さて、この道は何処に行く道？罠の道？(^▽^;)
妄想迷路？……かな？((((((ﾉﾟ⊿ﾟ)ﾉ
【リク罠】 危険な番宣
～ドラマ「夏のトビラ」～ ４話
蓮はその日の仕事明け、深夜近くにキョーコの留守電に伝言を託した。キョーコなら仕事が終わっていたかも知れない時間だが、留守録状態に直ぐに切り替わった。
『最上さん。今日もお疲れ様。今日からのドラマ、驚いたよ。最上さんから聞いてなかったからね。同じ局だったからかな？ 社さんが控え室のＴＶを付けたら最上さんが映って２人で驚いたけど、ドッキリかと思ったよ。妖しくキレイな少女はどんな役処なのかな？ できたら教えてね。暑い中に忙しいと思うけど、お互い体調を崩さず頑張ろうね。では、おやすみ』
ど、ど、ど、どぉ～～～しよぉ～～～～～。
キョーコが遅めのお風呂から上がって見つけたのは、携帯への電話の着信履歴。携帯を開けば『敦賀さん』と表示されて、ピカピカと光っていた。
履歴時間からするとほんの３０分も経っていない。
いつもなら遅くても、留守電になってもいいから先輩への返事をするのがキョーコの礼儀正しさだが、今日に限ってはイヤな予感しかしなかった。
……いや、しない方がおかしい状態を自分で作っている事に、名前を確認しても留守電に入っているだろう蓮の言葉を聞くのも怖くて…そう…怖くて画面を睨み付けて固まっている内に、携帯が勝手に画面オフの状態へと暗くなってしまった。でも……
「訊かない訳にはいかない…わよね…。はぁ～～～～」
諦めの溜息を深く吐いたキョーコは、携帯の画面を明るくすると蓮の残した留守電を訊いてみた。
訊きながらキョーコは、タラ～っとイヤな汗が流れる感覚がした。暑くて流れるモノではなく、冷や汗という汗だ。そして耳を澄ますほどに、顔にもダラダラと流れ落ちてくるような錯覚が、お風呂から上がったばかりだというのにすっかり身体も冷めてしまった。
残されていた蓮の声はいつものように後輩にも丁寧な言葉遣いなのに……。
『聞いてなかったからね』
はい申し訳ありません！ お恥ずかしくてお伝えしておりませんでした!!
『ドッキリ』とか？
ドッキリに見えましたか!? それでもよかったで～す！はいぃ～！
『妖しくキレイな少女』
で、ですかっ!!? そう見えてましたか!? 嬉しいです!!…が！
『どんな少女なの？』
……なんですね、やっぱり…。忘れてはもらえませんかぁ～～？
そ…それにしても、敦賀さんほどお忙しいと同じ局でもポスターとかは見る機会があっても、番宣やドラマを…他の番組までチェックする事は無いと思っていたのに……社さんの、バカ～～。
ああ、いえいえ、いつもお世話になってる優秀なマネージャーさんに、そんな事を言ったらダメよね。
でもでも、どうして当日に放送されたあの番宣を見るタイミングなんですかぁ～～～。あぁ～～ん、シクシクシクシク…。
「はぁぁ～～～～」
『京子ちゃんはナツを演じていたよね！ そのナツが男に意地悪している感じで、危ないトビラを開けるイメージで、小悪魔な感じがいいね!!』
って、三上監督………私にどんな危ないトビラを開けろというのですかぁ～～～!?
キョーコは溜息を吐くと、この１ヶ月ほどのドラマの収録などを思い出してみた。
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キョーコには、今回のドラマでの共演は初対面なメンバーばかりで少しだけ緊張していた。
それもこのメンバーの中で恋のドキドキ？ ハラハラ？…それは私にはわかりません～～。
今回のドラマ「夏のトビラ」は、若者の恋がメインとなっていた。
夏という季節には、薄着になることで開放感も出る季節。学生であれば夏休みという自由時間が増える事の開放感もある。
いつもと違う日常故の気の緩みや冒険心が、普段と違う事にチャレンジするのも、「やってみようかな？」とハードルを下げさせやすい。何人もの若い男女の役者によるスジガキがあるようで、半分以上はアドリブの流れで進めていくという…色々なドキドキとハラハラのラブストーリー。
それぞれにフられたセリフはあるが、誰に向かって言うかははっきり決められていない為、その時の他の仲間の動きや自分の気持ちでセリフを言い、そのセリフや告白で相手の心を掴んで本気にするのもいいし、弄ぶのもいい。
そんな中、キョーコ演じる『洋子』は恋を本気で楽しむよりも、恋をしかけてくる相手を誘っては、本気にならずにＳ気でイジメて女王様を気取り、服装も番宣並みのレース使いやシースル－の肌透けタイプでの色気が男性陣を誘い、他の女性に目を向けていても横から流し目で誘う…小悪魔Ｓ魔のコケティッシュ美女という、恋仲間をかき回したりもする厄介な役処だ。
番宣での京子が足蹴にしていた男も、京子の誘うような妖しさに魅了されてＭ気を刺激されたまま眠りに落ち、ヒールの痛みさえ気持ちいいと感じる夢の中のシーンだ。
キョーコにはナツに感じたように、「今楽しければいいじゃない？」という笑みが妖しいナツは理解出来ていた。
しかし……。
小悪魔？ Ｓ気？Ｍ気？ コケティッシュ？ そして誘惑？
……そんな誘惑の洋子ちゃん？？？
メイン出演者は男女５人ずつ、役者志望、お笑い系の人もいるけど「自分を売ってこい！」って言われたらしくて、ドラマですがチャレンジドラマですか？ そんなのあるんですか？
そんな人達を誘惑するんですか!?
私もチャレンジですかーーーーーー!？
「はぁ～～～。確かにチャレンジよね、私も…」
そんな私のチャレンジドラマ…。
敦賀さんに言ったら、「君、恋なんて出来るの？」なんてて言われそう…。
でも私…敦賀さんにだけ…恋してるのに…言われたら……イタい。そんな言葉を言われたくない。
敦賀さんだけに感じるドキドキは、ドキドキし過ぎて心臓壊れそうなのに、それ以外の人には恋のドキドキと言われても、ドキリともしない恋心。
それなら…と、相手の人に敦賀さんを重ねても…重ならなくて、敦賀さんという人と比べてしまう。
笑顔、普通。
優しそうなエスコートだけど、…もう少し自然に出来ないのかな？
笑いで気を引こうとするけど……話の中身が…下品。
「んんんんん～～～…」
……つくづく敦賀さんと比べてしまうのは、敦賀さんが完璧すぎるからよね。
格好良くて、スマートにエスコートもしてくれて、優しくて、でも仕事には厳しくて、真面目で、手のかかる後輩にも気を配ってくれて……とても心が大きくて、笑顔もステキで…、大人で…でも私は……子供…よね？
何度も深く吐いてしまう溜息は、キョーコには蓮がとても大人で…自分はどうしようもなく子供だと思える差がとても大きく感じた。
年齢の差は仕方が無い。
でも私はティーン向けの恋愛モノがいいところなのに、敦賀さんは実年齢よりも高い年齢設定で、それも濃いめの恋愛ドラマもある。
勉強になるからと録画しては時々見るけど、仕事のシーンもだけど…女性との絡みのシーンになると……画面を通してでも視線だけで女性が殺せると思うのよ…。夜の帝王どころじゃなくて、女優さん…この後のお仕事出来るのかなって思っちゃうぐらい…。
いやいや、その…ホントに……じゃないけど、でも眼で射殺されちゃうっていうか、魂抜かれちゃうって感じ…？
敦賀さんと眼で対峙するのは、絶対気軽にやっちゃいけないチャレンジよね!?
私の恋愛ドラマなんて敦賀さんは見たりしないだろうけど、私の恋愛の演技なんて…敦賀さんならＯＫ出したりしないほど、ちゃちな恋愛ごっこに見えるのかな？
洋子も恋をした事はあるけど、多分本気の恋はした事がなくて、だから他の人の恋もちょっかい出しては遊ぶのが楽しくて…自分が本気になれるわけないと「恋」をバカにしている。
本当の恋がどれほど心に優しかったり、嬉しかったり、切なくて…でも温かくて心を締め付けてくれるのか……知らないバカな洋子…。
そんな洋子だから…少し前の自分とも重なって、敦賀さんにも見せたくない気もした。
それに、敦賀さんには「もう恋なんかしない…」と言っているのに、この展開のドラマで、番宣用のＶＴＲには少しだけ刺激的がいいからといって、半裸の男性にハイヒールでなんて……。
三上監督………私にどんな危ないトビラを開けろというのですかぁ～～～!?
そんな番宣を敦賀さんに見られたくないです～お忙しい敦賀さんなら、ご自分のドラマのチェックはされても、ＣＭ間の番宣を敦賀さんは見る機会もない筈！
せめて他の番宣番組は……あっ！ お知らせなければいいんだ！
私ったら、最近は敦賀さんにお知らせするのが普通だったけど！
そうよ、キョーコ!!
忙しい敦賀さんなら、知らせなければいいのよ!!
偶然に見る確率なんて、忙しい敦賀さんなら番宣だけ乗り越えられたら、あのハイヒールでの……だけでも、見せないでクリアしたい！
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……そう思っていたのにぃ～～～。
社さんのバカぁぁ～～～～。
シクシクシクシク………。
敦賀さんたら、見ちゃったのぉ～～？ アレをーーーー!!!!?
「同じ局なんて、やっぱり接点が多くなるから難しかったのかしら？ はぁぁぁ～～～。それに……三上監督も、侮れない人だし…まだ油断出来ない気がする……」
結局、敦賀さんの番宣も、「夏のトビラ」の１週ずれで同じ番組で予定していたなんて、ヘタしたら番組自体も見られていた可能性も高くなってるしぃ～～!?
敦賀さんの留守電にも、１対１になったら～～なんてお話し出来ないからぁ～～怖くてお返事できないじゃないぃぃ～～。
シクシクシクシク………。
《つづく》
今回、キョコ編でした<(_ _)>
で、私にもチャレンジのお話みたいだわ～イロイロ～((((((ﾉﾟ⊿ﾟ)ﾉ
楽しいんだけどぉ～～(←この辺りにネジの緩みが見える気が…)
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