子持ちシングルの本棚の中

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『イデアの影』

著者:森博嗣さん



夢なのか現実なのか


死んでいるのか生きているのか


現実の定義は何でしょう?


全ては私の五感と思考を通した解釈しか


出来はしないという不安定さ


確実なものなんて何処にもありはしない


物理的視覚の説明も


生物的触覚の説明も


何もかもが私の思い込みじゃないなんて事は証明できないでしょう?


そんな


恐ろしく震えるような宝石を散りばめたお話


最後の最後で何か大きな錯覚が暴露されて


驚くものと思って読み進めていましたが


宝石自体が描きたかったものなのかと思い至りました


もわり、とした終わり方に賛否ありそうですが


私は例のごとく、森先生信者なので


痘痕も靨


何でも感動と尊敬に変換されてしまうの


『中央公論新社』さんの森先生書籍は


全体的にこのような傾向が見られるかもしれません


“スカイ・クロラ”


“ヴォイド・シェイパ”


に見るような独特の森先生の側面的色


どちらが、正統とかは無いにしても


くっきり派ともわり派は大きな違いがある


もしかしたら


編集担当の好みなのかも


と、要らぬ事を考えてしまいます


物書きも仕事ですから


さて、


内容ですが


お金持ちの奥様がハレンチに次々と男に心惹かれてしまう


しかも次々死んで行き


最後は旦那までも死んでしまう


途中からこの女性はきっと何かに取り憑かれいるのでは?


と思わずにはいられない


ストリィは単純ですが各所に例の宝石が垣間見れます


哲学的な思考


とても好き



面白いのは


《人称》の使い方です


高度な技法と思われます



基本は三人称で主人公は“彼女”と表記されています


しかし、世界に入って行くと


一人称のような気がするのです


奥様が思考を巡らす写実などは


三人称では描けない訳で


ソコを違和感なく読み手を入り込ませる


前に、講演会でお話を聞いた時


小説は三人称が一番自由に描きやすい


けれど場面が変わる時にあえて


人称を替える時もある


との事でした


今作は、それが心地よく入り込みやすい文体でした




影はわたし


わたしは影