間、本文の弱さに気づく
・「続きは次回」で永遠に次回が来ない

 

❌ 実際は…:
・“一気に書く天才ばかり”ではない(小分けに積む人が多数派)
・カフェ=名文の自動生成装置ではない(結局は下書きの質)
・旅ネタが必須ではない(冷蔵庫の中身でも書ける)
・比喩は増やすより“一個だけ鋭く”が読みやすい
・身内ネタは一呼吸置いて“本人に読まれてもOKか”で選別
・誤字は公開前の“音読30秒”が最も効く

 

 

気軽にだれでもエッセイスト:
エッセイの材料は、派手な事件より“説明しなくても伝わる細部”。財布の小銭を床にばら撒いた瞬間の沈黙、信号待ちで隣の人と同時にため息をついた偶然、スーパーの半額シール前で譲り合った会話——こういう一瞬こそ強い芯になります。コツは三つ。①出来事→感情→発見の順で並べる(評価は最後にちょっとだけ)。②比喩は一つに絞って“見えるもの”で言い切る。③書き終わったらタイトルを逆算して付け直す。肩に力を入れず、笑いは自分がニヤッとするラインで止めると、読後の余韻が残ります。さて、あなたの“あるある”はどの瞬間に転がっていました?通勤中の見落としがちな光景、家族の一言、コンビニで起きた小さなズレ——ひと言でも、思い出したときに拾っておきたい。次に書くエピソードの“最初の一文”だけでも、ぜひ教えてください。読んだ人が思わず頷く“日常の芯”、一緒に磨きましょう。