スピーカーを買った。
きっかけは、レコーディングだ。
去る1月某日、冬のL.A.にて、現メンバーでは初のレコーディングを行った。
さすがL.A.と言うべきか、乾いた空気のおかげで、非常にドライで軽快な音が録れた。
ダイナー「CAFE 50’s」でナンパしたウエイトレス、イザベラとの毎夜のランデブーもいい思い出になった。
イザベラとの話はおいといて、スタジオで聴いたラフ・ミックスにも概ね満足できた。
細部はこれから本ミックスで詰めていけば良い。
そんなこんなで、ジャパン(日本)の自宅に戻り、ラフ・ミックスの音源を聴き直した。
すると、スタジオで聴いた音と全っ然違うのだ。
ドラム全般的にモヤのかかったような音像で、特にバスドラに至っては、頭の悪い小金持ちの親に甘やかされて育てられたクソガキのようにハッキリしない音だ。
知らない人間に突然殴られても、まずは突然殴ってきた理由を冷静に尋ねてみるくらい温厚な自分でも、怒りのあまり聴き始めて15秒でこめかみから血を吹き出し、スピーカーを窓に叩きつけるくらいのショボい音だった。
マンションの中庭に落ちてしまったスピーカーに関しては諦めたが、割れた窓はとりあえずガムテープで補修し、ガラス業者の予約を取り付けた。
そこまで終えたところで、いつもの冷静でクールで落ち着いた冷静な自分を取り戻し、考えてみる。
全く同じデータを再生して、これほどの違いがあるのはなぜだろう。
簡単な事だ。視聴環境の違いでしかない。
その時自宅で使用していたのは、今からおよそ10年前、メロンパンの移動販売をしていて、3日間で20万円を稼ぎあげた時に新調したKENWOODのコンポだった。
当時で7万くらいだったか。まぁそれなりにいいやつだった。
調べてみると、スピーカーの寿命はおよそ10年だという。
考えてみればこの10年、音楽に映画に、大変な酷使をしてきたものだ。
ケンシロウが言うところの、「お前は既に死んでいる」という状態だったのだ。
そりゃあ、「ズン!ダン!ドカーン!」という音も、「ひでぶ!」みたいな音になってしまうわけだ。
そういうわけで、せっかくだしいいスピーカーを買ってみる事にした。
”いいスピーカー”というと、自分のイメージでは「こだわりぬいたアンプにパッシブスピーカー、そして余裕があるならオカルトチックな領域の、電源ケーブル周り」というイメージだった。
なんとなく雑談でメンバーに話してみたところ、
「最近はむしろアクティブスピーカーでいいのいっぱいあるし、モニタースピーカーすげぇいいよ。俺は家に20万以上するスピーカーと、他にもモニタースピーカーで10万くらいのも持っていて、あとベンツのスピーカーは・・・」と、聞いてもいない自慢話を繰り広げられてしまったのだが、最初の44文字目までは非常に参考になった。
音響機器に興味の無い紳士淑女向けに簡単に説明すると、パッシブスピーカーとは、アンプがなければ音が鳴らせないスピーカーで、アクティブスピーカーとは、スピーカーにアンプが内蔵されているものの事だ。
かつてはアンプとスピーカーはそれぞれ別々で用意した方が高音質だというのが当たり前で、アンプとスピーカーを合体させたものは安価な低音質の物だったのだが、技術の進歩によってその辺りの世界はいつの間にか変革を遂げていたのだろう。
※かつては~と言ったが、あくまでも自分のイメージの話だ。
本当に正しいかどうかは検証していないので、誤った認識だったとしても、
まるで鬼の首を取ったかのような口ぶりでの指摘はしないでもらいたい。
くどくど書くのに飽きたので、ここからはサクサクいこう。
アンプを選んで、それに相性が良さそうなスピーカーを選んで、なんて面倒なことはしてられない。
相性がいいかどうかは実際に試してみないとわからないし、そんな事をしていたらあっという間に還暦を迎えてしまう。
というわけで、アクティブスピーカーで良さげなものを探してみる。
5時間ほど情報収集し、深夜3時。ようやく見つけた。
YAMAHAのNX-N500だ。
YAMAHA - NX-N500(アンプ内蔵スピーカー・ペア)【在庫限り・在庫有り即納】
楽天市場
77,800円
これが本当に素晴らしい。
基本的には業務用のモニタースピーカーに近いチューニングで、高解像度かつ素直な音。
もちろんハイレゾに対応していて、かつ高品質なUSB-DACを内蔵している。
USB-DACについては詳しく説明しないが、PCでいい音を聴くならこだわるべき装置だ。
USB-DACは別途買うつもりだったが、選定と購入の手間が省けた。
PCで音楽聴こうと思うなら、ここはめちゃくちゃ大事なポイント。
ここまではわぁ嬉しいなって程度なのだが、このスピーカーのすごいところは、様々な入力方式に対応している事だ。
業務用を意識したモニタースピーカーは、入力は1つだけ。もちろん入力端子は背面にしかないし、下手すりゃ音量ノブも背面ですよ。という、ホームユースを無視した仕様なのが当たり前なのだ。
だがしかし、こいつはBluetoothをはじめ、AUX、USB、Wi-Fi、AirPlayなど、全部入りと言っても過言ではないほどあらゆる入力方式に対応しているのだ。
正直ここまで自分のニーズにマッチしているものがあるのかと震えたし、絶対なんか落とし穴あるだろうとレビューを見漁ってみたが、賞賛の声しか見つからない。
という事で、めでたく購入。
普段iTunesで聴いている音源を聴いてみると、激変ぶりに驚く。
解像度がまるで違う。
PCにCDを入れて聴いてみる。
iTunesに入っているm4a音源よりも厚み、ふくよかさが違う気がする。
先日購入した、BOOWYのBlu-Rayを鑑賞してみる。
ここで音の次元が違う事に気づく。
Blu-Rayの綺麗な映像も相まって、リアルにライブを観ているかのような錯覚に陥った。
ここまでくれば、最高峰の音を聴いてやろうと、ハイレゾ音源のストリーミングサービスを探してみる。
調べてみたところ、どうもAmazon Music(HD)が一強らしい。
Primeユーザーなので、月額780円だ。
とりあえず加入してみたのだが、完全に世界が変わった。
CDを超える音質のUltra HDはもちろんのこと、HD音源(普通のハイレゾ)でも、これまで聴き親しんだ曲がまったく別物に聞こえる。
今まで、ひしゃげた鍋の底に反射していた音を聴いていたのではないかと思ってしまった。
しかも7500万曲がいつでも聴けるものだから、気になっていたけど聴けていなかった曲、あるいはYouTubeでの劣悪音源で満足していた曲も、いつでもいくらでも最高音質で聴ける。
こんなマイナーなバンドの音源あるの?ってやつでも、平気でHDで配信されてたりするのだ。
この素晴らしさは筆舌に尽くし難い。
音楽鑑賞体験の観念がひっくり返されたのである。
30歳も過ぎたこの歳になって、音楽体験でここまで衝撃を受ける事があるとは思わなかった。
さらに、シングル・ヴァージョンとアルバム・ヴァージョンの違いを楽しめるのはもちろん、複数のベストアルバムがあるものなんかは、アルバムごとのマスタリングによる違いを楽しむ事もできるし、モノによっては「〇〇Mix」のように名付けられた、ドラスティックな変化をつけたミックス音源との聴き比べもできる。
もう毎晩、Amazon Musicを立ち上げ、音楽漁りの毎日だ。
既に慣れきり、飽きかけていた音楽鑑賞だったが、再び聴く歓びを享受する事ができた。
音響環境を良くしたい、でもめんどくさいことはしたくない、という人には、
YAMAHAのNX-N500とAmazon Musicの組合せを全力でオススメする。
最高の音楽体験が待っているだろう。