桜の木の下
何を語ろう
何から語る?
『最近どう?』
『彼とはあまりうまくいってないの』
何を笑おう
何から笑う?
『そういえば昔から』
『変わらないね、あの時だって』
真昼の陽気に
慌てて起きた桜の花
いつもより早い2人の再会と
変わらない他愛ない時間
季節が廻る度に
積もる話
春が来て
花びらと一緒に風に流されて
いつしか黙って月をみてた
ぬるくなった缶ビールと
呑み易くなった熱燗
また過ぎるひとつの季節が
名残惜しくて
手が止まる
もうこうやって何回
2人飲み明かしてるかな
可笑しいよね
この時以外は
まるでお互いを忘れたみたいに
日々に埋もれて会うこともないのに
『ねえ来年も』
『変わらずにここに来れるかな』
約束はしてないけれど
何を想おう
何を願おうか
『また来年かな』
『うん、きっと』
また次の桜の時も
2人この木の下に来るとわかってる
ビールと熱燗を買い込んで
夜が更ける頃に
ここに来よう
言わないけど約束ね
うん、わかってるよ
きっとね
iPhoneからの投稿
ハル
予測する
計算と本能
相入れないはずの
科学非科学
僕らの道を
指し示す
予報は大外れ
一喜一憂
それでも頼る
まるで酔狂
でもね ただ知りたいだけ
知っても知らずとも
流れるは何処吹く風
指し照らす
日の行方は 露知らず
ただ今は
季節を待とう
咲く春の本能は
誰もが知ってる
未知の花開く
iPhoneからの投稿
例えば柱に刻みつけた卒業の文字みたいに
キエナイ
ケセナイ
ゲセナイ
でも
カエサナイ
コトバ
えぐったから
刻みつけたから
理不尽な
愛の言葉
心の外 春の駿風に舞う花びら
そんな風には 散っていかないで
心に嵐 入って来ないで
どんな言葉でも
受け取った私の大切な言霊たち
iPhoneからの投稿
別れ
別れが来たら
あの街は嫌いになってしまうのか?
お気に入りのコーヒーショップ
君の好きなミルクレープ
僕の好きなストロベリータルト
お馴染みのドライブコース
散歩コース
君の好きな洋食屋の
カレーとクリームコロッケ
誰もいない暁前の展望台
何度も何度も眺めた 君の好きな朝夜景
全て嫌いになってしまうのかな
別れが来たら
2人で唄ったあの歌は?
2人で行ったあの海は?
2人で観てたあの映画は?
思い出が幸せな思いで
もっと早く2人見つけられてればね
もう戻れないくらいに2人
こんなにもそばにいたのに
こんなにも心が遠い
ねぇどうか
あの街を嫌いにならないで
行ったことない店もデートコースも
あの洋食屋には
オムライスだってあったはずだし
君が行きたがってたあの店は
まだあるだろうあの場所に
夜景は誰かと見に行くのかな
だから きっと嫌いにならないで
2人で唄ったあの歌は
1人で聴いても良い曲だった
2人で行ったあの海は
夏の賑やかな頃にはどうなってるかな
2人で見た映画は
1人で観るとなんだか
泣くタイミングがずれてしまってた
ねぇ嫌いになれなかったよ
思い出にして箱にしまうには
まだ温度が高すぎて
改めて思い知る
2人でいた長い歳月
地球に比べればあっという間の
なんでもない歳月
なんでもなく過ごしてた毎日
ねぇ別れが来たら
いつか色褪せた写真を
楽しかったこともあったねと
それぞれ笑える日がくるかな
でも
今はまだどうか嫌わないで
年月を思い出を日常を
僕のことは
嫌いになってもいいから
喜怒哀楽
喜怒哀楽の沼
愛を知り喜び進む
オールは前を指す
さぁこれが信じた道だと!
愛を失い 怒りは帆を灰にし
憎しみに舟は溺れ
方角すらも見失う
止む無く座礁して見上げる夜空
うつろに映るはどんな色か
愛を哀しみ 自分も哀しみ
沼の底に沈んでは浮かびゆく
脳裏には
忘れていた 楽が待ってる
喜怒哀楽の沼
極楽の楽を選ぶか
まだ見えぬ楽を選ぶか
答えは
喜怒哀楽の奥底に
まだ見えぬ楽の光を選ぶその手
おちていってもすくい上げよう
まだ諦めきれないその光
帰巣本能
例えば
情熱的な海の街を
初めて覚えた情熱的な言葉で感嘆して
例えば
歴史ある古い街並みを
偉大な古人の言葉で切り取って
例えば
雄大な力強い地球の息吹に
言葉を失って
例えば
孤独が見え隠れする
都会の隅で道に迷ったりしても
僕には帰る場所がある
情熱的でもない
偉大でもない
力強くもない
迷うこともあるかもしれないけれど
帰る場所があるんだ
どんな世界遺産よりも
僕にとっては
毎日でも眺めていたい場所

