Dai III Sector
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「 ある美大生の遺書 」 

     遺書



 「君はこの色が好きだね?」



 今、思うと君に声をかけたのは、あの時が初めてだったね。教室の少し開いた窓からは春の暖かな日差しがこぼれ、そよ風がそっと二人の間に吹きぬけていた。不意に話しかけられ、振り返った君の長い髪からは、そよ風に乗って、ほんのりと甘い香りがした。今でも、その甘い香りは忘れてはいない。

 「よほど、この色が好きなんだろうね?でも、この色じゃないと君の絵画は完成しない。なんだか、僕にも君の絵が教授達から誉められる理由がわかるような気がするよ」
 
 「ふふ、ありがとう」

 この時、君は恥ずかしそうに僕に微笑んだね。
 
 「でも、どうして緑色が好きなの?」
 「うん……。でも、これは緑色じゃないわよ」
 「えっ?」
 「これは……」

 今でも君のいった、次の言葉は僕の耳から離れない。君の言葉で僕は絵画の本質をようやく知ったのだ。そうか、絵を描くのではなく、絵に生命を与える……。そう、君のいうとおり、その色は緑色ではなく……、





 ” 葉っぱの色 ” なのだ……。





 その後、僕と君は自然のように、つきあうようになり、同棲を始めた。僕は君を心から愛し、君もマリアのような献身的な愛で僕を優しく包んでくれた。しかし、時が経つにつれて、いつしか僕は君になにか、違う感情を抱くようになってしまった。そう、それは嫉妬心……。君の描く、その独特な色彩の絵画を多く見るにつれて、あまりの僕の画家としての才能のなさを実感したのだ。ついに、僕は我慢ができなくなり、筆を折り、キャンパスを粉々に破り、手当たり次第に物を壊した……。でも、君は黙って、粉々になった絵を拾い集めながら、献身的な笑顔を浮かべて、僕に優しくいったね、





 ” あなたの絵は、あなたなの ” ってね……。





 でも、そんなことは僕にもわかっていたんだ。いつしか、僕は君から逃げるように、一人で夕暮れの海岸に向かうようになっていた。なぜなら、太陽が水平線に沈みかける時に放つ、真っ赤な夕焼けが自分の体内の血液を紅潮させて、僕は生きていることを唯一、実感できたのだ。しかし、そんな夕焼けも、すぐに消されてしまう……。



 そう、こんな僕を心配して、迎えに来てくれる君の献身的な笑顔がつれてくる真っ暗な闇夜に……。





 ごめんね……。





 心配をかけたね。もう、僕は大丈夫さ。僕はついに自分の納得のいく……、素晴らしい絵を描くことができたんだ!


 キャンパス一面に広がる真っ赤な夕焼け!そう、この真っ赤な夕焼けには、終わりがなく、躍動感に満ちた、限りない生命がみなぎっている!!



 もう、僕は悩まない。君のもとに素直に帰るよ。そうしたら、また、献身的な笑顔で僕を迎えてくれ。僕も満面の笑みを返すから……。







 でも、その前に、この絵にサインを書かせてくれ……。しかし……、















 今度は君のではなく、僕の血で……。












「 僕の遺書 」



     (追伸)       僕の遺書

 





 君に逢いたい……。逢いたいんだ……。でも、僕には妻子もいるし、家庭もある……。


 君と出会ってから、もう3年。僕の嘘で君は疲れ果ててしまったようだ。申し訳ないと、心底から思っている。


 ある日、僕は妻との離婚を君に切りだした。君は聖なるお告げのようにその話を信じ、まるでペンギンの卵のようにその言葉を大切に片時も肌身離さず暖め続けた……。そう、かけがいのない未来を信じて……。でも、僕は知っていた。その卵からは君の期待通りの、可愛いヒナは生まれないということを……。生まれるものは枯れることのない涙と底なしの人間不信……。


 この三年間、君は僕に人としての生き方、愛するということの大切さを教えてくれた。そう、それは自己犠牲……。しかし、僕が君に与えたものは、たった一人で過ごすクリスマス、正月、そして、決してでることなく、いつまでも鳴り響くだけの着信音……。


 君はもう疲れたといったね。実をいうと僕も疲れきっていたかもしれない。しかし、僕の吐き気のするようなエゴや押さえられない性欲が、また君に偽りの卵を抱かせ続ける……。



 でも、もう大丈夫。その卵はきっと返るんだ。なぜならネットで本当の神と知り合ったのだ。今日がその待ちに待った奇跡の日だ。うまい具合に妻と子供は実家に帰っいる。そろそろ神がやってくる時間だ。




 神にいわれた物は目の前に準備してある……。






 小さめの段ボール、君の住所の入った荷札、業務用のガムテープ。そして、新品の斧……。






 君は僕を見たとき、どんな顔するのだろうか?微笑むのか涙ぐむのか……。それとも……。







 待たせたね……。本当に疲れただろう……。今度は僕が卵を暖める番だ……。今度はきっと嘘偽りのない真実の翼を持った、可愛いヒナが生まれてくるはずさ……。

               






ずっと書きたかった

9話(追伸)「 僕の遺書 」http://www.k2.dion.ne.jp/~yuuma619/isyo.mokuji.htm を「 遺書/ISYO 」にUPしました。この内容がずっと書きたくて、今までの遺書(SS)を書いていたといっても過言ではありません。さらにこの内容には少し、謎がかけてあります。わかります?次回は「 帰ってきたデブ男の遺書 」です。こうご期待!!(嘘)  

(お詫び)久しぶりに書きました

 今日、「シュタイン」をネット上で完結しました。実は半年前から諸事情によりHPの更新はやめていました。おのずと「シュタイン」も途中で終わってしまって、読んでいてくれた方には申し訳ないことをしました。今後は中断することなく、長編を中心に作品を載せようと思います。また「シュタイン」は設定にかなりの矛盾があるので、近々大幅に校正し、改訂版としてHP上に載せるつもりです。「遺書」も数作品UPしていますので、読んでみてくだされば幸いです。また感想が聞けたら、大変うれしいです。今後もよろしくお願いします。

人気作家への道 番外編 ~プログにも載せました編4~

「 あるデブ男の遺書 」



       いしょ……。




 「メロンパン、ショートケーキ、チョコバット、テリヤキバーガー、カレーライス……と、後は……、あれかな!やっぱり、あれあれ……」


 今、好きな物を考えていたのだけれど、なんか、考えるだけでお腹が空いてきちゃたな~。ご飯はまだなのかな~。やあ、僕の名前はタロウ。福岡県出身なんだよ。生まれも育ちも玄海育ち!なんちゃって!実はパン作りの修行のためにはるばる東京にやってきたんだ。でも、すぐに首になっちゃたけどね……。どうしてって?だって、熱々で作りたてのパンが美味しそうな臭いをかもしだしながらオーブン・レンジから焼き上がってくるんだよ!ジャムパンにコッペパン……、それにフレンチトースト!もう、僕は我慢ができなくなって、片っ端から食べだしたよ!!殴られ、蹴飛ばされながらも無我夢中にね!!

 追い出されたその日の夜、豚の貯金箱を割り、小銭を握りしめて吉牛に行ったよ。泣きながらも豚丼の大盛りを3杯食べちゃった。これからどうやって生きていこうかな~って考えていたやさきに、冷蔵庫の中も空っぽになり、財布も空っぽになっちゃった……。ついに人生最大の危機を迎えたんだ。もう僕は何も食べられない……。フライドチキンも豆大福も……。

 途方に暮れた僕は仕方がないので、しばらくの間は百貨店の地下の試食コーナーに通ったんだ。でも、そこにはいつも優しいおばちゃんがいてね。僕がお腹を空かして、指をくわえて立っていると、いつもニコニコッと笑顔を浮かべて、冷凍食品のハンバーグを食べさせてくれたんだ。でも、そのおばちゃんは、すぐに辞めさせられたみたい……。なんでなのかな?……。優しかったのに……。すると、親切な総菜屋のおじさんが、僕を呼んで「あそこの青いバケツに入っている物なら好きなだけ食べていいぞ」って教えてくれたんだ!僕は、毎日、毎日、首を突っ込んで食べたよ。うまかったな~。ちょっと酸味が効いていて~。

 毎日そんな風に暮らしていると、急に白衣を着た頭の毛の禿げたおじさんに話しかけられたんだ。「ちょっと研究室に遊びに来てくれないか」ってね。美味しい物を腹一杯に食べさせてくれるっていうから僕は喜んでついて行ったのだけれど、実はそれは嘘だったんだ……。僕は裸でベットに寝かせられて、レントゲンを撮られたり、血を抜かれたりされたんだ。そして、信じられないことにその日の夜に食べさせてくれた物は薬だけだったんだよ!!信じられる?

 翌日、お腹が空いて、意識がもうろうとしていたら、ふと目の前にうっすらとソースのかかった大きなコロッケが現れたんだ!!それを見た瞬間、僕は思いっきり、ガブッてかぶりついたよ!!……すると次の瞬間、おじさんは禿げた頭から血を噴き出しながら、ゆっくりと倒れてしまったんだ……。どうやら、僕がかじった物はおじさんの禿げた頭の頭皮だったみたいなんだ。でも、それが美味しくてね~。なんか歯に挟まった頭皮が甘くて、レアな感じで歯ごたえがコリコリしていて……。僕は下唇を舐めながら、倒れたおじさんのベルトを外し、ズボンをおろして、その血色の悪そうな小さなお尻にガブって!!……あれ!?あそこに、美味しそうな子供が……。そうだ!!さっき食べた飼育係のお兄さんのポケットに……」







 「ねえ、お父さん」 
 「ん、どうした?」 
 「この檻に入っている動物は、なあに?」
 「ああ、あれかね?あれはね~、新種の人豚っていうんだよ!」
 「そうなんだ~。あっ、こっち向いて笑っているよ!」
 「タケシも食べてばかりいるとあの人豚みたいになっちゃうぞ~。さあ、危ないから、あっちに行こう!!あっちにはタケシの大好きな象さんがいるぞ~。さあ、おいでタケシ!!」



 「人豚さん。おいで、おいで」



 「タケシーー!はやくこっちに来なさい!!置いて行っちゃうぞーー!」



 「人豚さん。おいで、おいで」



 ”ガチャ ”



 ガブッ



 「タケシーーーーーーーーーーーーーーー」




        了                  


 どうでしたか?最近、内にこもる暗ーい作品が多かったので、明るい作品にしてみました。これで前半の4人の遺書が終わりましたので、次作からは自分の本領の切ないラブ・ストーリーの作品です。泣いてください……。では、お知らせで僕のHP上に掲載している「 僕……、(Boku) 」が今、話題のラトルズの新刊「ネットノベル・パーフェクトガイド」に掲載されています。書店等でみかけたかたは、是非、読んでみてください。後、HPでキリ番のかたはメール下さい。粗品を用意しています!では!!

優馬のホラーノベルズ(公式HP、無料ライトホラー多数掲載)

人気作家への道 番外編 ~プログにも載せました編3~

   
    「 あるカリスマプロデューサーの遺書 」


     遺書





 君は子供の時、将来は何になりたかった?野球選手?それともパイロット?……。えっ!僕?……。僕はね~。僕は神様になりたかったのだよ。そう、絶対的な力を持ち、人々に崇められる存在の……。あれ?今、君は鼻で笑っただろう?でも、僕はなれたんだよ!フフフ……。そう、音楽の世界でね……。神と呼ばれる存在に……。

 グラミー賞をとり、レッドカーペットを華麗に歩いた僕の生活は多忙を極めている。携帯電話は24時間鳴りっぱなし。呼び出し音だけで充電が、すぐになくなってしまうほどだ。
 
 今日も仕事を終え、東京湾の光り輝く夜景を見ながら、1996年物のドンペリを水のように飲み干して、イタリアのミラノで特注したキングサイズのベットに横になろうとした瞬間、また、いつものように、携帯電話が鳴り響いた。そう、下僕達は僕を眠らしてはくれないのだ。彼らは僕の都合などは何も考えず、ただ自分達の欲望を満たすためだけに僕との関係を必要としている。しかし、今日は何故か、彼らがうざったく感じた。そして、ちょっとだけ、無視して眠ることにしてみた……。




 ( 僕は何時間寝たのだろうか?……  )
  




 目を覚ました時、僕は薄汚れたスーツ姿で、オフィス街のゴミ置き場の中にいた。どうやら生ゴミの入ったビニール袋を枕にして、寝ていたようだ。通りすぎるサラリーマン達はそんな僕とは目を合わさないように、つむじ風のようにさっと通り過ぎていった。



 ( しょせん、そんな奴らだ……。それにしても臭い…… )



 ハンカチを探そうとポケットに手を入れると不思議なことにポケットの中は空っぽだった。どうやら、大金の入ったビンテージ物のルイ・ヴィトンの財布までも盗られたみたいだ。セラビィ……。人生なんて、そんなもんだ。
 
 僕は立ち上り、辺りを見渡した。すると、ちょうど目の前に朝日をあびて、光り輝く大きなビルが目にはいった。僕がいつもプロデュースをしている、あの大手レコード会社だった。フフフ……。いったい、あの会社に何億儲けさせたのだろうか?そんなことを考えながら、僕はタクシー代を借りるために、そのレコード会社に入った。





 ( やっぱりいた! )





 受付に座っている女の子と目があった。以前、僕は彼女にせがまれて何枚かのサインを書いてあげたことがある。髪の毛が長くて……。あれ?いつの間に髪の毛を切ったのだろうか?……。それに、化粧まで……。まあ、いいだろう。僕は口元に笑みを浮かべて、彼女に近づいた。すると、突然、彼女の可愛い大きな瞳が見開いた!!



 ( どうしたのだろう?うっ……!! )



 次の瞬間、僕は腹を押さえて、のたうち回った。なぜなら、不意に腹を警備員に思いっきり蹴り上げられたのだ。そして、慌てて駆けつけてきた数人の警備員達に体を強引に押さえ込まれ、身動きがとれなくなってしまった。
 
 「なんて、ことをするんだ!!俺が誰だか知っているのか!!」 

 僕は声を振り絞って、力の限り怒鳴りあげた。
 
 「黙れ!!この浮浪者!!」

 浮浪者?……。いったい、彼らは何をいっているのだろうか?この神と呼ばれる僕とは遠い存在、いや、相反する存在の浮浪者なんて……。彼らはふざけているのか?それとも、バカなのか?まあ、いい。フフフ……。バカなら教えてあげればいい。僕が神様だってことを!!

 僕は警備員の毛むくじゃらな手に噛みつき、一瞬の隙をついて逃げだした。そして、僕は必死に非常階段を駆け上がった。そう、彼らに僕が絶対的かつ崇められるべき神だってことを教えてあげるために……。





 フフフ……。どうやら彼らは僕が神だってことがわかったみたいだ。警備員達は力無く、呆然と立ちつくして僕を見つめていた。そう、それでいいんだ。しかし、予想以上にファンが集まってきたもんだ。何百人なのだろうか?やばい!フラッシュは止めてくれ!あまり、マスコミは好きじゃないんだ……。あっ!!彼女がいるじゃないか!彼女は目をつぶり、両手を合わせ、僕を拝んでいる。フフフ……。そこまでしなくてもいいのに……。さて、そろそろ……。





 ( あれ!? )







 なぜか、立ち上がろうにも、体が動かない……。フフフ……フフッ。あれ、頭が割れている……。







 ( それにしても、このレッドカーペットは血生臭いな…… )    





              了


 どうでしたか?今回も掌編でしたのでプログに載せてみました。彼は本当にカリスマプロデューサーだったのか?……。次回は「デブ男の遺書」です。  後、僕のホームページ上に掲載した短編小説「 僕……、(Boku) 」が本に紹介されるそうです。詳しいことは次回のプログに!!では!!


 











        

人気作家への道 番外編~プログにも載せました編2~


        「 ある若いリーマンの遺書 」
       


 僕は頭が悪い……。悪いから、いつも僕はここにここにいるんだろう。なぜかって?僕はこの世になじめない……。どうしてかって?だって、いつも金がなくなって、路頭に迷ってしまう。そう、この世には運がついてないんだ。仕事だってそうだ。別に好きな仕事をしてるわけでもないし……。すればいいじゃないかって?もちろん、それがいいのだろう。でも僕は何が好きな仕事なのかがわからないんだ。今日で失業保険も使い果たしてしまった。もう、どこからも借りることはできないだろう。真新しい財布の中には5円玉が一つ。こんな僕を笑うのかい?でも、昨日は5万円も持っていたんだよ。

 あつ、彼が現れた!!彼は僕と同じ年か2.3歳位上だろう。彼は黒いスーツを着込み、夕暮れのベンチに深く腰をかけた。そして、おもむろに携帯を取り出し、足を組み直して、いらだった顔つきで、まったく辺りを気にもせず、怒鳴り散らすようにしゃべっている……。

 「おい、何で買わなかったんだ!あそこの決算日を知っているだろうが!あそこの株は底値で買いだったんだぞ!何年、お前は仕事をやってるんだ!1億円がこれでパアーだ!責任問題はどうすんだ……!」 

 ……僕は彼が怒鳴り散らすのを木陰からそっと聞いていた。なんと気の荒い人なんだろう。でも、はっきりいうと、羨ましかった……。もっと、僕も勉強をしていれば……。彼のように一流証券会社に入って、何億の金を動かせる人間になれたのだろう。いや、誰からも必要とされる人間になれたのだろう。僕も決して、勉強が嫌いではなかった。ただ、東京に……、いや、対人関係が苦手だったんだ。誰かが僕の心の扉を少しでも開いてくれさえすれば、こんなことにはなかったのだろう。いや、誰かじゃなく、自分が一歩、歩みだせる勇気さえあればよかったのだ……。そう……。すると突然、彼の口調が変わった……。

 「そうか……。そうだったのか……。娘さんが……。悪かったな……。怒鳴ったりして……。わかった!俺がこの責任をとる……。いいんだ。お前は娘さんについていてやれ……。ああ、じゃあな……」

 話し終えた彼は慈悲深い顔つきに変わり、澄み切った冬空を仰いだ。何を考えているんだろうか?彼は心の中で泣いているののではないか?いや、彼の心境は僕のような人間にはわからないし、わかっても欲しくもないだろう……。 
 
 数分後、彼はおもむろに立ち上がり、寂しそうに家路に向かった。明日、会社はどうなるのだろうか?いや、彼の立場は?けっして、無事にはすまされないだろう……。しかし、彼の後姿には、どことなく力強さを感じた。そう、オーラのようなものを……。そして、僕は彼の後を尾行する。心のどこかで僕は彼を心配しているのだ。
 
 ああ……。どうやら、今日も彼は大丈夫みたいだ。この瞬間、僕は心の底から安らぎを感じることができる。いつものように彼は、何ヶ月も公園の茂みに放置してある車に乗りこみ、その皺だらけの黒いスーツを丁寧に助手席にかけて、運転席に敷かれたカビだらけの布団に入る。そして、枕元には、いつも同じセリフを話している、電源のつかない携帯をそっと置いて……。

 僕は思う……。もしも、生まれ変われるのならば、彼のようになりたいと……。いや、なりたいではなく、今度はなれるのではないか……と。そう……、彼のようになれる日も、そう遠くはないだろう……。


 

 今回も掌編でしたので、プログに載せてみました。遺書シリーズは思いのほか、好評ですので、現在、作成済みの10人(最後の一人はあなた……かも?)、随時、HPかプログに掲載をする予定でいます。また、引き続き、ご意見、ご感想を待ってます。よろしく、お願いしまーす。次回、「人気作家への道3」をご期待ください。



「優馬のホラーノベルズ」                http://www.k2.dion.ne.jp/~yuuma619/index.htm

人気作家への道 番外編~プログにも載せました編~

「 ある少年Aの遺書 」


 桂木君へ


 死ぬ間際にこんな手紙を書いてごめんね。

 ただ、唯一の友達(僕の勘違いかな?……)の桂木君には、僕の率直な気持を伝えたかったんだ。桂木君だけは僕を心から心配してくれたよね。家に引きこもった僕に携帯で何度も連絡をくれたし、しかも放課後、わざわざ家まで尋ねにきてくれた。先日、桂木君が家に来たとき、僕は少し開けたカーテン越しから、背中を丸めて寂しそうに帰る桂木君を見て、思わず胸がつまったよ。でも、桂木君からの携帯の留守録は全部、聞いたよ。何度も、何度も繰り返して……。今では桂木君の声をCDにダビングしてBGMにしている。そう、今も部屋中に流れているよ。そうそう、このセリフ……。

 「引きこもって、空想の世界に閉じこもったら、自分を見失うぞ」ってね。そうだよね。でも、僕にもわかっていたんだ……。しかし、僕は現実の世界に戻る勇気、いや、戻ろうとする気力がないんだよ。つうか、やる気がないんだ。
 そうだ!話しは変わるけど、最近、携帯をなくしたでしょ?そうそう、なくなる前、非通知の無言電話が凄かったでしょう?実はあれ……、全部、僕の仕業なんだ!
 
 だってね。引きこもる前、子供の頃から憧れていた瞳との初めてのデートの最中に瞳の仕草が怪しかったんで、こっそり、バックから携帯を抜きとって、留守録を聞いたんだ……。もう~、ビックリしたよ!だって、いつもは男らしい桂木君が女々しい声で「今から逢いたいよ~」「逢ってくれなきゃ、死んでやる~」「俺のアレを舐めて~」とかいっているんだよ!すぐには信じられなかった僕は、深夜にこっそりと桂木君の家に侵入して、携帯を盗んだってわけさ。でも……。桂木君の携帯を見て、さらにビックリしたよ!だって、携帯のデータフォルダのアルバムには瞳との性行為がたくさん映っていたんだよ。驚いた僕はすぐにHサイトの掲示板に画像を流したけれど……。でも……。なぜか、あんまり人気がないみたいなんだ~。仕方がないよね~。だって、あまりにスカトロ過ぎて、エグイ画像ばかりだったからね。

 でも、僕は桂木君を恨んでなんかいないよ。だって「瞳と付き合うことができたよ」って桂木君に報告したとき、桂木君は「よかったね。うらやましいぞーー。幸せになれよ!」って祝福してくれたもんね。きっと、瞳が俺を騙していたんだ。純粋そうな顔をしているくせに……。じゃなきゃ、あんなにカメラの前で大股を広げられないもんね。まさに、理性のかけらもない、本能のなすがままに生きる淫乱女だよ。そう思うと桂木君も悲しい被害者なんだよね……。
 
 最後にお世話になった桂木君の心から悲しいことを忘れさせてあげるために、いいことを教えてあげる。いつも桂木君が「空想の世界に閉じこもってはいけない」っていっていたけれど、実はいいこともあるんだよ!この前、死神が肩をたたいてきて、「そんなに空想の世界がすきだったら、それを極めればいいんだよ」って教えてくれたんだ。そう、優れた作家も、音楽家も、芸術家もみんな、その世界を極めた人たちなんだよって教えてくれたんだよ。僕も死神に教わったとおりに5日間寝ずに、じっと妄想にふけたんだ。本当につらかったけど……。でも、僕はがんばったんだよ!シャーペンの先を5㎜伸ばして、眼球の真ん中にある黒い点をつついたり、電動の鉛筆削りに、爪を剥いだ人差し指をいれたりしてね……。
 
 そして、やっと僕もその世界を極めることができたんだ。今の僕は達成感でいっぱいだよ。この気持ちを言葉に表すのは難しいのだけれど、しいて言えば、僕の心の中は澄みきった10月10日の青空のように晴れ晴れしている。桂木君もいいこと知ったでしょう?きっと誉めてくれるよね?これでやっと、僕は桂木君を呪い殺すことが、できるんだよ。




                              さようなら……。



掌編でしたので、プログに載せてみました。他にもHP「優馬のホラーノベルズ」には多くの作品(短編・長編)を掲載していますので、是非、見て下さい。また、感想などをいただけたら、大変嬉しいです。
 では次回「人気作家への道 3」をご期待ください!なんと、そこには衝撃の出来事が!!



http://www.k2.dion.ne.jp/~yuuma619/ 「優馬のホラーノベルズ」

人気作家への道 2 ~ついに!?編~

ごぶさたでーす!優馬です!皆さんは風邪とかひいてないですかー?
大変すみませんでした。最近、本業のほうが忙しくて……。でも、ふと思うんです。なぜ省エネを訴えている電力会社が、最近は電化住宅化の促進を図るのか……。夏の暑い日にはエアコンの設定温度まで、うるさいほど指定していた電子ちゃんは実は……。 まあ、それはさておき、プログのテーマの〈人気作家への道〉にうつります。最近の状況は一言でいうと(なかなかうまくいかない)ですね。この状況にもめげずに、長編を2作書き上げました。自分でも納得のいく作品ですので依頼がない現状を考えると、大手の出版社の賞に応募をしようと思っていたやさき、いつもと違うメールが!あれ……?これは……?まさか!?そう、このメールは待ちに待った……!!(次回に続く)



  現在の原稿依頼(メジャー)  0、……?

人気作家への道 1 ~初めまして編~

 はじめまして!優馬です。11月に「STAY」で地味にデビューしました。知名度がないので、皆さんの町の本屋にはおいてないと思いますが、もしも見つけることができたなら、それは「宝くじで3等」をとるくらいの幸運の持ち主の証ですので、すぐに買って帰ってください。そして大事に神棚にかざると2,3の願い事はかなえてくれるかも……。まあ、冗談はさておき「STAY」なんですけど、このストーリーはずーーと僕が暖めていた作品です。純真な気持ちをいつまでも、もちつずけている少年に突如、時空を超えてやってくる悲劇をサスペンスタッチで描いています。きっと、あなたもこの少年が真実のやさしさに満ちた世界に導いてくれるはずです。暴力的な文書は抑えてありますのでホラーが苦手な方にもお勧めします。
 では、このプログの主体でもあります「人気作家への道」にうつります。先程、のべましたが僕の知名度は皆無です。しかし、本の発売と同時に町内ではすこぶる有名人になってしまいました。(母の営業のおかげ)この勢いのままなら、町内で開催されるカラオケ大会の審査委員長に決定!!ってオイ!違うよ!この嫌な流れを変えるために自身のホームページ「優馬のホラーノベル」を開設しました。しかし、反応はいまいち……。ならば、短編ホラー小説「チキン」を「楽園」に掲載したところ、あれよというまに得票が増えて、週間ランキング10位に!!そしてホームページの来客者もうなぎ登りに!!……よかった。ってオイ。俺は原稿の以来がバシバシやってくる人気作家になるって決めたんじゃなかったのか!!オイ!このままだと審査委員長どまりだぞ!!頑張れ優馬!!よし、わかった!!じゃ、つぎは……。(続く)

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著者: 優馬
タイトル: STAY
公式ホームページ「優馬のホラーノベルズ」
http://www.k2.dion.ne.jp/~yuuma619/