記者会見形式で、なおかつ長いです。

甘味も少なめでよろしければどうぞ…(^▽^;)

 

 

  お陰?俺のせい? 3 完

 

 

 交際宣言&婚約会見がCM記者会見後に行われた。
 デビュー当時にはイジメ役のイメージがあった京子が、敦賀蓮の恋人として初々しくそしてキレイになっていた姿に、驚く記者もいた。

 

 年明けからの放映CMということ、そして12月25日はクリスマスと京子の誕生日でもある。

 

 成る程ね~芸能界1いい男と恋していれば、キレイにもなるってもんだよな~。噂も立っていたし、年頃の女性なら恋だよな、一番は!
 そこはかとなく漂う秋波なんて、デビューのイジメ役の頃は『ナツ』がモデルっぽくってキレイで艶やか美人だったけど、今の方がそのままでも充分にキレイで、楚々として、可愛さも少しグレードアップして、スタイルが……おや?
 それにスタイルが…京子って、あんなにム(チクチク)……ん?なんだ? っていうかだな、事務所の公式にサイトに…(チクチク)…んんん?? 何か刺さるような…チクチク感が…。

 

 記者が以前のスタイルと比べようとするには、直ぐには目視でしかないが、服装だけでのカモフラージュでなければ、・・だよな。オイオイ、いつから付き合いだしたんだ? 
 育つまで…と言うか、いつ育てたんだよ?敦賀蓮!!
 芸能界一忙しい男が、彼女の何処育ててたんだ!?いつの間にだよ!
 ……だがそれ……男の夢…か?

 


「それでは、敦賀蓮さんと京子さんの婚約会見を始めさせて頂きます。ですがその前に、京子さんのお誕生日、おめでとうございます」
【ありがとうございます】

 

「この日に会見を開かれたのも、京子さんのお誕生日と同時にのお祝いになされたかったんでしょうか? 敦賀さん」
【そうですね。CM初共演という嬉しい仕事も頂きました。そろそろ2人の時間をもう少し進める意味で、会見の形で見守って頂いた方々への感謝と共にご挨拶をしたいと思いまして…】

「いつ頃からお付き合いをされていたんですか?」
【1年半…ぐらいかな?】
 キョーコに尋ねるように聞く蓮の姿は顔がキラキラと嬉しそうで、一部の記者は蓮から顔を逸らしていた。

 

「お二人は先輩後輩として仲の良さは有名でしたが、いつ頃までお互いに意識はされていなかったんですか?」
【俺は意識はしていても、お互いに距離を取っていた処もありますが…キョーコは?】
【私も…です。敦賀さんはモテる方ですし、忙しい先輩ですし、釣り合いもとれないからと思っていました】

 

「本当にそうですか? 敦賀さんもとても幸せそうですが、キョーコさんもとてもキレイになられたので、秘訣をお聞きしてもいいでしょうか?」
 このままではただの惚気会見になってしまうと、インタビュアーも会場に笑いを取ろうとした。
【秘訣と言っても、お互いに気持ちが通じて幸せだと感じられたら…自然と今と、その先の未来まで一緒にいたいと…幸せで過ごしたいと思えたら、そんな恋人であれば毎日が幸せだと思えますが?】
 キョーコへの質問だったが、幸せいっぱいの蓮が答えていた。(苦笑)蓮の幸せすぎる笑顔にフラッシュが眩しい程にたかれた。

 

「その先の未来まで…ということは、この会見の先にお二人の結婚までのビジョンは決まっているという事ですか?」
 再びフラッシュの嵐が激しくたかれた。
【それはまだ…ですが…、(蓮の視線がキョーコを見て…)俺としては出来るならば…という気持ちではありますね】
【敦賀さん!】
 蓮の言葉にキョーコが焦って上目目線で睨み付けた。
「京子さんは同じお気持ちではないんですか?」
【あ、いえ…そういう訳ではありませんが、その……まだ地に足が着いていないような私では、そこまでの未来はまだ早いかと……。お付き合いをさせて頂いてはいますが、もう少しゆっくりと落ち着いて考えたいところもあります。ただ、敦賀さん程の方に不満…というのではありません】
(そうなのよね…。はぁ~~。ステキな人ではあるけれど…私中心に甘く甘く真綿で締め付けるように絡め取られるし、かといってイヤだって言うと仔犬の目になるし……)
【俺はキョーコなら何も不満もないからね…】

 

(蓮の視線は既に2人きりの世界で、キョーコを見つめて『キョーコは俺のモノだからね』と周りの取材陣さえも別の世界に置き去りにして、恋人を口説きにいってる「抱かれたい男No.1」の方がべた惚れか?)
 おい!抱かれたい男が骨抜きじゃないかよ?

 

「あの…その後につきましては、お二人でじっくりお考え頂いて、質問にお答え頂けませんか、敦賀さん?」
【これは失礼】
 端から見れば恋人達の甘い視線で見つめ合っているように見えたせいか、インタビューの女性がニッコリと割って入った。(苦笑)
「いえいえ、本心では思ってみえないのも分かりますが、京子さんとのお時間に我々はお邪魔かも知れませんが、こちらのお仕事もさせて下さい」
 記者(爆笑)甘々会見なのに、何故か笑いも入るんだな?
【了解しました】
 蓮の声に、クスクスという笑いが追い掛けた。

 

「了解を頂きましたので(笑) お二人は芸能界、同じ事務所で出会われたという事で宜しいですか?」
【いいえ。正確には芸能界という場所で再会した…というのが本当です】
「再会ですか? 再会を約束されていたのですか?」
【いえ、もう逢う事があるとは思っていませんでしたから、約束も何もありませんでした。それに…お互いに見た目の印象は別人でしたから、直ぐには気付きませんでした。でも10年以上も経って、昔逢った場所とは違う…芸能界という特殊な場所での再会は、巡り逢うのは偶然ではなく必然だったと思っています】
「…ロマンチックですね…。約束もしていないのに再会を果たすなんて…。京子さんはどうでしたか?」
【私も…その事を知った時には、直ぐには信じられないぐらいい驚いて、でも……嬉しさに幸せな涙が止まらなかったです】
 その時のことを思い出してキョーコの目が潤むと、間近に見てしまったインタビュアーが男女を問わず頬を染めていた。


「そのような再会ですと、女性の方がこう…胸にキュンとしますよね。運命の人だと実感されたのではないですか?」
【気付いたのが俺の方が先でしたので、俺にとっての初恋でもあり、彼女以外は考えられなかったですね】
「まあ、敦賀さんの初恋だったんですか?あら、でもお二人が再会されたのは敦賀さんも二十歳を超えていらっしゃった筈では?」
【ええ、ですから彼女と初めて会った子供の頃に、もう恋をしていたんだと今は思っています。再会の約束はなくても、俺にとっては彼女との巡り合わせが必然に用意されていたから、こうやって再び巡り会えて結ばれるべく運命だったと…】
「敦賀さんがおっしゃると、本当に運命を感じます。京子さんはいかがですか?」
【その…私は幼いと言ってもいい頃ですが、敦賀さんが妖精に見えたんです。普通の少年じゃなくて夢のような存在に見えました】
「敦賀さんが妖精ですか? 京子さんは可愛いモノや、煌めくモノがお好きで、妖精などのファンタジックなモノもお好きでしたね?」
【あっ…はい…すみません////】
 キョーコは婚約会見をするほどの年齢なのに、子供のような夢物語を口にして少しだけ恥ずかしくなった。蓮と並ぶ女優として恋人として、あまりに子供っぽい女性では蓮に相応しいのか、キョーコは少しだけ自信を無くして蓮を見た。
 蓮はキョーコの様子にクスクスとした笑いを浮かべているものの、キョーコの発言に呆れてなどしていなかった。

 

「敦賀さんは今もステキですが、その頃から妖精のようにステキでいらっしゃったのですね?」
【は…はい】
 キョーコは具体的な容姿まで言葉にしてはいなかったが、言ってよかったのか迷った。次になんと答えればいいのか、ヘタな質問が無ければいいのにと、胸がドキドキとしていた。

 

 今回の会見で、様子を見ながら蓮の身の上も話す用意もしていたが、キョーコは蓮を不安そうに見上げた。蓮は大丈夫と言葉にはしなかったが、頷いてくれた事で少しだけ安心した。

 

「敦賀さんが妖精のように見えたというのは、既に役者を目指してそのような装いで京子さんに出会われたんですか?」
 インタビュアーが不思議そうに問い掛けた。
 その質問には蓮が答えた。キョーコにも話して知っている事だが、自分の事を話す時だと前に出て答えるようにハッキリとした声だった。

 

【それは…その時の俺は、父親の里帰りに付き合って日本に来ていたんです】
「…日本に里帰り…ですか?それでは…」
 『何処から?』と声にしたインタビューの声に、会見場のざわつきが大きくなっていった。
 蓮もその意味を分かった上で、続く言葉を口にした。
【父はハーフで、当時俺はアメリカに住んでいました。俺は日本人としてはクオータです。ですから彼女に会った時は金髪だった為、日本人離れした妖精にも見えたというところです】
 その説明に会見中が蓮を見つめ、敦賀蓮と名乗るトップ俳優の大きな謎を聞き逃すまいとしていた。

 

【驚かせて申し訳ありません。この機会に俺自身のこともお知らせしようと思っていました。いずれ、彼女との結婚という運びになればお知らせする必要になりますから、この場所を借りて俺の事について話させて下さい。よろしいですか?】
「…あっ、はい。敦賀さん、どうぞ。あ、いえ…少しだけお待ち下さい」
 会見場が二人の婚約だけでなく…蓮の謎がわかるとなると、聞き漏らさずに書き漏らすまいとするタイピングの音が響いた。

 

【敦賀蓮…というのも、ご存じでしょうがこの名前は芸名です。クオン・ヒズリが本当の名前です。父親はクー・ヒズリ。母親はモデルのジュリエナ・ヒズリです】
「えっ!?」
 会場の中では驚きで声が出ないか、我すらず声を上げる者も多かった。国際的有名人であると同時に、日本にも馴染みのある俳優の名前まで出たのだ。
【父のクー・ヒズリは、保津周平の名で日本で役者としての経験後、ハリウッドでアクションスターとして今も活躍する…俺の目標のひとつでもあります】
 蓮がそこまで一気に言葉にすると、会見場は驚きの顔とタイピングの音が鳴り響いた。
【事務所の社長、ローリィ宝田は父の友人ということもあり、単身事務所に身を寄せてきました。ただ補助は何もなく、自分の役者としての力を付ける為にやってきました。見守ってもらいながら…今の場所にいることを許されて、役者としての道を歩いてきました。ただ…】
「ただ…?」
【ただ…この故国から離れた場所で、役者としてのことだけを考えてきましたが、キョーコという掛け替えのない女性との出会いが…再会が用意されているとは、俺には信じられないほどの幸運が…キョーコという存在として、今隣にいてくれるのだと思っています】
「京子さんとは、本当に運命の人であったと?」
 その問い掛けに、蓮は勿論だとばかりに頷きながら答えた。
【それ以外には考えられません。今なら…スランプと言えた時も、彼女に救われました。彼女だけです。だから…ずっと隣にいてね…】
 蓮が最後に…蕩けきった顔でキョーコに笑みを向けると、会見場中から溜息が漏れた。
 記者達には大スクープである内容でありながら、その当人は恋人しか目に入っていない。
 蓮は婚約会見の筈の会場で、キョーコに何度目かのプロポーズをしてしまえば、それは結婚会見さながらのラブラブモードになり、途中からタイピングの音が小さくなっていった。
 多分、蓮の耳には聞こえていなくとも、キョーコの声を聞くには邪魔な音だと言っているように、キョーコとの間に顔を割り込ませるようにして、キョーコの笑みも半分隠してしまった。

 

「敦賀さん。出来れば京子さんのステキな笑みを、マスコミを通して皆さんにお見せしたいと思いますので、京子さんのお顔を…もう少し見せて頂けませんでしょうか?独占したいお気持ちはわかりますが」
 会見場に何度目かのクスクスとした笑いが聞こえた。
【これはすみませんでした】
「これ以上馬の骨が出るのはお嫌でしょうが、京子さんも他の方に目移りすることもないですので、「馬もハエも寄るな!」という眼光は落ち着かせて頂けませんか?」
【そんな顔をしていましたか?】
「お美しいお顔ですと、より鋭い眼光が刺すようにカメラを見ていらっしゃいました」
【無意識でしたが?】
「無意識が一番怖いですね?」
【本音が出てしまいましたか?】
「はい。ばっちりと」
【以後気を付けます】

 

 苦笑する記者の隣で、タイピングの手が打ち込む文字を間違えては行きつ戻りつと、必死に声を追い掛けていた。

 

「では、敦賀さんにもう一つお聞きしたいのですが、京子さんとの交際宣言とのことでしたが、敦賀さん自身のお言葉の中から言えば、ご結婚を本気で意識しての…婚約会見ととっても宜しいのでしょうか?」
【そうですね。一応…彼女の意見もあって正式な婚約会見も考えてはいましたが、俺の気持ちはひとつです】

 

「それではお相手の京子さんには、本当にお綺麗になられて……これは言わずもがな…でしょうが、京子さんを美しく魅力を満開にされたのは、敦賀さんの腕前でしょうか?」

 

 インタビューの女性の問い掛けに、蓮と何割かの者は気付いたが、キョーコもその意味に頬を染めて小さな溜息を吐いた。蓮に目をやれば似非紳士の笑みがニッコリと笑っていた。
 キョーコは蓮の笑みで、今思った事は間違いでは無いと確認出来たが、まともに答えを返してしまえば恥ずかしいだけだと、躊躇ってしまった。
【キョーコ。答えてあげたら?】
 蓮の声がソコを答えるように促すのだから、キョーコも答えない訳にもいかなくなってしまった。
 女性として…敦賀蓮というトップスターに愛し愛されて、今のこの身も心もあるのだと、恋人であれば愛し合う事で育てられた自分も本当の事……。
【その…先輩として、役者として追い掛けていた時間に、別の気持ちでも追い掛けていました。そして…手を差し伸べてもらい、この場所に座ることが出来ました。敦賀さんとの出会いがあって、今の多くの私も…あるのだと思っています】

 

 言外に含まれた質問にはストレートには答えず、しかし蓮との時間があったからこその部分だけはハッキリと言葉にしていた。
【…これでいいですか? 先輩】
「え?」
 気付かなかった記者の声が小さく聞こえた。
【愛する女性を一番磨き上げたのが俺というなら、褒め言葉だね】
 婚約会見ともとれるこの会見の中で、その2人は笑みを浮かべているのに、『先輩』の言葉だけが浮いて聞こえた。
 蓮もニッコリと笑みを見せているのに、恋人であるなら不自然な言葉だ。

 

 するとキョーコが質問があった訳でも無いのに、記者達への何処か強い意志を持って話し始めた。
【このような席で…私のような後輩で、若輩者が言葉にするのはどうかと思われる事かと思いますが、隣に座る恋人として婚約者として…少しだけ同じ目線での言葉としてお聞き頂ければと思います】
 キョーコは少し間を空けて、蓮に問い掛けるように見つめれば、蓮のハッキリとした承諾として頷いた。
【敦賀蓮という芸名を持つ好青年という顔以外にも、『仔犬』や…他にも色々なモノも飼ってる方ですから、言うべきことを言わないと後々にも困ったことになる…少し困った面を持つ、普通の男性でもあります。皆様がお持ちのイメージを壊してしまいましたら申し訳ありませんが、彼も私も、役者という面を持っていても…普通の顔も持つ人間です。彼のそんな部分に困りながらも、努力を惜しまない尊敬するところも、全てを含めて一緒に居たいと思い、一緒に居たいと思ってもらえました。お互いに尊敬できる処と、お互い補い合う処も持ちながら、人としてこれからの時間を過ごしていきたいと…たった1人の人だと思っ……っ】

 

 少しの緊張と、年齢にしては堂々とした挨拶が続くかと思えば、感極まったキョーコの目から涙が零れ落ちた。

 

【キョーコ…】
 蓮がスッとハンカチを差し出してその涙を拭うと、キョーコはそのハンカチを受け取り蓮に頷いた。
 このような会見でなら見かける事も多いことも、役者と言うだけでなく様になる姿はドラマの中のワンシーンのようで、溜息も聞こえてきた。
【すみません。流石に緊張しているようです】
「京子さん。どうぞごゆっくりお話しください。ご自分のリズムでかまいませんので」
【はい。ありがとうございます】
「緊張されるほど、大切な場所での大切な言葉と受け取っておりますので」

 

【ありがとうございます。これまでも…そしてこれからの時間も、お互いに手を差し伸べ合って、もし敦賀さんには余りない事でしょうが、こうやって私に差し出してもらえたように、私も力になれるように寄り添って生きていけたらと思います。改めまして…敦賀さん、これからもよろしくお願いします】
【こちらこそ。キョーコは一生離さないからね】

 

「お二人とも、おめでとうございます!」
 記者達や、会場から大きな声と拍手が挙がった。
 最後のキョーコの言葉が会見を引き締めるような形になり、キョーコが年齢よりもしっかりした女性であると共に、敦賀蓮の横に相応しい…ビッグカップルが誕生したと祝福した。
 蓮の出自についての驚きもあったが、なによりも……敦賀蓮の方が京子にベタ惚れしている姿は、一部の蓮のファンにはショックだったらしい……。

 


 可愛くて、若くて、しっかり者の嫁!
 う~~~ん、そして……男のロマンだなぁ~~。

 

 

俺のお陰?俺のせい?これで《FIN》

 

 

これにて≪俺のお蔭?俺のせい?≫3話で完結とさせていただきます。

1話はちょうど1年前のキョコ誕でした。

2話からの流れで、ソコだけは入れないとね!なネタが(#^.^#)

記者会見の形で甘み少なめですが、その分笑いに走ったと(^▽^;)

この後は、二人で勝手にいちゃついてもらうという事で<(_ _)>

 

 

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